最高の友達(脚本)
〇簡素な一人部屋
14時。
貴之「ふぅ、重かった~!!」
ドンッと机にレジ袋を置く。
貴之「さすがにバラエティパックの菓子とコーラ1リットルは重かったぜ・・・・・・」
貴之「さて、そろそろ来るよな・・・・・・」
ピンポーン
貴之「はーい、開いてるー」
真琴「おいっすー!! 今日も遊びに来たぜ!!」
貴之「は!? お前もコーラ買ったの!?」
真琴「は? コーラ買って何か悪いことあんの?」
貴之「・・・・・・テーブルのうえ見てみ」
真琴「うわー!! お前もコーラ買ってきたのかよ!!」
貴之「しかも同じ種類だし!! コーラ2リットルも飲めねぇよ!!」
真琴「しかも同じ種類の菓子まで買ってきちまったしよwww」
貴之「やべぇよwww シンクロしすぎだろwww」
貴之「仕方ねぇ、今日は食って飲むか!!」
真琴「うぇーい!!」
真琴「え、待ってこれ、モンクエの新作じゃん!!」
貴之「いいだろ~ 昨日ようやく買えたんだぜ」
真琴「これやりたい!!」
貴之「え、菓子とコーラは?」
真琴「ゲームが先に決まってんだろ!!」
貴之「おいバカ、先に開けるなって!!」
真琴「うぉっほ~ パッケージ見ただけでも滾るなぁ~」
真琴「これハード何だっけ」
貴之「ステプレの4」
真琴「ふーん」
貴之「俺がセットするからちょっと待ってろ」
貴之「・・・・・・うっわ、最悪」
真琴「どしたー?」
貴之「アプデに3時間かかる」
真琴「・・・・・・うっわぁ・・・・・・」
貴之「なんか別のゲームすっか ステプレ使わないやつで」
真琴「人狼やろうぜ」
貴之「2人で人狼とか前代未聞なんだけど」
真琴「一人が人狼でもう一人が村人の、どっちが人狼でしょうゲーム」
貴之「それもう役割与えられた時点で答え分かるだろ」
真琴「じゃあ・・・・・・ 大富豪」
貴之「いきなり古典的なの来たな ていうか大富豪って2人でもやれたっけ」
真琴「じゃあ神経衰弱」
貴之「まぁなんでもいっか えーっと、トランプどこにあったっけかな」
真琴「あー、こんな時にトランプ持ち歩いてればなぁ」
貴之「今のご時世、トランプ持ち歩いてるやついなくね?」
真琴「マジシャンとか?」
貴之「マジシャンもさすがに素の時はトランプ持ち歩かねぇだろ」
真琴「マジシャンと言えばさ、鳩出すじゃん」
貴之「おう」
真琴「どうやって鳩持ち歩いてるのか気にならね?」
貴之「・・・・・・普通にカゴに入れてるんじゃねぇの?」
真琴「え!?そうなの!?」
貴之「え!?はこっちのセリフなんだけど!?」
真琴「だって鳩ってさ、逆さにすると動かなくなるらしいじゃん」
貴之「あぁ、その習性を利用してるのが鳩マジックらしいな」
真琴「え!? あれって種も仕掛けもないんじゃねぇの!?」
貴之「あのなぁ、全てのマジックには種も仕掛けも存在するから!!」
真琴「・・・・・・ショック」
貴之「お前精神年齢いくつだよ・・・・・・」
貴之「で?鳩を逆さにしてどうするんだ?」
真琴「逆さにした状態で懐に入れて持ち歩いてんのかと」
貴之「お前それ動物虐待になりかねないからな!?」
真琴「未熟なマジシャンは懐の中で鳩が暴れるだろうなぁ」
貴之「ベテランマジシャンでもそんなことされたら暴れるだろうよ・・・・・・」
貴之「つーか、トランプ見つからねぇなぁ・・・・・・」
真琴「アプデ終わんねぇなぁ・・・・・・」
貴之「3時間かかるって言っただろ」
貴之「そんでお前がトランプ使ったゲームがやりたいって言うから俺がトランプ探してるんだろ」
真琴「いやー、何かの拍子に奇跡が起きて、3時間が10分に縮まったりしねぇかなって」
貴之「あー・・・・・・まあ・・・・・・」
貴之「ステプレだとその望みはほぼ叶わねぇなぁ」
真琴「最新機種の分際でコノヤロウ!!」
貴之「わぁぁぁぁぁぁやめろ乱暴するな!! 最新機種だぞ!!」
真琴「これから毎日こいつの開発会社にクレーム入れようぜ」
貴之「コルセン担当の人がノイローゼになるからやめろ・・・・・・」
真琴「なぁ、トランプ見つかったー?」
貴之「これから見つけんだよ」
真琴「遅くないですかー?」
貴之「お前がステプレに暴力ふるおうとするからだろ」
真琴「サーセン」
貴之「許す」
真琴「ありが平清盛~」
貴之「んー、ここにねぇってことはどこにもねぇな」
貴之「悪い、トランプねぇわ 実家にはあるかもだけど」
真琴「じゃあ実家まで取りに行ってよ」
貴之「新幹線で東から西までひとっ飛びしろと・・・・・・?」
真琴「あ、ごめん!お前の実家遠いの忘れてた!」
貴之「しょうがねぇな、許す」
真琴「ありが平将門~」
貴之「トランプがねぇとなると何すっかな・・・・・・」
真琴「スッ・・・・・・」
貴之「え?何なの?怖い怖い」
真琴「指スマ1!!!!!!!!!!!」
真琴「うっわぁ、不意打ちでも勝てねぇ・・・・・・」
貴之「いやお前、1って言っといて2本出したじゃん 馬鹿なのアホなの?」
真琴「次はお前の番だ」
貴之「え?」
真琴「構えろ・・・・・・」
貴之「あ、これ指スマやるって流れなの?」
真琴「え、指スマ知らねぇの?」
貴之「いや指スマ知ってるけど」
真琴「ならば早く構えて数を叫ぶのだ・・・・・・」
貴之「掛け声はそっちルールだと指スマ?」
真琴「あ、そっちはいっせーのせだった?」
貴之「まぁいいやどっちでも」
貴之「いっせーのーせ、2」
両方の指をあげる貴之。
咄嗟のことに反応できない真琴。
貴之「はい俺の勝ち」
真琴「ぐ、ぐぬぬ・・・・・・」
貴之「愚かだなぁ!!不意打ちとはまさにこのことなのだよ・・・・・・!!」
真琴「くそぉ!!卑怯者がぁ!!」
腕まくりをする真琴。
真琴「腕を出せぇ!!」
貴之「ほう、我に腕相撲を挑むか・・・・・・」
貴之「面白い!!」
貴之「その勝負、受けて立とう!!」
真琴「うおおおああああああああ!!」
貴之「えっ、ちょっ、待っ、意外と力が強いなお前!?」
貴之「待って待って待って腕もげる!! 割と痛いこれ!!」
真琴「親指も出せぇ!!」
貴之「待て待て待て待て、この状態での指相撲はかなりキツイからやめろ、やめっ、」
貴之「・・・・・・全然話聞かないなこいつ!?」
真琴「いっさしごろしはくじゅ!!」
貴之「早い早い10数えるのが早いんだよ!!」
貴之の手の甲が床につく。
真琴「・・・・・・勝った・・・・・・」
真琴のスマホのアラームが鳴る。
真琴「時間です」
貴之「ああ、もうそんな時間か」
貴之「えーと、5000円だっけ?」
真琴「・・・・・・確かに ありがとうございました」
貴之「あ、ちょっと待って」
真琴「はい?」
貴之「次、いつ会える?」
真琴「・・・・・・確認しますね えーと・・・・・・」
真琴「空いてるのは来週の水曜ですね」
貴之「その日に、同じ時間でいいかな」
真琴「かしこまりました 毎度のご利用ありがとうございます」
貴之「・・・・・・じゃ、また」
貴之「・・・・・・いやぁ、毎回思うけどいいサービスだよな、デリバリーフレンド」
貴之「略すと語感がデリヘルに似るのが嫌だけどな」
貴之「うっわ、すっかり忘れてた、コーラと菓子のこと」
貴之「まぁ来週あいつが来たらそん時に出せばいっか」
貴之「あ、もしもし、母さん?仕送り使い切っちゃってさぁ、また送ってくれないかな」
貴之「え?就活?だいじょーぶだいじょーぶ、ちゃんとやってるって」
貴之「・・・・・・お金何に使ってんのかって? 就活に決まってんだろ?」
貴之「ああ、まぁ、しばらくは帰れないかな、就活で忙しいから・・・・・・」
終わり
まさかまさか、でした。友人関係の楽しいところだけ共有して、めんどくさいことは全てカット、という恐ろしいコンセプトのサブスクだったとは。二人の会話が自然で楽しそうであればあるほど最後のオチの恐ろしさがMAXに!タイトルの「最高の友達」はもはやサイコホラーですね。
若者男子が同い年の友人と気兼ねなく過ごすストーリーか、、、と思いきやのまさかの展開。楽しかったです。依頼主とリラックスして過ごせるデリフレさん(勝手に略しました)、コミュ力すごいですね
驚きの結末でした。
2度読ませて頂きましたが、コーラもお菓子も同じ物買ってくる設定なのかな…?
長年連れ去った親友のように感じてましたが汗