クリスマスって何の日?

ざざむし

エピソード1(脚本)

クリスマスって何の日?

ざざむし

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〇荒廃した市街地
わたし(あー故郷の街も破壊されてしまった・・・)
わたし「ちょっとそこの君! 棒で何をつっついてるの?」
悪ガキ「蛇だよ 見りゃわかるだろ」
わたし「生き物を虐めちゃだめよ」
悪ガキ「かば焼きにして食うんじゃ 欲しけりゃ金出しな」
わたし「君に払うお金なんて無いわ」
悪ガキ「じゃその腰の剣でいいぜ」
わたし「これは駄目! こう見えて、わたしも国軍の戦士ですからね」
悪ガキ「その戦士が何でこの街を うろついているんだい?」
わたし「クリスマスの間は休戦中なの」
悪ガキ「じゃ その代わり・・・」
わたし「どこ見てんの?」
悪ガキ「あんたのはいてるパンツとなら 交換してやってもいいぜ」
わたし「わ、わかったわ ちょっと使用感あるけど」
悪ガキ「その方が好みやねん・・・」
わたし「君は変態か」
悪ガキ「さあ 早く脱いだ脱いだ」
わたし「チッ!!親の顔みたいわ」
悪ガキ「となりのおっさんに売ったろ」
わたし(行ってしまいやがった・・・)
おばさん「ちょっとあんた!!」
わたし「え? わたしですか?」
おばさん「あんたか!! うちの可愛い息子に猥褻なものを見せつけたのは!?この露出狂が!!」
わたし「そ、それは誤解です あのくそガキ・・・もとい、お坊ちゃんが 無理難題を・・・」
おばさん「変態女が何でこんなところを うろついてるんや」
わたし「クリスマス休戦で、フィアンセに逢いに 帰ってきたのですが」
おばさん「敵の襲撃で、街はこの有様や」
おばさん「わしも、たこ焼き売ってかろうじて糊口を凌いでんのや」
おばさん「たぶんあんたのフィアンセも 死んだやろな・・・ひひひ気の毒に ほな、さいなら」
わたし(言いたいこと言って 帰ったわ・・・)
名無しの蛇「お蔭で喰われずに済んだ 礼をしたいのじゃが・・・」
わたし「じゃ、竜宮城へ・・・」
名無しの蛇「亀やないからそれは無理 あんた股がさむいじゃろ わしがパンツ代りに・・・」
わたし「形状からいえばパンツというより ふんどし?」
わたし「さてフィアンセの行方を・・・」
「無駄じゃな」
わたし「何故?」
「そもそも、あんた、クリスマスが何の日か 理解しとるんか?」
わたし「えーと イエス・キリストの誕生日!?」
「ブブーッ!!」
わたし「違うの?」
「正確には『イエス・キリストの生誕を祝う日』」
「実際のイエスの誕生日は不明じゃ」
わたし「知らなかった」
「男と女がホテルでイチャイチャする日と 違うで」
わたし「うらやましいんかい!!」
「ところで あんた、キリスト教徒かい?」
わたし「いや、家は浄土宗・・・」
「異教徒の祝祭日を世界中で祝うのが もともとおかしいと思わんか?」
わたし「屁理屈はいいわ」
「どうしても逢いたいんなら わしが行方を占ってしんぜよう」

〇山中のレストラン
わたし「ここ?」
「わしの占いによるとこの辺りじゃ」
わたし「あてになるのかしら あ、何か張り紙があるわ」
  ようこそ『山猫軒』へ
  あなたの聖夜 買わせていただきます
  クリスマスのご馳走も用意しておりますよ
わたし「どういう事?」
「さあ?名前からすると 西洋料理店のようだな・・・」
わたし「とにかく入ってみましょう」

〇広い玄関
わたし「また張り紙が・・・」
  ここで履物を脱いで奥のドアを開けてください
「入ってみよう 虎穴にいらずんば虎児を得ず というからな」

〇西洋風のバスルーム
わたし「玄関の次がいきなり浴室?」
「また張り紙があるぜ」
  よくいらっしゃいました
  ゆっくり旅の疲れを癒してください
わたし「風呂に入れってことかしら?」
「風呂のあと食事?? 日帰り温泉かいな?」
  服は脱衣場で脱いでください
「一緒に風呂に入れてくれ」
  妙なふんどしは脱衣籠にいれてください
  それから混浴は禁止です
わたし「じゃひと風呂浴びてくるわ」
わたし「いいお湯加減だったわ」
  瓶のなかの香水を頭から振りかけて
  ください
わたし「この香水お酢のようなにおいがするわ」
わたし(それに、さっきから風呂場を誰か 覗いているような気配が・・・)
フィアンセ「おれさ 久しぶりにお前の裸を見せてもらった」
わたし「あ、あなた・・・」
フィアンセ「来てくれると思っていた さあ、ベッドルームへ・・・」
わたし「せっかちね」

〇貴族の部屋
フィアンセ「わ、俺の股間に嚙みついたのは 何者だ!」
わたし「どうしたの?」
名無しの蛇「わしじゃ わしはこの女の 動く貞操帯と自認しておる」
わたし「勝手に決めんといて!!」
フィアンセ「俺はこの女のフィアンセだ! イチャついたらいかんのか!!」
おばさん「露出狂のねえちゃんよ 騙されたらあかんで」
わたし「あ、たこ焼きのおばさん!」
おばさん「今度、義勇軍に入ったで あんたら頼りないよってな」
わたし「百人力!!」
おばさん「この男は、グール(食人鬼)になってしもうた あんたを食うつもりや」
わたし「まさか・・・ そういえば、お風呂に入れとか お酢をかけろとか」
おばさん「つまり食べやすいようにという訳やがな」
グール「この戦争は負けるぜ 俺がグールになったのも来る食料危機に備える為だ!」
グール「先見の明があると褒めてくれ」
おばさん「米がなかったらたこ焼き食わんかい!!」
おばさん「ウォリャー わしの剣を受けてみよ!!」
わたし「剣って たこ焼のピックやんか」
グール「おう!相手に不足はないぜ!!」
わたし「わ、わたしはどうすべき?」
名無しの蛇「この勝負 きりがないぞ 援軍を呼ぼう わしの仲間じゃ」
わたし「そんなものが居てるの?」
名無しの蛇「さっき 玄関の張り紙を書き換えたんじゃ」

〇山中のレストラン
モンスターA「おお 雪がひどくなってきおった」
モンスターB「そういえば 今夜はクリスマスイヴ」
モンスターA「お、あそこに西洋料理店らしい灯りが」
モンスターB「おや、玄関に張り紙が ありますぜ」
  ようこそ 『山猫軒』へ
   
   グール退治で
   あなたをクリスマスディナーにご招待!
    (相手は弱いです)

コメント

  • クリスマスだけは休戦というのがすでに好感がもてました。でもフィアンセに会いに戻ってきたのに、なんだかいろんな登場人物に巻き込まれて彼女が気の毒でした。

  • 登場するキャラが皆、独特な強力なインパクトがあり、おもしろいですね。特にフィアンセの変貌に驚いてしまいました。せっかく彼に会うために帰ってきたのに、なんだか賑やかすぎるクリスマスになりそうですね。

  • 濃いキャラが連続で出てきて楽しく読めました!笑
    すごくリズムがいいというか、会話のやりとりとか、読んでて楽しかったです。

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