〇会見場
勇者「この度は皆様にご迷惑をおかけして、申し訳ございませんでした」
記者「それでは世間が許しませんよ」
記者「具体的な謝罪をしてください」
勇者「はい⋯⋯」
勇者「私は⋯⋯」
勇者「民家に無断で押し入り、」
勇者「タンスやツボなどを無許可で物色し、」
勇者「中の物品を窃盗しました」
記者「それは立派な犯罪ですよ」
記者「許されると思っていたんですか？」
勇者「世界を救う為なら許されるだろう、と思っていました」
勇者「今考えると、とても甘い考えでした」
勇者「深く反省しています」
記者「他にもあるんじゃないですか？」
勇者「はい⋯⋯」
勇者「私は⋯⋯」
勇者「レベリングと称して、何の罪もないモンスターの命を奪いました」
勇者「弱者の命、尊厳を踏みにじる最低の行為でした」
記者「自分より弱い者の命を奪い続けたという事ですか？」
記者「一体どれだけ殺害したんですか？」
記者「遺族のモンスター方には謝罪されましたか？」
勇者「も、申し訳ございません」
勇者「冒険が忙しく、中々⋯⋯」
記者「精神鑑定を受けられた方がよろしいのでは？」
勇者「はい⋯⋯　弁護士とも相談しております」
記者「まだありますよね？」
勇者「はい⋯⋯」
勇者「私は⋯⋯」
勇者「仲間の女性に、卑猥なアイテムの装備を強要しました」
勇者「強いアイテムだから良いだろう、と軽率な行いでした」
記者「それは立派なセクハラですよ」
記者「例え女性同士でも、許される事ではありません」
勇者「はい。仲間内の事だからと思って、軽はずみな行動でした」
記者「まだありますよね？」
勇者「はい⋯⋯」
勇者「仲間に『盗賊』がいると知りながら、共に行動していました⋯⋯」
勇者「世界を救う勇者という立場にありながら、」
勇者「反社会的な人物と交流していました⋯⋯」
記者「つまり黒い交際があった、という事ですね？」
勇者「はい。現在はパーティメンバーから外し、交流を断っています」
記者「それでも、過去の事がなかった事にはなりませんよ？」
勇者「はい。深く反省しています」
勇者「今後はその様な事がないよう、ソロでの冒険を視野に入れています」
記者「反省する、というなら活動は控えるべきでは？」
勇者「はい。本日より、私の冒険は⋯⋯」
勇者「無期限の活動停止とさせていただきます」
記者「それでは魔王は？」
記者「魔王の討伐はどうされるおつもりですか？」
記者「責任を放棄するんですか？」
勇者「も、申し訳ございません⋯⋯」
記者「街の探索をしなくても、」
記者「レベリングをしなくても、」
記者「特殊な装備品に頼らなくても、」
記者「ソロプレイでも魔王は倒せる筈です！」
勇者「それは⋯⋯」
記者「世界は清廉潔白な勇者を望んでいるんです！」
　　こうして、無事に世界は滅びましたとさ❤