フライド フラッシュ フィッシュ

イツカ

読切(脚本)

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〇アパートのダイニング
明美「ふぁぁ・・・」
  明美はテーブルに無造作に置かれているレジ袋に手を伸ばした。
明美「そういや、何か買ってたんだっけ」
  連日の疲れのせいか、少し前の記憶すらはっきりしない。
  買い物から帰ると袋はそのままにして、少しだけベッドで横になった。
  少しだけのはずだったのに、すっかり夜が更けてしまっていた。
明美「こんなの買ったっけ?」
  明美はパックに入れられた揚げ物を取り出した。
明美「フライド フラッシュ フィッシュ・・・」
  半額のシールが貼られたその下にはそう書かれていた。
  そういえば朝から何も食べていない。
  明美は電子レンジで少し温めてから、フライドフラッシュフィッシュを食べることにした。
  待っている間、付けっぱなしになっていたテレビのチャンネルを変えてみる。
  どれもパッとしない。
  大げさに笑うテレビの声が耳につく。
  笑ってお金が貰えるなんて、なんていい仕事なのだろう。
  最近笑ったのっていつだっけ?
  電子レンジからフライドフラッシュフィッシュを取り出してきて、テーブルに置いた。
明美「ソースは・・・」
明美「げ、賞味期限が切れてら・・・」
  明美は結局何もかけずに、フライドフラッシュフィッシュにかじりつくことにした。
  衣がサクッと音を立てる。
  ほんのり温かいフライドフラッシュフィッシュは、口の中でほろりと崩れた。
明美「うまッ!!」
  ほのかな甘みと塩気が絶妙だった。
明美「フライドフラッシュフィッシュ、恐るべし・・・」
  一口、また一口と、箸が進む。
明美「アレ、まだ残ってたっけ?」
  冷蔵庫にはスパークリングスプラッシュスプライトが横たわっていた。
  キャップをひねると炭酸が抜ける音がした。
  22時過ぎての飲み食いは良くないって言うけど──
  冷え切ったスパークリングスプラッシュスプライトが喉を流れていく。
明美「染みる~」
  明日は大事なプレゼンの日だ。
  何度も打合せをしてきた。絶対に失敗できない。
  フライドフラッシュフィッシュをかじる。
  スパークリングスプラッシュスプライトで流しこむ。
  テレビから聞こえてきた笑い声に、明美はつられて、久しぶりに笑った。

コメント

  • なんか主人公の気持ちに共感の嵐でした。重要なことやらなきゃってプレッシャー感じているときは、こういうサクッサクとしたものだったり、シュワシュワとしたものだったりジャンクっぽいものを口にしたくなる。なんなんでしょうね、、あれ。

  • まるで自分自身のエピソードのように共感しながら読んでいました。とにかく首を縦に振りながら。フライドフラッシュフィッシュとスパークリングスプラッシュスプライトには首を横に振りましたがw どちらも声に出して言いたい名称ですね!

  • フライドフラッシュフィッシュ、揚げ魚もこう横文字になると気分上昇の助けになりますね。揚げ物と炭酸飲料も使い方によっては人を癒してくれる材料です!

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