第4話 「ひとり」(脚本)
〇病院の待合室
K「逃げて!」
梅見清和「っ・・・!」
Kに押されて間一髪のところで触手を避け
転がるように外へ飛び出す。
看護師「待ってェ・・・ふふ・・・うふふっ・・・」
梅見清和「くっ、あっちに逃げよう!」
K「わかった!」
〇病院の廊下
梅見清和「院長室に行かなきゃならないんだったな? 地下室の鍵がどうとか・・・。 逃げながら向かうのは無理か?」
K「アレがひとりだけならいけるかもね」
梅見清和「!? まさか、あんなのが他にもいるのか!」
看護師「ぐ・・・ギッ・・・ どこ・・・かなァ・・・」
梅見清和「もう来たのか!?」
K「とりあえず上に向かって。 院長室は最上階にある」
梅見清和「なっ、どうしてそんなことを知っている!」
K「いいから早く!」
Kの指示通り階段へ向かい、上を目指す。
背後は振り返らないようにしながら、
がむしゃらに足を動かした。
〇大きい施設の階段
梅見清和「はあっ、はあっ・・・。 くっ、まだ最上階じゃないのか」
K「休んでる暇ないよ。早く」
梅見清和「っ・・・君ほど・・・はあっ・・・ 若く、ないんだよ・・・っ・・・」
K「知ってる。だけど死んでほしくないから 言ってるんだよ」
梅見清和「俺が生きてなきゃ、 葉月を助けてやれない──」
梅見清和「・・・そう、だな・・・悪い・・・ 文句なんか・・・はあ・・・ 言ってる場合じゃない、な・・・」
K「巻き込んでごめんね。 でもあなたしかいないから」
梅見清和「・・・っ」
梅見清和「この子も・・・謝るんだな。 感情なんかなさそうだと思ってたのに」
梅見清和「・・・謝らなくていい。 せっかく頼ってもらったんだ、頑張るよ」
梅見清和「君も葉月を助けようと してくれてるわけだしな」
K「・・・うん」
梅見清和「っし・・・もうひと頑張り──」
ズズッ・・・
梅見清和「! また音が」
K「大丈夫・・・じゃないけど、さっきの奴。 新手じゃないよ」
梅見清和「はは・・・全然大丈夫じゃないな・・・」
無理をして笑おうとした時、
つうっと背筋に嫌な汗が伝った。
梅見清和「・・・!」
K「今度はなに?」
梅見清和「アレはひとりじゃないんだよな? じゃあ葉月が危ないんじゃないのか?」
K「危ないのはもとから──」
梅見清和「あいつが葉月の病室へ現れるかもしれない 今すぐ助けに行かないと・・・うわっ!?」
不意に足がもつれ、その場に倒れ込む。
咄嗟に振り返ると、そこには奇妙な触手を
伸ばした看護師の姿があった。
看護師「いただきまァす・・・ふふっ・・・」
梅見清和「ち、近づくなっ!」
とっさにライターを取り出し、
伸びてきた触手に火をつけた。
看護師「あああ、熱い、熱いっ!」
K「今のうちに逃げるよ!」
梅見清和「あ、ああ!」
看護師「痛い・・・いたァい・・・ 痛い・・・痛い痛い痛い痛い・・・」
梅見清和「あいつ、いつまで追いかけてくる つもりなんだ!」
K「お腹がいっぱいになるまで」
梅見清和「俺を食べるまでってことかよ・・・っ」
〇大きい病院の廊下
梅見清和「はーっ・・・はーっ・・・ 最上階・・・来た、ぞ・・・」
K「気を抜かないで。 まだ追ってきてるんだから」
ズッ・・・ズズッ・・・
梅見清和「・・・!」
K「このまま院長室まで行くよ。 隠れてる余裕なさそうだし──」
???「きゃあああああっ!」
梅見清和「? 今、叫び声が聞こえなかったか? まさか葉月じゃ・・・!」
K「葉月じゃない・・・はず、だけど」
梅見清和「院長室には君ひとりで行ってくれ」
梅見清和「俺は・・・ 俺は、葉月のもとへ行かなきゃならない」
K「・・・そうだね。 その方がいいかもしれない。 あなたにとっては」
梅見清和「・・・ひとりにして大丈夫か?」
K「心配してくれてありがとう。でも、あなたにとって一番大事なのは葉月でしょ?」
梅見清和「・・・・・・」
K「葉月を守って。 私もそのために来たんだから。 ・・・死なないでね」
梅見清和「君も。・・・絶対にまた会おう」
K「うん」
梅見清和「柚香、葉月を・・・。 ・・・葉月だけじゃない、 この子のことも守ってくれ」
〇病室の前
梅見清和「化け物はいないみたいだな。 ・・・ん?」
警官「・・・・・・」
梅見清和「!」
梅見清和「あの人はさっき見た警官か?」
梅見清和「あのっ・・・!」
梅見清和「いや、待て。・・・様子が変だ」
ズッ・・・ズズッ・・・
梅見清和「荷物を引きずってる? なんだ、あのやたらでかい袋は」
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うーん、お昼に読んで良かった。
夜だとかなり来ると思うの