第6話 お母さんに会いたい(脚本)
〇風流な庭園
遠野 朔馬(サクマ)「・・・」
遠野 朔馬(サクマ)「わっ!」
遠野 朔馬(サクマ)「ど、どうしたの?」
葛西 凛音(リンネ)「さくまくんこそ、こんな夜になにしてるの」
遠野 朔馬(サクマ)「え、えとー」
遠野 朔馬(サクマ)「たそがれてた・・・かな」
葛西 凛音(リンネ)「ふぅん」
葛西 凛音(リンネ)「僕もいてもいい?」
遠野 朔馬(サクマ)「・・・いいよ」
遠野 朔馬(サクマ)「・・・」
遠野 朔馬(サクマ)「・・・」
遠野 朔馬(サクマ)「え、えと」
遠野 朔馬(サクマ)「お姉さん、独特だね」
遠野 朔馬(サクマ)「なんて言うかこう、」
遠野 朔馬(サクマ)「個性的?」
遠野 朔馬(サクマ)「みたいな」
遠野 朔馬(サクマ)「・・・」
遠野 朔馬(サクマ)「・・・」
葛西 凛音(リンネ)「さくまくんって前世とか信じるの」
藤崎 実莉(ミノリ)(え?急に?)
葛西 凛音(リンネ)「僕は信じる」
葛西 凛音(リンネ)「僕、君と会ったとこがあるんだ」
葛西 凛音(リンネ)「僕としてじゃなくて」
葛西 凛音(リンネ)「直接じゃないけど」
葛西 凛音(リンネ)「君を知ってる」
葛西 凛音(リンネ)「前世の君を」
葛西 凛音(リンネ)「輪廻転生とか信じなかったら気にしなくていい」
葛西 凛音(リンネ)「聞き流してくれたらいいよ」
遠野 朔馬(サクマ)「信じるよ・・・」
遠野 朔馬(サクマ)「きみ、」
遠野 朔馬(サクマ)「拓也くん?」
遠野 朔馬(サクマ)「だよね」
遠野 朔馬(サクマ)「産まれてくるはずだった弟」
遠野 朔馬(サクマ)「産まれたけど生きてなかった」
遠野 朔馬(サクマ)「お母さんからきいたよ」
遠野 朔馬(サクマ)「ずっと拓也くんの誕生日は祝ってたんだよ」
遠野 朔馬(サクマ)「お母さん、毎回泣いてた」
遠野 朔馬(サクマ)「私、赤ちゃんのときだったからわかんない」
藤崎 実莉(ミノリ)「でも大切にされてたのは知ってる」
藤崎 実莉(ミノリ)「だってそうじゃないと本人不在の誕生日で泣かへんしな」
葛西 凛音(リンネ)「いた」
藤崎 実莉(ミノリ)「え?」
葛西 凛音(リンネ)「本人不在じゃない」
藤崎 拓也(タクヤ)「俺はずっと」
藤崎 拓也(タクヤ)「ここにおったんやで」
藤崎 拓也(タクヤ)「お姉ちゃん」
藤崎 実莉(ミノリ)「たくやくん」
藤崎 拓也(タクヤ)「無愛想な子でごめんな」
藤崎 拓也(タクヤ)「そうじゃないとやっていけへんかったら」
藤崎 拓也(タクヤ)「お姉ちゃん、ごめんな」
藤崎 実莉(ミノリ)「たくやくん」
藤崎 拓也(タクヤ)「たくやってよんでや」
藤崎 実莉(ミノリ)「たくやっ!!」
〇風流な庭園
藤崎 実莉(ミノリ)「明日な、こっそり抜け出してお母さんとこ会いに行くねん」
藤崎 実莉(ミノリ)「たくやもくる?」
藤崎 拓也(タクヤ)「うん!俺も行く!」
藤崎 実莉(ミノリ)「ホンマにおっきいなあー!」
藤崎 実莉(ミノリ)「中1?の見た目??」
藤崎 実莉(ミノリ)「生きてたら高校生なんかー!」
藤崎 実莉(ミノリ)「見た目は私に合わせられてんのかな?」
藤崎 実莉(ミノリ)「わたしよりおっきいやーん!しかも顔もめっちゃイケメン!」
藤崎 実莉(ミノリ)「私成長せーへんからなー笑」
藤崎 拓也(タクヤ)「お姉ちゃんも可愛いやーん!」
藤崎 実莉(ミノリ)「ホンマにー?そうでもないでー」
「・・・」
藤崎 実莉(ミノリ)「ってかどうやって中身の人見えてるん???」
藤崎 拓也(タクヤ)「はっ!たしかに」
藤崎 拓也(タクヤ)「でもこの感じ他の人には見えてへん」
藤崎 拓也(タクヤ)「もしかしたら打ち解けて」
藤崎 拓也(タクヤ)「生まれ変わりを言った人にしか見えんのかもしれん」
藤崎 実莉(ミノリ)「やったら良かった」
藤崎 実莉(ミノリ)「バレてへんのやな」
藤崎 拓也(タクヤ)「多分・・・」
藤崎 実莉(ミノリ)「こわ」
藤崎 実莉(ミノリ)「多分がいちばん怖いわ」
藤崎 拓也(タクヤ)「確かにっ!笑笑」
葛西 麻衣(マイ)「ふぁー」
葛西 麻衣(マイ)「君たち、まだ起きてたのですか」
葛西 麻衣(マイ)「早く寝るのですよっ」
「はーい」
〇電器街
葛西 瑞希(ミズキ)「さくらっちちょー面白いんですがー?」
相生 桜子(サクラコ)「いやまじみずっぢもおもしろすぎてやばーい」
遠野 隼斗(ハヤト)「ギャルワカンナクテコワーイ」
遠野 朔馬(サクマ)「いくよ」
葛西 凛音(リンネ)「うん!」
〇通学路
遠野 朔馬(サクマ)「多分この辺やったとおもうねんけどなー」
遠野 朔馬(サクマ)「あっ!あったー!」
葛西 凛音(リンネ)「え?でも誰かおるで」
〇一戸建ての庭先
藤崎 利人(リヒト)「いこっ!」
藤崎 愛(アイ)「いこっかー」
遠野 朔馬(サクマ)「うそ、お母さん」
葛西 凛音(リンネ)「だれ」
遠野 朔馬(サクマ)「もしかしたら!親戚の子かも!!」
遠野 朔馬(サクマ)「着いていくぞ!」
葛西 凛音(リンネ)「うん!」
〇電器街
遠野 奏(カナデ)「かわいいー!」
葛西 美里(ミサト)「さくらこちゃんのおちる意味も分かるわねー」
相生 悠(ユウ)「は、恥ずかしい・・・」
葛西 麻衣(マイ)「大人たちは恋愛で盛り上がってますの」
葛西 麻衣(マイ)「さくまくん!わたくしの恋愛相談に乗ってくれます?」
葛西 麻衣(マイ)「あれ?」
葛西 麻衣(マイ)「さくまくん?」
遠野 海亜(ミア)「ママーさくまはー?」
遠野 奏(カナデ)「え?どういうこと?いるでしょ??」
葛西 美里(ミサト)「いない・・・」
遠野 奏(カナデ)「なんですって!!さくま!!」
葛西 美里(ミサト)「りんねもいない!!」
葛西 美里(ミサト)「りんねー!!」
遠野 奏(カナデ)「パパ!りんねくんとさくまがいない!!」
遠野 隼斗(ハヤト)「なんだって!!」
遠野 隼斗(ハヤト)「トイレ見てくる!」
葛西 瑞希(ミズキ)「子供たちは僕が見てるから皆さんは店の中を見てきてください!」
遠野 奏(カナデ)「ありがとうございます」
〇通学路
藤崎 利人(リヒト)「かーさんはどんな服買うのー?」
藤崎 愛(アイ)「お母さんはねー」
遠野 朔馬(サクマ)「お母さん」
遠野 朔馬(サクマ)「私たち以外に子供つくったんや」
遠野 朔馬(サクマ)「宝はいくらあってもいいっていうん」
遠野 朔馬(サクマ)「私一応誘拐されたんやで」
遠野 朔馬(サクマ)「唯一死体が見つからなかったんやで」
遠野 朔馬(サクマ)「なのに、なんで・・・」
葛西 凛音(リンネ)「お姉ちゃん・・・」
遠野 朔馬(サクマ)「6年経ったら立ち直れるん!!!」
葛西 凛音(リンネ)「待って」
葛西 凛音(リンネ)「多分あの子僕と同い年や」
藤崎 実莉(ミノリ)「うそ」
藤崎 拓也(タクヤ)「だってあの感じ」
藤崎 拓也(タクヤ)「まだ小学生になれる感じじゃないやん」
藤崎 実莉(ミノリ)「たしかに」
藤崎 実莉(ミノリ)「ちょっと聞きに行こ」
藤崎 拓也(タクヤ)「ちょっと!お姉ちゃん!」
遠野 朔馬(サクマ)「おばさん」
藤崎 愛(アイ)「わっ!どうしたのー?まいご?」
藤崎 利人(リヒト)「幼稚園で見たことなーいだれー?」
遠野 朔馬(サクマ)「おばさん、この子のお姉ちゃんの死体見つかったん?」
藤崎 愛(アイ)「えっ!!」
藤崎 利人(リヒト)「どーゆーことー?」
藤崎 愛(アイ)「変な子なんやわ、いこ」
藤崎 利人(リヒト)「う、うん」
遠野 朔馬(サクマ)「おばさんすぐに立ち直れるんや!」
遠野 朔馬(サクマ)「死んだ娘と息子の気持ちも知らんと!!」
遠野 朔馬(サクマ)「おばさんは何食わぬ顔で子供こしらえて幸せに暮らしてるんや!」
遠野 朔馬(サクマ)「なああんた」
遠野 朔馬(サクマ)「あんたのお姉ちゃんのこと知ってるか」
藤崎 利人(リヒト)「し、しらん」
藤崎 利人(リヒト)「僕にお姉ちゃんなんかおらん」
遠野 朔馬(サクマ)「おるわ」
遠野 朔馬(サクマ)「おったんや」
遠野 朔馬(サクマ)「おったのに誘拐されて殺されてん!!」
遠野 朔馬(サクマ)「ほなお兄ちゃんは?」
藤崎 利人(リヒト)「知らん、兄弟なんかおらん」
遠野 朔馬(サクマ)「おばさん、とうとう誕生日も祝わんくなったんやな」
遠野 朔馬(サクマ)「私たちほんまざんねんやで」
葛西 凛音(リンネ)「お姉ちゃん、もうええやん」
遠野 朔馬(サクマ)「うっ、うう」
藤崎 利人(リヒト)「かーさん?」
???「さくまっ!りんねっ!!」
遠野 奏(カナデ)「もう!!!どこにいたのよっ!!!」
遠野 奏(カナデ)「どうして泣いてるの!!」
遠野 奏(カナデ)「すいません、うちの子が迷惑かけましたか」
藤崎 愛(アイ)「いえ、大丈夫です」
藤崎 愛(アイ)「私も考え直します」
藤崎 愛(アイ)「失礼します」
遠野 奏(カナデ)「ああっ!」
遠野 奏(カナデ)「なんで!!こんなところにっ!!」
葛西 美里(ミサト)「ほんとに!!心配したんだからね!!!!」
葛西 凛音(リンネ)「ごめんなさい・・・」
遠野 奏(カナデ)「電話するよ」
遠野 奏(カナデ)「もしもし、うん、みつかった」
遠野 奏(カナデ)「なんか住宅街にいたみたい」
遠野 奏(カナデ)「うん、うん、りんねもさくまもいる」
遠野 奏(カナデ)「わかった、そっちに行くね」
遠野 奏(カナデ)「とりあえず、みんな向こうで待ってるから行こ」
〇電器街
遠野 隼斗(ハヤト)「どこにいってたんだ!!!」
遠野 隼斗(ハヤト)「心配したんだぞ!!」
遠野 朔馬(サクマ)「ごめんなさい」
葛西 麻衣(マイ)「まあ生きてたならいいじゃないですの!」
葛西 瑞希(ミズキ)「だいたいどうしてあんなところに行ったんだ!」
葛西 瑞希(ミズキ)「麻衣やパパ達に着いてきてたらあんなところになんて行かないだろ」
葛西 凛音(リンネ)「か」
葛西 凛音(リンネ)「かわいいわんちゃんがいたから」
葛西 凛音(リンネ)「さくまくんと行ったら迷子になった」
相生 真斗(マナト)「んじゃあなんでおばさんといたんだ?」
相生 真斗(マナト)「別に喋る必要なかったじゃろう」
相生 桜子(サクラコ)「こら!まなと!」
遠野 朔馬(サクマ)「おばさん・・・か」
遠野 朔馬(サクマ)「そうやんな・・・おばさんよな・・・」
藤崎 実莉(ミノリ)(私も生きてたらもう大学生やったんかな・・・)
遠野 隼斗(ハヤト)「まあ怒ってても仕方ないしもう行くぞ」
遠野 隼斗(ハヤト)「今度は離れるなよ」
遠野 朔馬(サクマ)「はい」
葛西 凛音(リンネ)「ごめんなさい」