君の隣は運次第!

あとら

君の隣は運次第!(脚本)

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〇ネオン街
  冬休みを間近に控えた12月中旬。
  期末テストも終わり、クラスの仲良い奴等と一緒にカラオケへ行くことになった。

〇カラオケボックス
  歌は良い。日頃の勉強疲れが取れていく。
  一通り歌い終わった俺達は飲み物を飲んだり、スマホを弄り始めた。
  その時、
  俺の親友が鞄の中から箱を取り出すと勢いよくテーブルに叩きつけ、宣言した。
親友「よし!野郎共!今から告白抽選大会を行うぞ!」
クラスメイト「おぉー!!!」
  告白抽選大会の開催を聞いたクラスメイト達は、怒号にもよく似た声を上げると、歌を歌っていた時とは違う振動が室内を震わせた。

〇華やかな寮
  告白抽選大会
  それは学校一のマドンナ・姫花ちゃんに告白する順番を決める大会だ。
  姫花ちゃんは文武両道、容姿端麗、おまけに誰にでも優しいという非の打ち所がない、学校一の人気者だ。
  男達は皆、姫花ちゃんの事が好きだ。
  もちろん、俺もそのうちの一人だ。

〇カラオケボックス
親友「そろそろクリスマス、年末年始、バレンタインという冬のリア充三大ビッグイベントがやってくる!」
親友「そんなリア充イベントを姫花ちゃんと過ごしたくないか!?」
クラスメイトその2「過ごしたいに決まってるだろ!」
クラスメイト3「過ごしたくないなんて言う男は男じゃねぇ!」
クラスメイト「でも出来れば友達としてじゃなくて彼氏として姫花ちゃんと過ごしたい!!!」
親友「そうだ! だからこの企画が行われることになった!」
親友「幸い、姫花ちゃんには彼氏がいない! だからこそ俺達にもチャンスがある!」
親友「みんな!姫花ちゃんの彼氏になりたいかー!」
クラスメイト「そんなの当たり前だよなぁ!!」
親友「よし!いい返事だ!」
親友「だが一斉に告白に行っても姫花ちゃんの負担になるだろう!だから今回はくじが入った箱を持ってきた!」
親友「この箱の中に数字が書かれた紙が入っている!数字は告白順だ! さぁ、野郎ども!チャンスをその手で掴み取れぇ!!!」
クラスメイト「おぉ!!!」

〇高い屋上
  告白順を決めたからと言って、姫花ちゃんが付き合ってくれるとは限らない
  そもそも姫花ちゃんは学校のマドンナ。彼女に告白してきた男達の中には女子に人気の男もいた。

〇教室
親友「おいおい。姫花ちゃんまた告白断ったのかよ」
俺君「これでイケメン勢は全滅したな。姫花さん、イケメンに興味ないのかな?」
親友「なら、俺らにもチャンスがあるって事じゃね?」
俺君「いや、お前ポジティブだな」
親友「顔じゃなくてハートで男を見る子って事だよ」
俺君「お前のそういうところ、ちょっぴり羨ましいよ」

〇カラオケボックス
  好きだ。付き合いたい。
  それは俺だって同じ気持ちだ。
  でも姫花ちゃんは、高嶺の花だ。
  通行人Aの俺なんかじゃあ、彼女と釣り合う訳がない。
  それでも今ここにいるのは、告白して振られてこの気持ちを捨ててラクになろうという、サイテーな思いがあったからだ。
  どこまでも後ろ向きだな、俺。

〇カラオケボックス
親友「ほい、最後はお前な」
  親友が抽選番号が入った箱を俺の前に出してきた。
  ・・・・・・もう後には引けない。
  俺は覚悟を決めて箱の中に手に入れると、ガサガサと音を立てながら、紙を一枚摘んだ。
  箱の中から三角に折られた紙を取り出すと、両手で紙の端を掴み、恐る恐る紙を開いていった。
  5番
親友「あー・・・・・・。一番最後だな」
  最後と聞いて何も感じないのは、諦めの境地にいるんだろうな、俺。
親友「気を落とすなよ。逆転ホームランって可能性もあるだろ?」
  ったく。お前だって姫花ちゃんを狙っているくせに、良い奴だな、ホント。
親友「よし!全員引いたな!」
親友「告白は明日行う!今日はその前日だ!」
親友「泣いても笑っても明日!俺たちの運命が決まる!告白が成功した奴も失敗した奴も等しく仲間だ!お互いに讃えあおう!」
クラスメイトその2「おうよ!!!」
親友「それでは諸君!今日はこれまで! 健闘を祈る!解散!」
  こうして告白抽選会は幕を閉じた。

〇高い屋上
  翌日
  結果から言うと俺を除いた皆、姫花ちゃんに振られた。
  建物の陰から振られたショックで涙を流しながら、俺の恋路の行方を見守ってくれている親友が顔を覗かせていた。
姫花ちゃん「お待たせ!」

〇高い屋上
俺君「やぁ、急に呼び出しちゃってごめんね」
  うん、今日も彼女は可愛い。
  だからこそ、覚悟なんか決めなくても、自然と口にしたい事がハッキリと言う事ができる。

〇高い屋上
俺君「好きです!!! 結婚を前提に付き合ってください!!!」
姫花ちゃん「・・・・・・」
姫花ちゃん「えっと、俺君?」
俺君「はっ!はい!?」
姫花ちゃん「私達、結婚を前提に付き合うどころか、恋人同士として付き合う程、お互いを知らないじゃない?」
俺君「あっ、はい・・・・・・」
姫花ちゃん「だから、俺君と付き合いたいって思える程、俺君の事知りたいなぁ」
姫花ちゃん「だから、連絡先、交換しよ?」
俺君「えっ、あ、あっ・・・・・・」
俺君「喜んで!!!」

〇学校の昇降口
  その日の夕方
親友「お前やったなぁ!おめでとう!」
俺君「ただ連絡先交換しただけだろ」
親友「あのなぁ!告白してきた中で姫花ちゃんから連絡先を交換しようと申し出たのはお前が初めてなんだよ!」
親友「ほんとよかったな!」
俺君「・・・・・・お前はいいのか?」
親友「姫花ちゃんがそうしたかったんなら、俺は何も言わねぇよ」
俺君「・・・・・・そっか」

〇学校の昇降口
  ピロリンとメッセージ受信音が聞こえてきた。俺はポケットからスマホを取り出し、画面を見た。
  ねぇ、俺君、たこわさって好きだったよね?
  おばあちゃん、たこわさを作り過ぎちゃったみたいで、今度家に食べに来ない?
  これが俺と姫花の交際が始まる前日の出来事だった。

コメント

  • ちゃんとくじの通りに順番を守ってるところがかわいかったです。
    最後ってたしかにドキドキしますよね。
    途中で誰かを受け入れてしまったら、そこでゲームオーバーですから。

  • 男の友情ってやつか…!
    恋一つでこれだけ盛り上がれるって、青春なのかな?
    大人になっても恋は高揚しますが…。
    ちなみにたこわさは好きです!

  • クラスメイトの男子たちが告白にギラギラしているくせに、みなクジの結果に大人しく従っているところが妙にツボでした。登場人物たちがみな悪意なく気持ちよく読めました。

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