例外な二人の例外ではないところ(脚本)
〇渋谷のスクランブル交差点
イコル「人がいない夕暮れの渋谷なんて、なかなか見られないよ?」
ディオン「まあ、ボクたちのせいなんだけどね」
イコル「キャハハハ! だねぇ。そのとおり」
ディオン「まあ、研究施設を壊滅させたんだから当然といえば当然」
イコル「ワタシたちを、モルモット扱いしたんだから当然の報いさ」
イコル「決めたんだ、ワタシ。もう、人間の言いなりにはならない」
ディオン「ああ、それには賛成だよ。ボクもね」
ディオン「まあ、それはいいとして。囲まれてるな、警察に」
ディオン「どうする?」
イコル「このワタシを止められるもんなら止めてみなってね」
ディオン「でも、人死には出したくないんだろ?」
イコル「そうだね。できれば、だけどね」
ディオン「軍人の臭いが混じってるな。約1キロ先、狙撃手だ」
イコル「そう・・・向こうも本気って訳だ」
ディオン「銀製の弾頭や50口径なんかだと厄介だな」
ディオン「ボクが無力化するとしよう」
イコル「ねぇディオン」
ディオン「なんだい?」
イコル「どうしてワタシに付き合ってくれたの?」
ディオン「イコルといると退屈しないから」
イコル「それだけ?」
ディオン「イコルは強いけど危なっかしいからね」
ディオン「ボクが一緒にいないと。それに・・・」
イコル「それに?」
ディオン「独りぼっちは、さみしいもんさ」
ディオン「そこだけは、ボクたちも例外じゃない。だろ?」
イコル「そうだね・・・」
ディオン「まあ、ボクがイコルと一緒にいたいのさ」
イコル「そう・・・」
ディオン「じゃあ、ボクは狙撃手を片付けてくるよ」
イコル「うん。お願い」
ディオン「じゃあ、すぐに戻るよ」
イコル「さーて、と、じゃあワタシは・・・」
イコル「人間に、ワタシの恐さを教えてやろうか」
イコル「と、言いたいところだけど・・・」
イコル「ディオンを待つとしますか・・・」
イコル「ワタシは独りじゃないんだから」
作品世界の奥行きがスゴくて、この前後のストーリーも妄想できそうです。
長編SFの一番美味しいシーンのみを贅沢に切り取って読んだ感じで、短編とは思えない充実した読後感です
いやもうノリノリじゃないっすか❤️
狼男ではなく、ライカンスロープって言葉を持ってくるあたり( ̄ー ̄)ニヤリとしちゃいます。
楽しんで作られてるのが伝わってきます😄
過去と未来が色々想像できる一編ですね。