読切(脚本)
〇小劇場の舞台
大和「どうも~神奈川な女でーす」
秦野「私が秦野で相方が大和と言います」
大和「横浜でも湘南でもない地域の二人でやっております」
秦野「神奈川な女です」
秦野「そういえば私、やってみたいことあるんだけど」
大和「なに〜」
秦野「先輩達の漫才の入りでヒーローインタビューってあるじゃん。あれやってみたいんだけど」
大和「ヒーローインタビューをしたいんじゃなくて、ヒーローインタビューから入る漫才をやりたいの」
秦野「そうそう。私スポーツ番組とか見ないから、ヒーローインタビューよく解らないんだよね」
秦野「だから漫才風に。お願い」
大和「今一気にハードル上げたの分かってる?漫才中に先輩達みたいな漫才したいって言ってるんだよね」
秦野「そうそう、軽くパクればいいんでしょ?」
大和「重めにディスってるよ。先輩達の話芸を軽くパクるって」
秦野「完コピの方がいいの?」
大和「それ路上ミュージシャンじゃん。私らプロの漫才師なんだから、オリジナルでいかないと駄目じゃん」
秦野「じゃあ無難に、万引きGメンネタをしてみようか!?」
大和「それもディスっているけど」
秦野「生活安全課長、生活安全課長。これよりスーパーで万引きした主婦にダークヒーローインタビューします」
大和「ダークヒーローインタビュー?」
秦野「まずは14時30分。玉子パックをバッグに入れましたよね。あの時の気持ちは」
大和「急に高めに上昇したので、つい入れてしまいました」
秦野「それから14時45分、カレールーをバッグに入れましたけど」
大和「そうですね。最初に入れた玉子パックが功を奏して、バッグにスペースができたんですよね」
大和「そこにスッと、低めな姿勢で入れました」
秦野「15時00分、パン粉を入れたのは」
大和「そうですね〜玉子、カレールーと入れた中でクッション的な物が欲しくなりまして」
秦野「だからですね?15時15分。そこに本マグロを浮かせ気味に差し込んだのは」
大和「新鮮な本マグロの柵切り。ここで晩ごはんのおかずを決めにいきたいと思いました」
秦野「逆にそこまでのプレイには、ややブレを感じましたが」
大和「そうですね〜。とりあえず前半は抑え気味に。後半リズムに乗ってからは、本日の晩御飯に絞ってバッグに入れていきました」
秦野「なるほど、かなり計算された盗順だったんですね」
大和「そうですね〜。近年では映像判定もありますので、細心の注意はしたつもりでした」
秦野「ありがとうございました。以上、本日約一万円の万引きを試みて、失敗に終わりました、大和さんからのインタビューでした〜」
大和「いや〜盗順は悪くなかったと思っていますけどね〜」
大和「って、結局ヒーロインタビューになってるじゃん」
秦野「おかげで夢叶ったよ」
大和「次こそは神奈川ネタで」
秦野「どうも~ありがとうございました」
ダークヒーローから徐々にヒーローに転じるようなインタビューのネタが最高でした! こういう2人にパクられる先輩は悪い気はしないでしょうね。
犯罪だから応援しちゃダメだけど、流暢な盗順の説明を聞いてるうちに、なんとか盗塁に成功して店外に滑り込みセーフしてほしいと願っちゃいました。神奈川ネタも聞いてみたい。