-ガラテア-

ザクロ

エピソード7 「過去、未来」(脚本)

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〇屋敷の書斎
シルク「そして、そのあとはこの館に帰って姉様の葬式の準備を・・・この後は言わなくてもわかるとおもう」
シルク「・・・なあガラテア、何か気になることがあるなら聞いてくれても構わないぞ」
  するとメモに「なんで、日帰りにしたのか」、そして「なんで、姉様は銃弾を全部受けたの?」と書き記した
シルク「なるほどな、やっぱりそこが気になるよねすまん話しているときに必要な部分が抜けてたな」
シルク「まずなぜ日帰りにしたのかについて、答えるぞ」
シルク「その日じつは父上と母上と俺たちとで旅行する予定だったんだが、姉様は別の地で仕事をしていたせいで知らなかったんだ」
シルク「それで、俺を旅行に誘ってきてすごしてたら急きょ日帰りになったんだが意外と場所が近かったから焦りはしなかったな」
シルク「二つ目だが、ここからは俺の考えになるんだけどその人質になっていた人を救うことが大事だったんじゃないかなって思うんだ」
シルク「そうでなければあそこまで・・・自分の体をボロボロにしないはずさ」
  すると、話を終えようと立ちあがろうとしたシルクの手を優しく掴む
シルク「どうした、もう一通り話終わったぞ」
  「人質の人が第一優先だっただろうけどきっと、お兄ちゃんの成長も見たかったんだよ」と、メモに書き記して彼に見せる
シルク「・・・そうだったらいいんだが・・・うん」
シルク「こんな暗い話をしても意味がないだろう、ほれガラテアもはやく寝ろ」
シルク「(俺はまだ起きてやらなくてはならないことがあるんだ・・・)」
  ガラテアは素直にいうことを聞いてその場を後にする
シルク「訓練所にいかなくては・・・もっと自身を強くするために!」
  そう言って、シルクも書斎をあとにする

〇崩壊した訓練場内
  雨が"あの時"よりも激しく舞う外で自分の能力を使いさらなる成長をこの訓練で身につけようと励む
  地面はガラテアとの訓練よりも柔らかくなって落ちていくペースが速い
  死ぬ気で走り回ってゼエゼエと呼吸が激しくなる
シルク「ぜえぜえ・・・は、はぁはぁ・・・!まだゴールじゃない!こんなのは・・!」
シルク「うっ、くっはあはあ・・・!」
  下を向いてしまいそうになる首をあげて前を向く
シルク「まだ・・・まだだ!もっと高みを・・・!」
  大量の雨が左目の包帯の隙間から入り、孕んだ刺激が傷口と目を走り回る
シルク「まだ行くぞ・・・!」
  顔の半分が閉ざされて痛んでいるのに気を取られていると、左上からやってきた柔い地面に足をとられてしまう
  感覚ですぐに感じ取ったが時はすでに遅く、体が下から柔くなっていき次第に崩れていく
シルク「(冷静になるんだ、今から止めても訓練にはならない・・・ココは一か八かにかける)」
  前からも背後からも地面が波打つように彼へ向かってくる、その様はボートレースの走りで掻き乱れる波の飛沫のよう
  片脚が柔らかくなって崩れてしまったせいで、フラフラとしてしまう
  から傘お化け状態になり、バランスを戻すために一瞬だけ地面に手をつきついでに前方の様子をうかがう
シルク「(およそここから測るに3.4cmか、速度を入れるとあと12秒・・・その前にこの脚の代打となるものを見つけなくては・・・)」
シルク「(余裕はまだある、落ち着いて考えろ)」
  11秒・・・10秒・・・・・
  刻一刻と地面が素早く消えていく
シルク「(10秒を切った・・・賭けはこっからだ)」
シルク「(柔らかいものにはかならず"反発"があるからそれを利用すれば)」
  残るは5秒、油断も一個の失敗も許されない秒数・・・
  4秒・・・
  3秒・・・・・・
  2秒に切り替わるその瞬間、深呼吸をして片脚と手に力をグッと入れる
  2秒から1秒になるその間に、失敗を覚悟で上へ跳び上がる
  1秒に時間が進んだあと、後方と前方の地面がぶつかり合っては地面が反発しあう
  すると、地面の"反発"が地面同士の衝突で"衝撃"となり大きい振動をあたりに響かす
シルク「やりすぎてしまった・・・!」
  その衝撃は地震だけでなく、周囲に突風を吹かす
シルク「ど、どこかにつかまらなくては!」
  しかし、跳び上がったのが逆に判断ミスとなりそのまま突風に吹き飛ばされる
シルク「こ、こきゅうがで・・・ない・・・!」
「ぐああぁあ!!」
  そうして、飛ばされた先で"見覚えのある者"が慌てて出迎えてくれた

〇明るいリビング
乾「な、なななんだ!?地震も起きたし誰か飛んできたぁ!?」
神宮「え、まってこの人ってガラテアのお兄さん・・・じゃ?」
乾「え?た・・・たしかにあの人だけどななんでだよ!?」
シルク「くっ・・・しくじったな無理しすぎた!ってお前ら・・・」
シルク「いきなりすまない、私はこれからここを出て・・・うっ!」
  片脚を失ってしまったせいで立とうにも立てない
シルク「そうだ、さっきの訓練で消えたんだ」
シルク「すまないがなにか棒状のものはあるか?それ以外でも構わない、とにかく縦に長いのをくれ」
乾「いろいろツッコミどころありすぎるって・・」
神宮「たしかお前、なんか持ってたよな?鉄パイプだっけ」
乾「んな言い方したらガチで俺がヤンキーみたいじゃねえか!」
シルク「はやくして欲しいんだが・・・」
神宮「またアタイにこっぴどく怒られたいんか!」
シルク「自分でやった方がはやそうだなこれは・・・」
  壁に手を当てケンケンしながら辺りを探しまわる
乾「おまえさ!いつまで説教じみたことすんだよ母ちゃんじゃねえからすんなって言ってんじゃねえか!」
神宮「あのな?アタイもべつにアンタがどうなろうが構わへんねんただな?」
乾「あ?なんだよ」
神宮「アタイはな?アンタに強くなってほしいねん」
乾「どういうことだ?」
神宮「アンタはまだ心が子供やねん、いつになったら大人になるねん!小さいことでキレんな!」
乾「そういうことか・・たしかに俺はまだ子供だな」
神宮「わかってくれた?」
乾「ぜーんぶ余すことなく理解したさ!神宮にさとされるとか初めてだ・・・」
神宮「じゃあ、今後は言動に気をつけや!」
乾「き、気をつけます」
シルク「ふぅ〜・・・やっと脚の代わりになるのを見つけたぞ」
  能力で失った脚を復活させる
シルク「戻ったが、この脚に慣れるまではここに居候させてもらおうか」
神宮「脚、戻ったんですか?」
シルク「あぁ、なんとかな」
神宮「なにかありました?棒状のもの」
シルク「たしか・・・私の記憶が正しければ"鉄パイプ"だったかな」
乾「お兄さんまで!?あれは鉄パイプじゃないですって!」
シルク「そうなのか?じゃあなんなんだ?」
乾「て、鉄バットです」
シルク(そっちの方が危なっかしいだろう・・・)
乾「ま、まあ・・・そうです・・・ね」
神宮「そうだ、せっかくですからゆっくりしていきませんか?紅茶とか淹れますよ」
シルク「そうだな、少しだけここで休ませてもらおう」
シルク「・・・ガラテアの学校初日の様子とか聞きたいしな」
神宮「いいですよ!たくさん話したいことがあるんですよ!」
神宮「はやく話したいのでお兄さんはソファにお座りください!」
シルク「ああ、すまないね」
乾「肩貸しますよ」
  シルクは乾の右肩に手を回して、ゆっくりとソファへ歩いていく
  シルクはソファに座ると体の力が抜けて、リラックス状態にはいる
シルク「すごい居心地のいいソファだな・・・寝てしまいそうだ」
神宮「シルクさん紅茶どうぞ!お熱いので気をつけてくださいね」
シルク「おお、ありがとういい色してるなこの紅茶、とても美味しそうだ」
神宮「ありがとうございます、そう言ってくれて嬉しいです!」
シルク「(あとでどこの産地のものなのか聞いておこう)」
  目を閉じて紅茶を口へ運ぶ
神宮「そういえばお兄さん、お名前は?」
シルク「あぁ、私は「シルク アンソニア」だ以後よろしくな」
神宮「とってもおしゃれなお名前ですね!」
シルク「ありがとう」
神宮「わたしは「神宮 イト」です!よろしくお願いします!」
神宮「ほら、乾も!」
乾「うえ、ぁあ・・オレは「乾 殻斗」っす!! よろしくっす」
シルク「2人ともいい名前だな・・・」
神宮「ありがとうございますっ♪シルクさんもいい名前ですよ」
シルク「お世辞はいらん」
シルク「では、ガラテアは学校初日どんな様子だったのか聞かせてもらおう」
神宮「いいですよー!」
神宮「まあ、結論から言いますとそんな緊張した様子はなかったですよ!とてもフレンドリーな子でかわいかったですよ」
シルク「まあアイツは人といることが好きで落ち着くみたいだからな、それもあってかすぐ打ち解けられる人も多い」
神宮「うんうん、しかもガラテアちゃんってフレンドリーですし素直ですし頑張り屋さんなので一緒にいて頼もしいです!」
シルク「すごいな・・・会って一日目なのにそんなに周りの人から信頼を寄せられるとはな」
乾「家でもそんな面はあるんすか?」
シルク「いや、家庭では意外と静かであり意外と甘えん坊なとこもちょくちょくとあるな」
神宮「ご家族といらっしゃると安心するんですかね?」
シルク「自分でもそこら辺はわかっていないんだ」
神宮「多分ですけど・・・シルクさんたちのことが好きなんじゃないですか?」
シルク「何を思ってるのかは彼女が知っていることだからそうとは言い切れんがまあ、たしかにそのほうが一番本心に近いかもな」
神宮(へへへっ、シルクさんたちに甘えてるガラテアちゃんを思い浮かべるとかわいい〜)
乾「神宮、モード入ってんぞ」
神宮「あ、ごめんごめん!」
シルク「なんなんだ?」
乾「そういや話変わるっすけど・・・ 名前のことなんすがシルク・・・ってたしか絹?みたいなやつっすよね」
神宮「あ〜!服の生地に使われてるヤツね!」
乾「そうそう、そのシルクとなんか関係あるんすか?」
シルク「・・・・・一般人の君たちには理解してくれないと思うがアンソニア家はそれぞれ最大二つまで能力を持っているんだ」
乾「というと?」
シルク「ガラテアをのぞいて私たちは遠く離れた村にある"製造所"という場所に行って能力を身につけさせていただいたり」
シルク「それぞれにあった武器も作ってくれたんだ」
シルク「わたしはその製造所で物体をシルクのように柔らかくできる能力を授かったんだ、名前にシルクが入っているからな」
乾「そうなんっすねえ、あまり信じられることじゃないっす・・・」
シルク「まあ無理して私から信じろと言う方がおかしいからな、偶然その場所に出会えるかまたは誰かが能力を使ってる場面にでくわしたら」
シルク「信じろ‥としか言えないな」
神宮「にわかには信じがたい話ですね〜!最初はシルクさんもあまり信じて・・・?」
シルク「いなかったな、周囲を見渡せば畑畑なド田舎であるうえにそんな辺鄙な場所に能力を作ることができる人間がいるんだぞ?」
シルク「一昔前のお決まり展開が盛りだくさんなロールプレイングゲーム、または異世界系のアニメ等ではあるまいし・・・」
シルク「まあ、だけどその場所に行ったからこそ手に入ったものがいくつかあるんだけどな」
シルク「そのうちの一つが"ガラテア"だ」
神宮「まさか、ガラテアちゃんをそこで拾った・・・とかですか?」
シルク「なに言ってんだか・・・そんなわけないじゃないか"拾った"ではなく"引き取った"んだ」
乾「え、似たようなものじゃないっすか?」
シルク「もし、拾ったのであればダンボールとともに捨てられた子犬をたとえにして言っているはずだぞ?」
乾「んえ、あ・・・すいやせん」
  声色を変えずに一定のトーンで謝る
シルク「せっかくだ、約束していたガラテアの秘密を一つ喋ってやろう」
神宮「ぜひ!お願いします!」
シルク「まあさっきの話の流れで察してはいると思うが、ガラテアの正体について話そうか」
  神宮は少し体を前に出し、目を輝かせ興味津々な表情になる
シルク「その製造所には能力を引き出すところと武器を製造するところ」
シルク「そして、迷子になった子供や家族などの関係で何か障害が生じた子供を引き取っては面倒を見ていたんだ」
シルク「そこの子供達のなかにガラテアがいたんだ」
神宮「それって、どんな人が面倒を?」
シルク「50代後半のおじいさんだな、頭はスキンヘッド服はこれでもかというぐらいにボロボロ・・・髭はサンタのよう」
乾「怪しすぎだろ・・・」
シルク「いや、そうでもないそのおじいさんは中々人当たりいい人だ・・平凡で怪しげな見た目なのでそう思うかもしれんがな」
乾「なるほど・・・」
シルク「"あまり人を第一印象で決めつけるな"、常識だぞ」
乾「(やっべ、これ俺がガラテアに言ったことじゃん今度は俺が言い返されてる・・・!!)」
シルク「少し話がズレたな、すまん」
シルク「それでは、当時のガラテアについて話そう」
神宮「お願いします!」
シルク「あぁ、まあ当時のガラテアは今ほど綺麗なものではなかったなホコリとか汚れがこびりついていたんだ」
シルク「それに今のように会話ができないし、涙を流そうにも流せないんだ」
シルク「その原因が敵組織のしわざによるものなんだが、まあそれはとりあえず置いといて・・・」
シルク「製造所のおじいさんといることが多かったガラテアは私が2回目訪れたときに偶然目にしたら、すぐどこかに逃げたんだ」
神宮「え、なんで?」
シルク「唯一信頼できる相手がおじいさん自身だけだったらしいんだが、目にしたことのない者が来たから怯えて逃げてしまったんだろう」
乾「まあたしかに敵組織の残党とかだと思われてるかもしれないっすもんね」
シルク「まさにその通りだな、噂では被験体の細胞をとりだしては本物そっくりの"人形"を作っているからな」
シルク「ガラテアに関しては老人が言うには記憶が人間だったときのが引き継がれてるわけだし、トラウマになっていて」
シルク「敵組織の仕業によって2歳の頃に連れ去られて人形にさせられたんだ、そのときに喉の筋肉や涙腺を奪われてしまって・・・」
シルク「だが、敵組織はまだ彼女自身に不足している部分があったのだろう」
神宮「"だろう"って今もですか?」
シルク「実を言うと最近になってその組織に襲われるようになってしまってな、ガラテアの部屋にその一員が侵入したことが一度あったんだ」
乾「ま、まじかよ!!んで本人は大丈夫だったんすか?」
シルク「ドカドカと床を叩く音が聞こえたのでね、うるさいので注意しに向かうと敵がガラテアを連れ去ろうとしてたんだ」
シルク「すぐに剣で2人との間に割って入ったのはいいもののそのまま撃退しようと思ったら、偽物だった上にそのまま逃げられてしまった」
神宮「そんな・・・」
シルク「敵が去ったとはいえかなり怯えた様子だったしな・・・」
シルク「奇襲に加えて、抱えているトラウマのフラッシュバック・・・この二つが重なったのが原因だと私は思っている」
神宮「そう・・・ですよね・・・」
乾「そいつってまだどこかにいるってことっすよね!?ここでうかうかしてたらマズいんじゃ・・・」
シルク「だからこそこの話が終わったら、すぐに帰路に着くつもりだ」
神宮「いつぐらいに帰路に着くんですか?」
シルク「今、やっと脚が動かせる程度に治癒してきたからぼちぼちだな」
シルク「あと、もしかしたらたがお前たちには"世話になる"気がする・・・だから」
シルク「お前たちもついてきたいのならついて来い、死んでもいいのならついて来れるものならな」
シルク「それでは、残りの話はまた偶然であった時か集った時に話すとする」
神宮「はい・・・どうか・・どうかガラテアをお願いします」
シルク「了解」
シルク「それじゃあ」
  シルクは急ぎ足でその場を離れる
神宮「ガラテア大丈夫かな・・私に守ることができるなら守ってやりたい」
乾「とりあえず今はシルクさんに任せるしかないだろ、一番ガラテアに近い人だろうし」
神宮「うん・・・」
神宮「いつか・・・ジブンもみんなのことを守れるぐらいに強くなってやる!」
乾「あまり焦りすぎるなよ・・?」
神宮「大丈夫!仲間のためならガラテアのためならなんだってしてやるから」
乾「じゃあさ・・・」
神宮「なに?」
  シルクの衝突で木っ端微塵にやられた窓を指さす
乾「あそこ直してくれる?」
神宮「まかせな!アタイが直してやるわ!」
乾「頼みやした!!」
  窓の修理に燃える神宮を横目に乾は密かに製造所にたいして興味を示していた
乾「(アンソニア家・・・そこにいってシルクさんから"許可“をもらえればあの製造所にいけるかもしれないな)」
乾「(力さえ身につけることができれば神宮のやつから強くなってほしいとか言われなくなるだろうし・・・いやそんなことより)」
乾「(ガラテアを死ぬまで守ることができるし、ゲルドの野郎にも対抗できるかもしれない・・・)」
乾「(ただなぁシルクさんってかなり堅い人だったからな〜すぐに折れることはなさそうなんだよな)」
乾「(ダメ元でいつかガラテアについて行ってみるか)」
  すると、あれこれ考えていたら窓に一時的な保護がなされていた
乾「おっ!これ神宮がやったのか?」
神宮「まあ本当にカンタンな感じで覆っただけよ」
乾「まあ、これで少しの間は安心できるかもなありがとう」
神宮「お礼なんていいのよ!それじゃあんたの家に泊まらせてもらうから」
乾「この時間帯に帰ったら危ないもんな、シルクさんの言ってた組織のやつが現れるかもしんねえし」
神宮「だからこそあんたの家に泊まった方が安心なのよ」
乾「じゃあ、明日の朝は一緒に登校か・・・」
神宮「なんでや嫌なんか?」
乾「付き合ってると思われたらなんか気まずいじゃん」
神宮「んなことあるかボケナス!」
乾「言いすぎでしょ!?」
神宮「はっ、一度は言ってみたかったのよこういうこと」
神宮「アンタには・・・いろいろ返さないといけないものがたくさんあるからね」
乾「性根どうなってんだ・・・怖え女だよ」
乾「まあんなことたあどうでもいい、今はもう遅いからはやく寝るぞ!」
神宮「はぁーい」
乾「まったく・・・」
  そして2人は床に布団を敷いて、電気を消し目を瞑る・・・

〇通学路
  翌日の朝7時25分・・・
乾「今日はいつもよりはやく終わる日だな!」
ギャリー「それな〜!けどアタシそのあとやらなくちゃなんないことがあってさー」
神宮「あれ?なんかあったっけ」
ギャリー「あーれ!ガラテアとのデート!」
神宮「いいじゃーん、楽しんで!」
乾「ま、まて!?アイツって貴族なんだぞ!?そんな気軽にデートできるようなものじゃねえだろ!?」
ギャリー「んもぅ〜うるさいなあ」
乾「なんだよ!?気遣っただけだぜ!?」
ギャリー「あんね、デートって言っても単なるラブラブ系じゃないよ?」
乾「どういうこっちゃ?」
ギャリー「ただただ飯、食いに行くだけだって〜!」
乾「なんら変わらんやろ!?」
神宮「まあまあ、そろそろ学校に着くんだから続きは昼休みに!」
乾「わ、わかりました・・・」
乾「先、行くからはやく来いよ!」
神宮「はーい」
  乾は走って教室へ向かって行く
ギャリー「そんじゃー自分も先行くわー!またあとであな〜」
神宮「(ギャリーはガラテアと2人っきりになるのかぁ、羨ましいなあ)」
  羨望を抱きながら靴を履き替えて、教室へ向かって行く

〇教室
乾「・・・」
  乾は机に肘をつき窓の外を眺めていた
  どうやら、あの製造所のことが気になって仕方ないようだ
乾「(学校が終わったらシルクさんたちの家にガラテア連れてってもらえるかな、いやでもギャリーと出かけるんだった・・・)」
乾「(一体、どうしたものか・・)」
  すると、教師が寝ているのかと勘違いして乾の名前を大きい声で呼ぶ
乾「わっふぇっ!?す、すいやせん!」
  周りの生徒は乾のカッコ悪い部分を見てくすくすと笑う
乾「(製造所のこと考えすぎてたら、キッツイやつがきた)」
女子生徒1「なになに、アンタこんな情けないとこあったの?」
乾「そんなのお前には関係ないでしょ・・・」
女子生徒1「プークスクス!だっせえ〜前みたいに堂々と言い返せなくなるなんて男じゃないよそんなの!」
乾「(マジでめんどくせえ・・・)」
乾「いいから、ほら授業受けろ!」
女子生徒1「はぁ〜〜〜い、今日の晩飯一緒にいくからね!約束だぞー!」
乾「(やっとすっこんだか・・・)」
  ため息を一つついて理科の教科書を取り出す
乾「何ページだったかな・・」
  すると、右隣の席のガラテアが乾の肩を叩いて自分の教科書のページ数を指さす
乾「18ページか、おっけありがとう」
  すると、大きくうなずいてふたたび授業を受ける
乾「よっしゃ、やっと参加できる」
  その後はガラテアや周りの人と協力しながら時間を過ごしていった
  そして気がつけばもうお昼休み
  ガラテアがこの教室にいるので帰りついていってもいいかと話しかけようとしたら・・
  先ほどの女子とその仲間と見られる女子がガラテアの周りに立っていた
女子生徒1「あんた、アイツとなんなわけ?」
女子生徒2「返事してみろ!口あんだろ!」
女子生徒2「それかなんだ!おまえはコミュ障かなにかか?おい!!」
乾「いっけね、誤解生んじまったみたいだ・・・!はやく止めねえと」
女子生徒2「テメエ寝てんじゃねえ!誰が寝ていいって言った!」
ガラテア「・・・」
女子生徒1「耳は聞こえんだろ!さっき乾くんの声は聞こえてたんだからよ!」
女子生徒2「こっちみろよ!!!」
女子生徒1「そうよ!人が話してる時ぐらいは目や顔を見なさいよ!おい!!」
女子生徒1「寝るな!!」
ガラテア「(うるさいなぁ・・・)」
女子生徒1「なにその目つき!!いいかげんにあたしらの言うこと聞けや!!」
乾「おい、やめてやれ!」
女子生徒1「はあ、いいとこなのに・・・はいはい、やめるからこのあとの晩飯は奢ってよね?」
乾「いくらでも奢るよ・・・」
女子生徒1「あざーっす、交渉成立〜〜」
乾「大丈夫か?怖かったよな」
乾「な、なあよかったら一緒に話さないか?聞きたいことがある」
  乾の方に体を向けて両手を脚と脚の間に置く
乾「学校が終わったらさ、ガラテアの家に着いて行ってもいいか?」
乾「さっきの奴らには内緒にしていくからさ」
  しかし、ガラテアは驚いた顔をして歯を合わせたまま顔を逸らす
乾「やはり、ダメそうか・・」
  鉛筆でノートに「来てもいいけど迷惑かけないで、シルクに怒られるから」と書く
乾「わ、わかった・・・!迷惑かけないようにするぞ!」
  続いてノートに「迷惑をかけたら友達にも訓練に参加してもらうと言われた」と書く
乾「うへっ!?し、シルクさんの訓練にってことか!?」
  縦にうなずくと、窓の外をチラッとみる
乾「シルクさんの訓練とか・・・やべえじゃん絶対・・・殺されるかもしれねえ」
  すると、ガラテアが校庭になにか見つけたのか驚いた様子を見せる
乾「なんか驚いてるけどはやく次の授業の準備しないとな・・・」
  席を立った瞬間・・
  轟音が響き、ガラテア近くの窓すべてが割られあちらこちらに破片が散らばる
乾「な、なんだ!?なにが・・・おい!ガラテア大丈夫か!!」
  かろうじて破片が刺さらずに済んだが・・・
  乾が窓に駆け寄って、外の様子を見るとミズヤが首を横に傾けたまま不気味な笑みを浮かべながらこちらを見つめていた
乾「(アイツのしわざか・・・?でも、なんだろうとはやいうちにみんなを避難させねえと!)」
乾「ガラテアはやく安全なとこに逃げるんだ!俺のこたあ気にしなくていい!」
「ほう「俺のこたあ気にしなくていい!」か」
乾「待て、この声聴き覚えがあるぞ」
乾「がはっ!!」
ゲルド「聞き覚えがあるじゃねえんだろうが!!クソが!!!」
ゲルド「まあけれど、こうしてテメェと出会うのもいつぶりだったかな・・・1、2・・・大体3年くらいなのか?」
ゲルド「まあ、場所や時間は違えど会えたんは会えたんだ思う存分痛めつけてやろう」
乾「て・・・てめえ・・・チームは・・・家族はどうしたんだ・・・この学校のやつらに手は出して・・・ねえだろ・・・な」
ゲルド「前者のほうだけど全員俺の意見と合わないから始末しといたさ、そして後者だがうかうかしてたら死んでるかもなぁ」
乾「腐れ外道野郎・・・!」
ゲルド「いいだろ、誰だって何度か道を踏み外してるんだ全員外道で残忍でどうしようもないんだぞ」
乾「ふざけ・・・」
ゲルド「まあまあまあまあまあ、そんな逆上すんなってほらほら」
「あがああ!」
ゲルド「そもそもさ人の話してるときに声をあげるのはガキがやることだぞ・・・それかなんだ?お前はいつまで経っても子供のままか?」
乾「・・・っ!!」
ゲルド「あのさ、その反抗的な目はイメージ悪くなるからやめた方がいい・・・ぞっ!」
  思いっきり床に顔をたたきつけると血が飛び散る
ゲルド「わかったか?」
  それでも反抗的な目をし続ける
ゲルド「やめた方が良いって言ったよな?」
ゲルド「なんでやめろって言ってることがわからないんだ・・・?おい」
  顔を無理やりあげて目を睨みもう一度叩きつけようとする
乾「おれに何したって意味・・・ないぞ」
ゲルド「あぁ?」
ゲルド「うかっ・・・!!」
  重いその奇襲はゲルドの首を叩き、そのまま床に倒されるほどだ
乾「さ、サンキューな神宮・・」
神宮「いいからはやくアンタは逃げな!」
乾「い・・・いやそもそもこれは俺とアイツの話だけど・・・手を貸してくれるのは嬉しいがお前のほうこそ死ぬんじゃねえぞ」
神宮「余計な心配だっつうの!はやくこっちおいで!」
ゲルド「あ?なんだこの女がッ!そのドタマぶち飛ばされてえか!」
神宮「やれるならやってみろよ!」
ゲルド「たかが無力な女がアァ!!一丁前に大口を叩いてんじゃねえええ!!ブッ潰す!!」
  ゲルドが激昂しながら神宮に殴りを入れようした隙を狙い、乾と神宮は互いに構える
  ゲルドの顔面に強い殴りを食らわせてフラフラとよろけさせる
「ぎいぃっ!ま、前がみ・・・えない!フラフラする!」
  このタイミングで更に追い打ちをかける
ゲルド「ひ、ひいいっ!ぎぃいいいっ!!」
ゲルド「ぎゃああああ!!?」
乾「お、追い返せた・・・けどまだ安心できねえ」
神宮「乾っ!アンタは体育館に行って!外に出ないように廊下を通れ!」
乾「言っただろう・・・これは俺とアイツの話だって!」
神宮「はやく逃げろ!!アンタは不死身じゃないんだよ!死んだらどうすんだバカ!!!」
乾「じゃあ、絶対死ぬなよ!!俺があの世行ったときにいやがったらぶっ殺すからな!」
神宮「勝手にしい!ほらはやく逃げんか!!」
乾「わかったわかった行きますよ!!」
神宮「自分は校庭に行って戦わないと・・・」
  全速力で校庭へ走って行く

〇田舎の学校
ミズヤ「ゲルド、ボロボロ」
ゲルド「うるせえぞ!バラバラに破壊するぞガラクタ!!」
ゲルド「なんなんだアイツら仲悪いくせに手を組んでよおおぉ!チクショウガヨオオオオオオオオオ!!!腹立つなあああぁあ!!!」
  校庭の砂を爪でかきとったあと髪を血が出るまでぐしゃぐしゃにかき乱す
ゲルド「だけど第一優先は乾のやつだ、アイツさえ殺せば金が手に入る!」
ゲルド「金のために殺ってやる!!」
ゲルド「どいつもこいつもナメクジみたいに動き回って俺に話しかけて!全員話が通じねえクソが!!他人もなにもかもガラクタだ!」
ゲルド「腹立つうううぅなあああああ!!!」
  激怒を誘発させる記憶が連続するせいで、校庭で喉が壊れても絶叫し続ける
ゲルド「ミズヤ!てめーも何かしくじったらその首と体を引き離してやるからな!!」
ミズヤ「しくじらないようがんばります」
ゲルド「チッ信用なんねえな不気味なガラクタ人形が・・・」
神宮「お前ら動くな!!」
ゲルド「クソ女・・・!邪魔すんな!!俺は他人が大っ嫌いなんだからよ!」
  距離を離すために靴で砂を撒き散らす
神宮「しまった、前が見えない!」
ゲルド「俺の邪魔をしたお詫びをしろ!」
  ズボンのポケットに忍ばせていたメリケンサックで神宮の顔を強打する
  地面に倒れ込んでも、立ち上がる
神宮「メリケンサック・・・相手を殺すためならどんなものでも使うのね・・・」
ゲルド「当たり前だ!それにお前みたいなただの一般人じゃ俺たちを殺せねえ!」
神宮「一言も殺すとは言ってねえさ・・・!」
ゲルド「あぁん?だったらなんだぁ?」
神宮「アンタらを"食い止める"・・・それだけだ!」
神宮「ここの学校の人たちのためにも!!」
ゲルド「なんでそんなに・・・言っておくが死はなににでも訪れるそれが物であろうが人間だろうが世の中であろうが政治であろうが・・・」
ゲルド「1人が死んだらその1人と仲が良い人間が死ねばいいんじゃあないか?そうすりゃその周りの人間もどんどん死んでいってハッピーさ」
神宮「なに野蛮なことを抜かしてんだ!」
ゲルド「や、野蛮?野蛮だとおおお!!!!? 死んでこそ生命、死んでこそ自然の摂理! 殺してこそ人間、殺されてこそ人間だろ!」
ゲルド「やること成すことがそんじょそこらの動物と違えど、サバンナの肉食動物のように殺し合って縄張りを作っていることには違いねえ!」
ゲルド「"死は恐ろしいものではない"というのを 貴様にも教えてやる!泣いても喚いてもやめねえ!オレの怒りをテメェで解消させろ!!」
神宮「やれ・・・ら・・・や・・・」
ゲルド「聞こねえぞ!ボソボソ喋んな!」
神宮「やれるんならやれ!!アタイは一足も後ろに下がらんからな!!」
ゲルド「小娘がああっ!!舐めんなあ!」
  まだまだだああ!!
神宮「はあ・・・はあ!」
ゲルド「なかなか押してくるナ・・・一回攻撃のパターンを変えなければ落とされる!」
ゲルド「ひとまず体が休まるまでミズヤにここを任せるか・・・!」
ゲルド「へっ、甘いぞ!ここいらでお前の相手は変わる!その体力で押し切れるものなら押し切ってみろ!」
  ミズヤがゲルドと神宮の間に割って入り、形勢を変える
神宮「ぜえ・・・ぜ・・・はぁ・・・・はっ、まずい・・・」
ミズヤ「われらの「グループ」の繁栄、この世の転覆のため力を尽くします」
神宮「ん?この子なに言って・・・うわあっ!?」
神宮「う、動きが鈍くなって・・・!」
ゲルド「よくあったよなぁ?小学校とかでよー私服のままプールに入って訓練しましょう的なやつがよお」
ゲルド「そのときの服はまるで重りだろ〜?今その再現をしてやってんだぜ?」
神宮「なにがいいたいんだ・・・!」
ゲルド「てめーはなにもできず無様に死ぬんだよ!」
神宮「怒りすぎて何が言いたいのか分からんわ、アンタ」
神宮「それにアタイは絶対に死んでやらない!!死に方や死に場所はアタイが決める事や!アンタらちゃうねん!!すっこんどけ!!」
ゲルド「自身の置かれてる状況を理解せずに対抗してくるとはなあ、愚者というのはこういう奴のことを指すんだな!まあいいさ」
ゲルド「さっさと死体にしてやれ!!」
ミズヤ「了解です」
神宮「くっ、体が・・・体が動かない!」
神宮「でも、アタイは・・・アタイは!アタイは!!」
神宮「ガラテアを寂しくさせないために生きてやるんだッッ!!!」
ゲルド「いいセリフだぁ・・・しかし残念だな叶わんぞ」
  すると、ゲルドがミズヤの横に立つ
ゲルド「これから、オレとこいつ・・・タッグでお前を始末させてもらう」
神宮「卑怯な野郎・・・・・・!!」
ゲルド「いくぞ」
ミズヤ「はい!」
神宮「持ち堪えなあかんな・・・」
神宮「すぅ・・・」
  手を強く握って、2人を強い目力で睨む
神宮「覚悟は決めた、かかってこいや!!」
ゲルド「いいかげん終わらせるぞ!」
神宮「しぶとい・・・やつらっ!」
  気がつけばぜえぜえという呼吸から、ヒューヒューという瀕死の呼吸になってしまう
神宮「あ・・・たいは負けられないんだ・・・」
ゲルド「もうお前に残された寿命などない!!ここいらで仕留めてやる!」
ゲルド「手加減なしで行くぞ!!!」
神宮「ま・・・まだ持ち堪えられる、まだ・・・!!」
神宮「ま・・・だ戦ってやる!!」
  一方で、ガラテアは乾とともに学校から離れた公園の公衆電話でシルクに連絡をとっていた・・・

〇川沿いの公園
乾「はやく、早く出てくれ!!」
  “2つ"の時間が刻一刻と迫り、受話器を持っている手とは反対の手のひらにはたくさんの100円玉が並べられている
  いくら待ってもシルクは出てくれない、あっという間に時間の制限をこえてしまい次の小銭を入れようとする
乾「入ってくれ!はいれ・・・100円足りない!どこだどこだ!!」
乾「チッ!くっ、あった!早く入れ!」
  全部投入し終えて、ダイヤルを回す
  しかし、今回も出てくれない
乾「くそ!!何してんだあの人っ!次、次のお金・・・や、やべえ!」
乾「やべえ!!全部焦って落としちまった!」
  咄嗟の判断でガラテアが全部拾って、小銭を投入する
乾「すまない!ありがとな!」
  もうこれで4回目の電話となる、いい加減でてくれないと困る・・・と言っては足を小刻みに貧乏ゆすりする
「なんだ!すまないが長話には付き合えないぞ!!!!!」
  シルクが何やら怒りを孕んだ声色と口調で電話に出る
  電話越しでも聞こえる慌ただしい靴音と彼の激しい呼吸
乾「もしもし乾です!今、オレの・・・ガラテアたちの学校が襲われてて・・・っ!」
「うっ、"そっちも"か!クソ・・・!!」
乾「あ、どういう・・・ちょっ!?」
乾「き、切られた!!」
乾「くっそ・・・ガラテア!お前は早く家に戻れ!お前の家にも何か起きてる気配がする!!何かが起きる前にもどれ!!」
乾「"おまえの大切な家族だろうが!"」
  乾は受話器をぶら下げてそう伝える
乾「オレの命は気にしなくていい!オレはこれから神宮を助けにいくから!さっさと別行動しろ!!」
  その声は焦りと怒りで若干震えている
乾「はやくいけッ!!!」
  すると、ガラテアは不安そうな表情を浮かべると一度振り返ったのちに、うつむきながら自宅へ走って向かっていく
乾「神宮待っててくれよ!」
「絶対にお前を死なせねえからな!!!」

〇田舎の学校
ゲルド「どうした!!そんな血だらけになってもまだ立ち上がるってことはオレに反抗できるってことだろ!?」
神宮「ひゅ・・・・ヒューヒュー・・・え、ええまだやってやる・・・わよ」
ゲルド「へえ〜根性だけは一人前なんだなあ」
ゲルド「だけどな、オレの前でそういう根性を見せてきた連中は・・・全員無事じゃ済まなかったぞ」
神宮「それを・・・ヒュー・・・ヒュー・・・覚悟しての・・・ことよ・・・」
  軍隊のようなメンタルで戦意をあらわにしているが、体は目を逸らしたくなるほどボロボロに肉が皮が崩れている
ゲルド「ならば・・・!!その「覚悟」ごと肉と命を削ぎ落としてくれるっ!!!!」
神宮「こい・・・よっ!」
  神宮がゲルドの攻撃に対抗しようとしたが、乾が木の枝を投げつけて戦いに割って入る
乾「神宮っ!!ダメだっ!もうやめとけ!!!」
神宮「乾の・・・バカ・・・・・・来るなって言った・・・のに」
乾「お前は傷が治るまで遠くに避難しろ!こいつの目的はオレだけだ!関係ないやつが巻き添えくらっちゃ意味ねえだろうが!!」
乾「自分の体見てみろよ!!そんな体で戦うことはできねえ!!不死身じゃないんだからよ!」
神宮「バカ・・・乾・・・・・・」
乾「神宮!・・・お前は十分、いや限界まで頑張った!だからゆっくり休め!」
ゲルド「させん」
  ゲルドの殴りが首に直撃する
乾「どこ・・・狙ってんだ・・・!!アホンダラ!!」
ゲルド「あぁ?」
  乾は神宮を地面に優しく寝っ転がせては、ゲルドの体を押す
乾「お前のことずっと!気が済むまでボコボコにしてやりたかったんだよ・・・!!」
ゲルド「ふん、口先だけのガキが何を言ってんだ!そんな口を叩かないぐらいにボロボロにしてやる」
  ゲルドが大きく手を振り上げる、乾も大きく手を振り上げる
ゲルド「か・・・あ・・・っはっ!!」
乾「クソが・・・クソがクソがっ!!」
ゲルド「ちょ、調子にのっ・・・」
「うぐぁああっ!!」
  後頭部を思いっきり殴られたためか、地面にへばりついてピクピクと痙攣する
乾「お前、以前より力‥衰えたんじゃないか」
ゲルド「ふ、ふざっけ・・・うっぐ、おい!ミズヤこいつを・・・潰せ!」
ゲルド「ミズヤ!!って、おい!ミズヤ!」
  名前を呼ぶがそこにはミズヤの姿がなかった
ゲルド「あいつううううう!!!」
乾「もう、お前は終わりだな・・・」
ゲルド「ば、馬鹿言え・・・俺はまだ死なねえぞ・・・ふっふふふふふ」
ゲルド「オレは・・・逃げることにも長けてんだぜ?ほーら」
ゲルド「さらばだああっ!!」
乾「まて!!くっ・・・逃した!」
神宮「ヘリ・・・あそこ・・・に・・・飛んで・・・」
乾「ど、どこだ?あれかっ!!多分ありゃあミズヤ工場方面に飛んでってるな・・・!」
乾「神宮っ!お前は俺の背中に乗れ!!救急車くるまでおんぶするから!」
神宮「う・・・・・・ん・・・・・・」
乾「背負ってやるからこっちこい!」
  力が入らない神宮の手を優しく掴んで、おんぶすると急いで先ほどの公衆電話のとこに走っていく
  そして、すぐに救急車を呼び運んでもらう事に成功し救急隊員にあとは任せて乾はヘリを追いかける

〇王妃謁見の間
カルシャ「なんじゃ、貴様らは!」
ゼルヴァ「我らは組織「フォールズリンク」の、偵察およびガラテアの捕獲を担当している者だっ!」

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