イロトリドリな女(脚本)
〇通学路
私は恋をした
彼はいつも無表情だけど
野良猫に優しく微笑む姿を見て一目惚れしたのだ
彼の理想の女の子になりたい・・・
どんな子が好きなんだろ?
女の子らしくてかわいい子?
私「あっ おはよう!」
彼「おはよ」
私「あ、あのねっ」
私「あっ」
女の子らしい子はタイプじゃなかった・・・?
じゃあこんな子はどう・・・?
──次の日──
私「おっはよー!!」
彼「おはよ」
元気で明るい誰からも好かれる子!!
私「ねぇ!聞いてよ!! 昨日ね・・・」
私「あっ」
もしかして馴れ馴れし過ぎた!?
だったら
──次の次の日──
私「・・・ぁっ」
恥ずかしがり屋で大人しい女の子だったら・・・!!
私「あ、あのっ おっ・・・」
私「・・・ぁっ」
挨拶すらできなかった!?
コミュ症過ぎたかも・・・
次はもっと馴れ馴れしくもなく大人し過ぎない子にしなきゃっ!!
──次の次の次の日──
私「あら 今日も奇遇ね おはよう」
大人っぽくてしっかりした感じの女の子はどうかしら
彼「おはよ」
私「昨日のことなんだけど・・・」
私「えっ」
また!?
どうして?
すごく自然だったはずなのに・・・
もしかして全然タイプじゃなかったのかな・・・
ええい!
こーなったら!!
──次の次の次の次の日──
私「・・・」
彼「・・・」
私「何見てんだよ」
クールで媚びない女
彼「・・・」
私「・・・!?」
さすがにやりすぎた・・・
──次の次の次の次の次の日──
私「あっ おはよ〜 今日もいい天気だねぇ」
包容力のある癒し系女子ならどうかなぁ?
彼「・・・おはよ」
私「あっ!!」
どれも全然ダメ
一体どんな子が好きなの・・・?
──次の次の次の次の次の次の日──
彼「・・・」
私「おはようなのら〜! 仲良くしてほしいのら〜!!」
掴みどころがない不思議ちゃん系!!
私「あっ 待つのら!!」
私「おっ お願い待って!!」
彼「・・・」
私「私はただあなたと仲良くなりたいだけなの・・・」
彼「・・・」
彼「なら普通にしてればいい」
彼「俺は本当のあんたとなら話したいと思う」
私「えっ 本当の・・・私」
本当の私なんて・・・
だって何も特徴のない
普通の人なんだもん・・・
──そして、ある日──
私「お・・・ おはよう」
彼「おはよ」
私「私、2年B組の木村彩子です」
彼「・・・知ってる」
私「そうだよね! 同じクラスだし」
私「でも改めて挨拶したくて」
彼「そうか・・・」
私「よろしく武藤真一くん」
彼「ふっ」
私「え!? 今笑った!?」
彼「・・・笑ってない」
私「えっ でも今・・・」
私「あっ!! ちょっと待ってよ武藤くん!!」
この後
私たちが仲良くなれたかどうか・・・
まだ誰も知らない
🍬面白かったです!🍬
武藤くん、毎朝笑いを堪えるのに必死だったんじゃないかな。だってコスプレだけじゃなく体型まで変えてくるんだもん。あえて相手を泳がせてネタ切れになるまで楽しんでたのかも。面白かったです!