マリアの蟲

安野木

第3話 「化け物」(脚本)

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〇総合病院
梅見清和「おい、もう門が閉まってるぞ。 明日出直した方が良いんじゃないか」
K「それじゃ間に合わない」
梅見清和「そんな・・・!」
K「塀を乗り越えて勝手に入るよ」
梅見清和「潜入って言ってたのは こういうことか・・・」
K「ほら、行くよ」
梅見清和「ああっ、くそっ!」

〇病院の廊下
梅見清和「・・・やけに静かだな。 明かりも全然ないし」
梅見清和「いや、夜の病院なんだからこんなもんか? 今まで入院した経験がないからな・・・」
梅見清和「せめて人の姿があればな。 看護師はどこへ行ったんだ?」
K「よく喋るね。不安?」
梅見清和「・・・そうだな。人が死ぬところを見て、 娘はあんな目に遭って」
梅見清和「挙句には夜の病院に勝手に入り込むなんて 不安を感じない方がどうかしてる」
K「その割には冷静に見える」
梅見清和「無理してるだけだ」
K「じゃあ私と一緒だ。似てるね、私たち」
梅見清和「・・・あんまりうれしくないな。 ・・・で、君はどこへ向かってるんだ?」
K「院長室。 そこにある鍵がないと地下室に入れない」
梅見清和「地下室? そんなものがこの病院にあるっていうのか」
梅見清和「・・・ずっと思ってたんだが、 なんで君はそんなにいろいろ 知り得ないはずの情報に詳しいんだ」
K「未来から来たって言ったでしょ」
梅見清和「・・・わかったよ、もう聞かない」
梅見清和「言う気がないんだろ。 未来なんて信じられるか」
K「・・・地下室に行けば葉月を治せる。 それがわかれば充分じゃない?」
梅見清和「治せる? それが本当なら とっくに医者が使ってるだろ」
K「医者があなたの思うような『人間』ならね」
梅見清和「は? それはどういう──」
K「しっ! 今、なにか聞こえなかった?」
  ズッ、ズズッ、ズッ・・・
梅見清和「・・・? 足音・・・? いや、何かを引きずってる?」
K「こっち来て。隠れないと」
梅見清和「事情を説明した方が早そうだが・・・ うわっ、引っ張るなよ」

〇ナースセンター
K「・・・・・・」
看護師「・・・・・・」
梅見清和「・・・ん、さっきの足音は看護師か。 隠れなかったら鉢合わせてたな」
看護師「・・・・・・」
梅見清和「・・・? あの看護師、妙な動きをしてないか?」
梅見清和「ぎこちないというか・・・ 足を引きずってる? 怪我でもしてるのかな」
K「なんで鉢合わせたら困るってわかってるのに喋るの? 喋るなら頭の中で喋ってて」
梅見清和「・・・悪い」
梅見清和「なんにせよ、人がいるとほっとするな。 まあ、それぞれの部屋に患者はいるん だろうが。・・・あ」
患者「看護師さん、部屋の空調がおかしいんです」
患者「なんだかひどく寒くて。 見てもらえませんか?」
看護師「・・・がっギギッ・・・」
梅見清和「・・・? なんだか様子が──」
患者「ぎゃっ!」
梅見清和「!?」
看護師「ずっ・・・じゅっ・・・」
梅見清和「なんだ、あれ。看護師の口から 変な管みたいなものが・・・」
K「・・・見つかったらあなたもああやって 管を刺されて、体液を吸われる」
K「死ぬまで」
梅見清和「・・・!」
患者「あ゛・・・っ・・・ぎ・・・」
梅見清和「助けないと・・・!」
K「どうやって?」
梅見清和「未来から来た君なら わかってるんじゃないのか!?」
K「信じてないくせに」
梅見清和「俺の態度が気に入らなかったなら謝る。 だから早くあの人を」
K「もう無理だよ」
梅見清和「そんな・・・」
看護師「・・・ずっ・・・じゅっ・・・ ずるっ・・・」
患者「ぅ・・・あ゛・・・」
梅見清和「・・・っ」
梅見清和「俺は悪夢を見てるのか」
梅見清和「ほんの数メートルしか離れてない 場所で・・・人間じゃないなにかが、 人を殺してる」
K「あの人は運が悪かったね。 たまたま夜に・・・ あいつらがああなるときに来ちゃった」
梅見清和「あの化け物についても なにか知ってるんだな」
K「しっ。・・・こっちに来る」
梅見清和「!」
看護師「あ・・・ああ・・・」
梅見清和「まさかこの部屋に入ってくるのか!?」
梅見清和「・・・っ」
K「もう少し奥へ行こう。 入口から見えないところに」
梅見清和「あ、ああ」
梅見清和「きっと夢だ。 こんなのは夢に決まってる・・・!」
梅見清和「・・・・・・」
K「・・・・・・」
看護師「あ・・・あァ・・・足りない・・・ お腹空いたなァ・・・」
梅見清和「喋って・・・る・・・」
看護師「うー・・・お昼・・・ 抜かなきゃよかった・・・ あはは・・・」
梅見清和「頼む、夢なら覚めてくれ」
K「! 動いちゃだめ!」
梅見清和「あっ」
  恐怖からか、無意識に身体を引いた
  そのときだった。

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コメント

  • 何か絶体絶命状態なのですが…
    (お祈り)

  • まるでバイオ4の気分で見てました。(。・ω・)ノ

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