『罪な女』(脚本)
〇西洋の街並み
これは、世界が滅びる少し前──
勇者・アールク「あ〜、やっと集落に着いた・・・」
勇者・アールク「一週間くらい、ゆっくりしようぜ」
戦士・ピーファ「何言ってんの、早く都に戻って報告しないと」
勇者・アールク「でもよ、魔王軍の支店一つぶっ潰してきたんだぜ?」
戦士・ピーファ「そんなに疲れてないでしよ?」
戦士・ピーファ「あのレベルなら、私一人でも余裕だったし」
勇者・アールク「よく言うぜ」
勇者・アールク「なぁ、ジーモはどう思う?」
魔道士・ジーモ「勇者殿の言う事には従うべきかと」
勇者・アールク「じゃあ、決まりだな」
勇者・アールク「あ、そこのお嬢さ〜ん」
町人A「ようこそ、勇者様」
町人A「旅の疲れ、癒やしていってくださいね」
勇者・アールク「あ・・・あ・・・」
『罪な女』
勇者・アールク「コレが、勇者しか持つ事を許されない伝説の剣」
勇者・アールク「どう? 凄いでしょ?」
町人A「ようこそ、勇者様」
町人A「旅の疲れ、癒やしていってくださいね」
戦士・ピーファ「アールクさ、毎日毎日何やってんの?」
勇者・アールク「ベ、別に何だっていいだろ?」
勇者・アールク「な?」
町人A「ようこそ、勇者様」
町人A「旅の疲れ、癒やしていってくださいね」
魔道士・ジーモ「勇者殿、大変ですぞ!」
勇者・アールク「だから、別に俺は──」
魔道士・ジーモ「都に魔王軍が攻め入っているようですぞ」
勇者・アールク「何だって!?」
魔道士・ジーモ「一刻も早く、都に戻りましょうぞ」
勇者・アールク「・・・・・・」
勇者・アールク「・・・なぁ、俺と一緒に来てくれないか?」
戦士・ピーファ「はぁ? 何言ってんの!?」
勇者・アールク「俺は、君に聞いてるんだ!」
町人A「ようこそ、勇者様」
町人A「旅の疲れ、癒やしていってくださいね」
戦士・ピーファ「無理に決まってるでしょ」
戦士・ピーファ「その子は、NPCのモブキャラなんだから」
勇者・アールク「どうしても、ダメかな?」
町人A「ようこそ、勇者様」
町人A「旅の疲れ、癒やしていってくださいね」
勇者・アールク「俺は、君に側にいて欲しいんだ」
町人A「ようこそ、勇者様」
町人A「旅の疲れ、癒やしていってくださいね」
戦士・ピーファ「いい加減、諦めな」
勇者・アールク「・・・・・・」
町人A「ようこそ、勇者様」
町人A「旅の疲れ、癒やしていってくださいね」
勇者・アールク「そうか、わかったよ」
勇者・アールク「・・・さようなら」
町人A「・・・行っちゃうの?」
勇者・アールク「えっ、今何て!?」
町人A「ようこそ、勇者様」
町人A「旅の疲れ、癒やしていってくださいね」
勇者・アールク「・・・・・・」
町人A「ようこそ、勇者様」
町人A「旅の疲れ、癒やしていってくださいね」
魔道士・ジーモ「勇者殿、そろそろ出発しましょうぞ」
勇者・アールク「・・・どうやら、俺の旅はここまでのようだ」
戦士・ピーファ「は? またまた何言ってんの?」
勇者・アールク「俺は、この村に残る」
「はぁ〜っ!?」
勇者・アールク「ピーファ、コイツを使ってやってくれ」
戦士・ピーファ「私に『勇者になれ』って言ってんの?」
勇者・アールク「魔王なんて、ピーファ一人で余裕だろ?」
戦士・ピーファ「いや、それは・・・」
魔道士・ジーモ「しかし、勇者殿・・・」
勇者・アールク「『勇者の言う事には従うべき』じゃないのか?」
魔道士・ジーモ「む・・・」
魔道士・ジーモ「いかがなされますか、ピーファ殿・・・」
魔道士・ジーモ「いや、勇者殿?」
戦士・ピーファ「・・・・・・」
戦士・ピーファ「行こう」
魔道士・ジーモ「・・・いつかまた、お会いしましょうぞ」
勇者・アールク「・・・という訳だ」
勇者・アールク「幸せになろうな」
町人A「ようこそ、勇者様」
町人A「旅の疲れ、癒やしていってくださいね」
その後、二人はこの村で一生を添い遂げた
数十日後、魔王が世界を滅ぼすまで──
GAME OVER
NPCに惚れてしまうって……わかります←
いつか違うセリフを言ってくれるのではないかと夢中になりそうですよね。彼女が魅力的であればあるほど
やられてしまいました😆
やはり魔王討伐に男勇者は必要だったのですね。
むしろアールクにとって数十日で世界が終わって万々歳じゃないかな。人生の最後に最愛の人?と添い遂げられたから。それにしても町人Aはいろんなもののメタファーだなあ。アールクのことを笑える男の人はこの世にいないと思いますよ。