魔法使いの竜葉

さつまいか

第9話 名前(脚本)

魔法使いの竜葉

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〇基地の広場(瓦礫あり)
  生暖かい風がふく。
杏奈「ここに来るのは一週間ぶりだね・・・ なんだか懐かしい感じがするなぁ」
沙利「そうね・・・ 模擬戦をやる、となったらここだもの」
  今杏奈たちが来ているのは
  前学院編入をかけて模擬戦をした
  中央広場だ。
リティア「ほら、杏奈 2人の邪魔になりかねない ベンチを作ったから こっちに来ておいた方がよいぞ」
  ベンチ、と言えるかも分からない木の箱の
  上に座り、リティアが手招きしてくる。
杏奈「うん、分かった! 今行くね~!」
  よほど早く模擬戦が見たいのか、
  ダッシュでリティアの元に駆けていく。
〈機械人間〉の少女「よろしく、沙利ちゃん!」
沙利「ええ、こちらこそ」
  少し離れたところにいた
  〈機械人間〉の少女が歩み、
  2人が定位置につく。
  戦いが、始まる__!
  と、思ったのもつかの間。
沙利「まず、あなたは物理と魔術、 どっちの使い手なの?」
  沙利が、そんなことを問う。
杏奈「ねー、沙利ぃ、最初っから戦う! っていう感じじゃないの?」
  不満げな顔で、遠くから杏奈が沙利に叫ぶ。
沙利「杏奈はそうなるから 私が今回のを引き受けたのよ」
沙利「まずそういう、得意な技を聞いてから、 それを実戦して、ひもといていく というものなのよ?」
沙利「技を見極める、というのは」
杏奈「分かったよう」
杏奈「今回は沙利のやり方を見守ることにするね!」
沙利「ええ、それでお願い」
〈機械人間〉の少女「話は終わったー?」
沙利「ええ」
沙利「あなたは、どっちの技が得意なの?」
〈機械人間〉の少女「うーん・・・」
〈機械人間〉の少女「この背中についてる矢で攻撃できるし、 風魔術で敵を切り刻むこともできるよ~」
〈機械人間〉の少女「まあ、魔術の方は切り傷程度で 致命傷にはなり得ないけどね」
沙利「なるほど・・・ ありがとう」
沙利「じゃあ、杏奈、〈葉の魔物〉を召還できる?」
杏奈「え?ここであたしの出番!?」
沙利「ええ まずは魔物と戦闘したら 分かりやすいと思って」
杏奈「分かった!」
杏奈「汝よ、戦いに飢えている者よ__ 今我の声を聞き届け、 我らに衝撃を与えたまえ・・・」
杏奈「〈葉の魔物〉!!」
  ザシュン、という音がして、
  杏奈の目の前に緑の光をまとった
  木くずのようなものが現れる。
杏奈「あの紫髪の少女にいい具合の攻撃を」
  杏奈が特徴を言い、命令を出すと、
  木くずは〈機械人間〉の少女に向かって
  駆けていく。
リティア「・・・なっ、杏奈よ、 力に目覚めるのが速くはないか?」
杏奈「そう? 沙利のスパルタ修行のおかげで、 葉に魔力を込めれるようにもなったんだよ!」
リティア(沙利め、一体どんな修行を 杏奈に強いたのだ・・・)
  杏奈の成長速度を聞き、
  沙利の修行方法について、
  リティアは不安を持った。
杏奈「ほら、あの子が戦い始めるよ! よく見とかないと・・・!」
リティア「あ、ああ・・・」
  杏奈がそう言い、リティアは
  視線を前の2人に戻す。
〈機械人間〉の少女「存分にしていいんだよね?」
沙利「ええと、少し軽めでお願いできる?」
沙利「一発で倒してしまっては 力が分からなくなるから」
〈機械人間〉の少女「りょーかい!」
〈機械人間〉の少女「って、えぇ!? なんか鳥みたい、 というか鳥になってるんだけど!?」
沙利「ああ、心配しないで 杏奈がまだ未熟だから葉じゃなくて 動物の姿になってしまうだけだから」
〈機械人間〉の少女「わ、分かった・・・」
〈機械人間〉の少女「いくよ、魔物さんっ!」
  気を取り直して、
  彼女は自慢の脚力で跳躍する。
沙利(凄い・・・ ひと蹴りでこんなスピードなんて)
  その身体能力に驚く沙利。
〈葉の魔物〉「ギャァァァァ!!!」
  だが、魔物は雄叫びをあげ、
  彼女の仕掛けようとした攻撃を、
  読んだかのように躱す。
〈機械人間〉の少女「え!? まだ攻撃なんてしてないのに、 たかが魔物がそれを感知できるの!?」
沙利「生み出された魔物は、その主に 性格というか、性質が似るらしいの」
沙利「この子の場合、杏奈に似てるわけだから、 攻撃は読まれて当然、 と考えた方がいいでしょうね」
〈機械人間〉の少女「そんなのっ! でも、アタシは〈機械人間〉!」
〈機械人間〉の少女「武力で圧倒してあげる!」
  彼女がそう言い放つと、
  少女の後ろの__彼女が言うには矢が、
  魔物向かって飛んでいく。
  しかも、常人には見えないくらいの、
  速いスピードで。
〈葉の魔物〉「ギャッ_!」
〈機械人間〉の少女「えぇ!? これでもまだ倒れないの!?」
〈機械人間〉の少女「ちょっと思ってたより強いな・・・」
杏奈「あ、それってあたしを褒めてくれてるの?」
  杏奈が2人には聞こえないくらいだが、
  小さい声でそう呟く。
沙利「頑張って!」
  沙利は少し離れたところで
  他人事のように応援する。
〈機械人間〉の少女「うん、もっちろん!」
〈機械人間〉の少女「アタシの攻撃受けたから、 少しは弱ってるでしょ!」
〈機械人間〉の少女「魔術の飽和攻撃には、耐えられる?」
  にっ、と笑うと、魔方陣を展開する。
〈機械人間〉の少女「風よ、我の願いを聞き届け、 目の前の敵を殲滅せよ__!」
〈機械人間〉の少女「__〈風切り〉(エアシュトラッシュ)!!」
  四方八方から来る風の斬撃が
  魔物を切り刻む。
〈葉の魔物〉「キアッ__」
〈機械人間〉の少女「やっと、倒れた・・・」
  魔物が虚空に消えたのを見て、
  彼女はふう、と息を吐く。
沙利「手応えはどうだった?」
〈機械人間〉の少女「大ありだよ!」
〈機械人間〉の少女「あと、”まず”って言ってたけど まだやるの・・・?」

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