読切(脚本)
〇電車の座席
たけし「座らないの?」
さえ「・・・・・・ うん、いい」
たけし「こんなにすいてるのに・・・? 何で座らないの?」
さえ「いっぱいいるから・・・」
たけし「えっ! どこに? 何? 誰もいないでしょ?」
さえ「いるんだよ。いっぱい」
たけし「なに? どーゆーこと? 何かの冗談?」
さえ「実はさ・・・ あんまり言いたくなかったんだど・・・ あたし、見えちゃうんだ」
たけし「見えちゃう!って? ・・・・・・何が?」
さえ「ほら、あそこ 血だらけの女の人が座ってるし、 あっちには、水浸しの家族連れがいる ドアのところにも・・・・・・」
たけし「ねぇ、ねぇ、さえちゃん、 嘘でしょ!嘘でしょ! そんな、マジな顔しないで!ってば・・・」
たけし「さえちゃん、視線が僕の後ろじゃん! ウソでしょ? やめてよ!」
さえ「うわぁ~! こんなの初めてだよ。 すごい数だ・・・・・・」
たけし「えっ! 何? 何? まさか、僕に・・・・・・? 背中が、ゾクゾクするんですけど・・・」
さえ「たけし・・・ いっぱい、ついてる ずいぶん連れてきたもんだ」
たけし「ついてるなんて・・・・・・ 何がだよ! 勘弁してよ~ 一人で寝るの怖いから、泊まりに来て! マジ、怖いんですけど・・・」
さえ「なるほど・・・」
たけし「なるほどって? 何を納得してるの? 怖いから、どんなのがついてるなんて 言わなくていいからね!」
たけし「うーむ・・・」
さえ「可愛らしいおばあちゃんと 優しそうなおじいちゃん そして、犬と猫と・・・ オウムとインコと 金魚とメダカと カブトムシ」
さえ「たけしって どんだけ、いい人なんだよ。 みんな、たけしを愛してる」
たけし「じいちゃんやばあちゃんなら、わかるけど、 虫まで、ついてんのかーい!」
さえ「みんな、 たけしのことが 大好きなんだってさ!」
さえ「まあ、あたしもだから、わかるけど・・・」
たけし「えっ!本当? どさくさに紛れて、 これって、コクられたってこと? やっぱ、泊まりに来て!」
さえ「バカ! 調子に乗りすぎ!」
たけし「さぁーせーん!」
見える女は、
浮遊霊だけではなく、
守ってくれる霊も見えるのでした。
さえちゃん、厄介な体質……
そして、どんどんとホラー展開に……
と思っていたところの、ハートフルさらにイチャラブへの着地、気持ちのいいラストですね!
ホラーかと思ったら最後はほっこりしちゃいました。この二人がいいムードになっても後ろからおじいちゃんがのぞいていたら色々とやりにくいかもですね。