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hitoka

ep1(脚本)

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〇ファミリーレストランの店内
  40歳にもなると同級生は
  ほとんど結婚している
  俺も5年前から同居してる妻がいる
  法的手続きは取ってない事実婚ってやつだ
  それなりに仲良くやってて
  ご近所からはおしどり夫婦なんて
  呼ばれるほどだ
片岡「久しぶりだな今川 葵さんは最近どうだ?」
今川「ああ、今日連れてこようとも 思ったんだけどな」
今川「お前が聞いてほしいことがある なんて言うから止めといたわ」
片岡「賢明な判断だ」
  目の前にいるこいつは片岡
  高校からの同級生で数少ない親友の一人
  妻の葵もよく知ってる関係だ
  片岡は人のが傷つくようなことも
  ズバズバ言うし正しいと思ったことは
  誰かが犠牲になってもやり遂げる
  まあ変わり者、と言うやつだ
今川「で、聞いてほしいことって何だ?」
片岡「結論から言うと結婚式に招待された」
今川「結論になってねーよ それのどこが聞いてほしいことなんだ?」
片岡「俺は今まで結婚式に 招待されたことがない」
今川「おいおい、俺とタメで初めてって・・・」
今川「まあ変わり者のお前のことだから 驚きはしないけどな」
片岡「どうやら俺の言葉が 二人の仲を取り持ったらしい」
今川「ふぅん、恋のキューピットってやつか 似合わねぇなあ」
片岡「で、何をしたらいい? 出雲大社には昨日行ったんだが」
今川「なんで結婚するっつってんのに 縁結びの神様のとこ行った?」
今川「まず落ち着いてだな・・・ そんな難しいことじゃないさ」
今川「テーブルマナーと祝儀の渡し方を 予習しときゃなんとかなる」
今川「あとは流れに任せてりゃ 気づけば終わってるさ」
今川「結婚式はいつなんだ?」
片岡「明日だ」
今川「今すぐ予習しろ 出雲大社行ってる場合か」
片岡「しかも友人代表のスピーチとやらを 頼まれている」
今川「難易度が跳ね上がったぞ」
片岡「だが安心しろ 参列者は500人ぽっちらしい」
今川「どこぞのプリンセスか?」
今川「え、ウソだろ、まずどうする?」
片岡「そうだな・・・ 3日前から止まらない緊張を 和らげるところから始めるか」
今川「もう緊張してんのかよ!」
片岡「手が震えすぎて Suicaもタッチできないほどだ」
今川「すげぇブレ幅の震えじゃねえか」
今川「・・・仕方ねぇな」
今川「まず、スピーチは紙に書いて 棒読みでもなんでもいいから とにかく読み切ることだが・・・」
今川「内容は・・・」
片岡「内容ならある程度流れは考えた」
今川「おっ、たたき台があるだけでもデカイぜ ちょっと読んでみろよ」
片岡「わかった」
片岡「前略・・・」
今川「手紙!」
今川「もういい、冒頭はカット、次!」
片岡「相次いで起こる不幸な出来事にも 泣くこともせず耐え」
片岡「将来の離婚の可能性も断ち切り 面白味のない生活を終わらせ・・・」
今川「ストップ!」
今川「何その 結婚式で言っちゃいけない言葉10選」
片岡「結婚式には禁句なんてあるのか・・・」
片岡「他にはなんだ? ファッ◯とかか?」
今川「それはもう全状況で 言っちゃダメな言葉だ」
今川「もういい、一番核の部分・・・」
今川「クライマックス読んでみろよ そこがちゃんとしてればいいわ」
片岡「アオイさん、あなたが今の旦那に黙って 別の人と突然結婚式を挙げるなんて 驚きましたが」
今川「バラすなバラすな! トンデモねぇ花嫁だなそのアオイって・・・」
今川「・・・」
今川「・・・アオイ?」
片岡「そう、葵だよ」
片岡「お前の奥さんの」

コメント

  • 最後の最後にタップする手が止まりました。こんな形で相談したのは、彼なりの友達への配慮なんでしょうか? この後、二人がどうなったか考えるだけで気が遠くなりますが・・・読み物としては最高でした!

  • 騙されました笑
    オチまで全くわからなかったです!
    会話のテンポとセンスがよくて、すごく引き込まれました。
    でもたしかに事実婚だから、他の人と結婚出来るよねって後で思いました。

  • 作品のテンポの良さと、片岡の変人らしい発言内容で、オチに関わる恐ろしい発言を読み逃すところでした。今川とシンクロして同時に驚いてしまいました。

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