〇競技場のトラック
実況アナ「さぁ、第１回世界大声選手権決勝、 優勝争いは３人に絞られました！」
実況アナ「日本の森！」
実況アナ「イタリアのロッシ！」
実況アナ「そして紅一点、アメリカのミラー！」
実況アナ「この３人の最終発声の結果次第で、 世界一大声を出せる人間が 誰か決まります！」
森「やっぱり最後は、この３人か・・・」
ロッシ「これまでキミ達とは、 何度も凌ぎを削ってきたからねぇ・・・」
ミラー「誰が勝っても、恨みっこなしよ！」
森「・・・」
森「大丈夫、必ず勝てる・・・」
森「オレには、秘策がある！」
実況アナ「さぁ、森！運命の最終発声！」
森「・・・好きだ！ミラー！」
実況アナ「おーっと、森！ 思わぬ告白だぁーっ！」
森（４年間ずっと秘めてきたこの想い・・・。 解き放った声は、誰よりも強いはずだ！）
実況アナ「・・・さぁ、結果は？」
実況アナ「出た！最高記録！ 森、現時点でトップ！ 金メダルが見えてきたぞ！」
実況アナ「さぁ、続いてはロッシ！ 森の記録を超えられるか・・・？」
ロッシ「・・・オレもミラーが好きだー！」
森「え!?」
実況アナ「なんとーっ！ ロッシもまさかのバトル参戦だぁーっ！」
実況アナ「さぁ、結果は・・・」
実況アナ「んーっ、森にはわずかに及ばない！ 森、銀メダル以上確定！」
ロッシ「・・・クソッ！」
森「マジかよ・・・」
実況アナ「さぁ、いよいよクライマックス！ 最後は渦中のミラー！」
実況アナ「いろんな意味で、決着はつくのかー!?」
ミラー「・・・ロッシが好きー！」
「え!?」
実況アナ「うわぁぁぁ！明暗くっきりーっ！ ・・・さぁ、記録のほうはどうだ？」
実況アナ「・・・あーっと、届かなーい！ 森、金メダル獲得ー！」
ロッシ「森、金メダルおめでとう！」
ミラー「おめでとう！」
「・・・」
「・・・えへへっ」
森「あ、ありがと・・・」
森「・・・」
インタビュアー「放送席！放送席！ 見事、金メダルを獲得しました 森選手です！」
インタビュアー「おめでとうございます！」
森「・・・」
インタビュアー「どうやら、いろんな感情が溢れ出して 言葉にならないようですね・・・」
インタビュアー「・・・ご自身で、今日の勝因は いったいなんだと思いますか？」
森「・・・いよ」
インタビュアー「えっ？」
森「・・・どうでもいいよ」
インタビュアー「声ちっちゃ！」