マリアの蟲

安野木

第2話 「未来から来た少女」(脚本)

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〇通学路
K「大丈夫だよ。あなたの娘は・・・ 葉月は私が助けるから」
梅見清和「どういうことなんだ、事情を──」
K「のんびりしていていいの? 葉月が待ってるんでしょ」
梅見清和「・・・・・・」
K「この子のことなら、 私が警察に連絡しておいてあげる」
梅見清和「・・・いや俺からも通報しておくよ」
梅見清和「こんな得体の知れない奴に すべて任せるのは危険だ・・・」
梅見清和「警察さえ呼んで後は何とかなるだろう」
K「うん、じゃあお願い」
梅見清和「それじゃあ・・・」
K「葉月によろしく」
梅見清和「・・・ああ」

〇病室のベッド
梅見清和「これは・・・!」
  病院で俺が見たのは、異様なほど
  腹を膨らませた葉月の姿だった。
梅見葉月「はあ・・・はあ・・・ううっ・・・」
梅見清和「この姿はまるで・・・」

〇通学路
梅見清和「おい! どうしたんだ!」
少女「いた・・・いだい・・・ いだいいだいいだいいいいい!」
梅見清和「――うわあっ!?」

〇病室のベッド
  腹が裂けて絶命した
  少女の姿が脳裏に浮かぶ。
梅見清和「葉月の身になにが起きているんですか?」
医者「・・・お父さん、葉月さんの 交友関係は把握していますか? 交際している男性など・・・」
梅見清和「まさかただの妊娠だと言うんですか?  ありえません!」
医者「年頃の女の子が家族に言えず・・・ というのは少なくないケースです」
医者「娘さんの体調や様子に 変化はありませんでしたか?」
梅見清和「朝はいつも通りだったんです。 突然こんなにお腹が大きくなるなんて、 どう考えてもおかしいでしょう!」
警官「梅見清和さんですね。 先ほどは通報ありがとうございました」
梅見清和「あ、ああ、はい」
梅見清和「どうして葉月の病室に警察が? ・・・まさか」
梅見清和「葉月のこの状態と、あの女の子の状態は もしかして同じものなんですか?」
  倒れていた少女の腹もまた、
  今の葉月のように膨れ上がっていた。
梅見清和「葉月があんなふうになるはずがない。 ありえない・・・!」
梅見清和「なにが起きているのか教えてください!」
梅見清和「さっきの子だって、 どうしてあんなことに・・・!」
警官「落ち着いてください、梅見さん。我々も この件について調べているところです」
医者「そうですよ。少し冷静になりましょう」
梅見清和「娘がこんな状態だっていうのに、 冷静になれるわけないじゃないですか!」
医者「こういうときだからこそ、です」
医者「お父さんがそんな状態で 娘さんが安心できると思いますか?」
梅見清和「くっ・・・もちろん自分が冷静にならないといけないことは分かっています」
梅見清和「でも、あまりにも色々なことが 起きすぎて・・・」
警官「梅見さん、申し訳ありませんが お伝えできる内容にも限りがあるんです」
梅見清和「・・・それはどういう意味でしょう」
警官「通報いただいた女子高生の件も、 そして娘さんの件も、未知のウイルスが 関わっている可能性がありまして」
梅見清和「・・・!」
警官「不審死とされていますが、これがウイルスによるものではと言われているんです」
梅見清和「葉月もそうだと?」
警官「可能性がゼロとは言い切れません」
梅見清和「未知のウイルスって・・・。 急に言われても理解できません」
医者「こちらでも警察の皆さんと協力して、 一刻も早く原因を見つけようとしている ところです」
警官「先ほどの女の子も こちらの病院に運ばれました」
警官「これからなにが起きたか調査いたします」
  示し合わせたようにふたりから
  同時に詰められ、なにも言えなくなる。
梅見清和「じゃあ、葉月はその未知のウイルスに 感染したっていうのか?」
梅見清和「いつ? どうして葉月が?」
梅見葉月「う・・・おと・・・さん・・・」
梅見清和「!」
梅見葉月「お腹・・・痛い・・・うっ・・・」
梅見清和「大丈夫だ、すぐに治るからな・・・」
梅見葉月「うう・・・」
梅見清和「いつも通りに見送ったんですよ。 なのに、どうして・・・」
医者「責任をもって葉月さんの回復に努めます。 ですから今日はどうぞお帰りください」
梅見清和「はい」
梅見清和「言いたいことは山ほどある。だが・・・ ここで文句を言っても仕方がない」
梅見清和「・・・わかりました。 娘をどうかよろしくお願いいたします」
  本当は朝まで
  葉月の傍についていてやりたい。
  しかし、祈る以上にやれることがない俺は
  彼らにとって邪魔者でしかなかった。

〇総合病院
梅見清和「柚香・・・葉月を守ってくれ」
K「病院から追い出されちゃった?」
梅見清和「君は、さっきの・・・」
K「『K』だよ」
梅見清和「ケイ?」
K「そう。それで呼んでくれればいいや」
梅見清和「相変わらずよくわからない子だ」
梅見清和「そういえば君は なにか知ってるようだったな」
梅見清和「葉月の身になにが起きてるんだ? 教えてくれ」
K「このままだと三時間以内に死んじゃうね」
梅見清和「は・・・?」

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