三途の川(脚本)
〇河川敷
メガネの女性「ここどこだっけ?」
メガネの女性「あれ?」
メガネの女性「どうやって来たんだっけ?」
メガネの女性「え・・・」
メガネの女性「・・・・・・」
見知らぬ老婆「迷子かい?」
メガネの女性「あ、はい ここはどこですか?」
見知らぬ老婆「何も覚えてないんだね」
見知らぬ老婆「でも思い出せる筈だよ」
メガネの女性「え・・・」
見知らぬ老婆「何でここに居るのか」
メガネの女性「何でここに・・・」
メガネの女性「私、車に・・・」
メガネの女性「もしかして、この川・・・」
見知らぬ老婆「三途の川だよ」
メガネの女性「戻ります」
見知らぬ老婆「どこに行くんだい?」
メガネの女性「あっちの道の方を進みます」
見知らぬ老婆「デマカセだよ」
メガネの女性「どういう事ですか?」
見知らぬ老婆「川を渡れば死ぬと思っているんだろう?」
見知らぬ老婆「本当は川を渡らないと戻れないのさ」
メガネの女性(そんなの信用できない)
見知らぬ老婆「川辺まで一緒に行けばわかるよ」
メガネの女性(渡らなければ大丈夫だよね)
メガネの女性「わ、わかりました」
二人は川のすぐ側まで歩いた
見知らぬ老婆「ほら、こっちの方が暖かいだろう?」
メガネの女性「本当ですね それに何だか明るい」
見知らぬ老婆「さぁ、川をお渡りなさい」
メガネの女性「は、はい」
川は浅く、半分程進んでも腰にも届かない程度であった
老婆も一緒に川に入り、ついてくる
ふと、道の方はどうなっていたのか気に掛かった
メガネの女性「あの・・・」
メガネの女性「やっぱり道の方にも行ってから──」
突然、水の中へと身体が押しやられる
よく見ると老婆が私に馬乗りになって、首を絞めつけてくる
水から少しでも顔を出そうと藻掻くが、とてつもない力に為す術がない
バシャバシャ・・・
バシャバシャ・・・
ゴボボボ・・・
バシャ・・・バシャ・・・
ゴボ・・・
バシャ・・・・・・
・・・・・・
・・・
見知らぬ老婆「はぁ楽しかった」
見知らぬ老婆「生きようと必死に脈打つ首筋」
見知らぬ老婆「それが弱々しくなっていくのを感じるのが、何度やっても堪らない」
見知らぬ老婆「素手で絞め殺す・・・」
見知らぬ老婆「これ以上に楽しいことがあろうか」
見知らぬ老婆「ひひっ」
見知らぬ老婆「それにここで殺すのは善い事だからねぇ」
見知らぬ老婆「三途の川から戻る唯一の方法は・・・」
川で死ぬこと
ひひっ
快楽殺人者の身勝手な欲求とはいえ、奇しくも現世へと戻った女性
あの老婆の言う事が正しければ・・・
もしアナタならどうしますか?
川とは反対側の道へと戻る?
川を渡ってしまう?
老婆に殺される?
何だかどれも恐ろしいですね
おや?
何が恐ろしいか正しく理解できていないのでは?
この物語を見たアナタは・・・
川を渡ってはいけないという、ある種の正解に・・・
疑問が生じていませんか?
言うなればアナタは三途の川に対して無防備になったのです
どうするか良く考えておいてくださいね
それではお待ちしています
あっ最後にもう一つ・・・
アナタとは近いうちに会えそうです
ひひっ
ぞわっとする話でした。川へ来る前の自分の状態によりますねー。未練が無ければ渡りますし、あれば川と逆方向へダッシュします。
ストーリースタート時の女の子と背景のコントラストが絶妙でした。
三途の川の固定観念を揺さぶるのが斬新でした。面白い、そして怖い!
わたしなら、選べるかどうかわかりません😂
狂人がお爺さんさんじゃなくてお婆さんというところがミソですね。誰もが老婆には警戒心を抱かないから、油断させたところで仕留めるという。恐ろしさ倍増ですね。