電車女(脚本)
〇電車の中
ガタンゴトン
ガタンゴトン
帰宅途中の電車のなか
暇つぶしに『僕』は、スマホでネットの掲示板を眺めていたのだが
何やら車内が騒然としだした
酔っ払い「おい、姉ちゃん」
女の子「は、はい?」
酔っ払い「さっきから何こっちを見てるんだよ!」
女の子「い、いえ。別に・・・・・・」
酔っ払いが女の子に絡んでいる
『僕』は、いそいそとスマホのカメラを酔っ払いに向けた
酔っ払い「ああん?」
酔っ払い「姉ちゃん、馬鹿にしているのか!?」
女の子「そ、そんなことは」
酔っ払い「聞こえねえぞ!」
酔っ払い「もっと、はっきり喋れや!」
女の子「ひっ!」
怒鳴る酔っ払いに、女の子は小動物のように怯えている
そろそろ良いだろう
『僕』は立ち上がって、二人の間に割り込んだ
僕「やめろ、酔っ払い!」
酔っ払い「な、なんだ、お前!」
僕「さっきまでのやりとりは、これで全部撮っていたよ」
酔っ払い「なっ!?」
酔っ払い「か、勝手に撮っているんじゃねえ!」
酔っ払い「婆さんが出しゃばるな!」
激昂した酔っ払いは、『僕』に殴りかかってきた
だが、『僕』はひらりと拳を躱す
ついでに少しだけ足を引っかけると、酔っ払いはバランスを崩して倒れる
酔っ払い「っ!!」
酔っ払い「く、くそ!」
僕「これ以上、無様を晒したい?」
改めてスマホのカメラを向けると、酔っ払いは逃げるように去っていった
僕「ふう」
僕「大丈夫だった?」
女の子「あ・・・・・・は、はい!」
女の子「あ、あの」
女の子「危ないところをありがとうございました」
是非、お礼をという女の子
後日、彼女からは某ブランドのカップが贈られてきた
『僕』は今日の出来事をネットの掲示板に書き込んだのだが・・・・・・それはまた別の話
・・・・・・・・・・・・・・・
年齢も
性別も
何も関係なく
ーー誰だって誰かのヒーローになり得る
ーENDー
これは鮮やかなどんでん返しですね。特に一人称を「僕」にしてミスリードを誘う手法がすごい。もしかしてこの電車女は警察か自衛隊の特殊部隊のOGだったりして・・などと想像できたりもして面白かったです。
日本の閉鎖的な社会で、善意で行動に起こすことはトラブルに成りかねないと考えられることも多いと思うけど、【僕】のような人が一人でも多くいると、もっと良い日本になりますね。
面白かったですー!!!!!!叙述トリックみたいな感じで、すっかり騙されました!!こういうテクニックもあるんですね!!(o^^o)