狂おしいほど熱せられ

穂橋吾郎

第九話 狂おしいほど熱せられ(脚本)

狂おしいほど熱せられ

穂橋吾郎

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〇明るいリビング
福地 理沙「み、満・・・」
西川 満「理沙、久しぶり、会いたかったよ」
西川 満「少し痩せたんじゃない?」
西川 満「ちゃんとご飯食べてる?」
西川 満「心配だなぁ」
福地 理沙「なんで、ここに・・・」
坂本 敏明「り、理沙さん、逃げて、早く・・・」
西川 満「うるさい、お前は死ね」
坂本 敏明「がっ・・・!」
福地 理沙「いやぁぁぁ!」
西川 満「これで大丈夫。もう邪魔は入らないよ」
福地 理沙「こ、来ないで・・・!」
西川 満「理沙、落ちついて」
西川 満「ほら、こっちにおいで。迎えに来たんだ」
福地 理沙「やめて!」
西川 満「少し混乱してるんだね」
西川 満「ほら、抱きしめてあげるから、おいで」
福地 理沙「助けて、誰か・・・」
西川 満「理沙、他の奴のことなんか頼るな」
西川 満「俺だけを見ろ。俺がずっと、お前を愛してやるから」
福地 理沙「なにを、言ってるの・・・」
西川 満「やりたいことが見つかったって言っただろ」
西川 満「理沙と離れて、もう一度よく考えたんだよ」
西川 満「俺は一体、何がしたいんだろうって」
西川 満「そしたら、やっぱり理沙だったんだ」
西川 満「俺がやりたいのは、理沙とずっと一緒にいることだ」
西川 満「俺はお前といるためなら、何だって出来るぞ」
福地 理沙「いやあああっ、助けて!」
西川 満「大人しくしてくれないと、暴力で黙らせなきゃいけなくなる」
西川 満「理沙と一緒にいるために、理沙を傷つけるなんて・・・」
西川 満「そんな、悲しいこと俺にさせないでくれよ」
福地 理沙「け、警察を呼んだ!」
西川 満「嘘は良くない。通報する暇なんてなかっただろ」
福地 理沙「これを、使ったの!」
西川 満「防犯ブザー?」

〇豪華なリビングダイニング
福地 理沙「防犯ブザーですか?」
坂本 敏明「ええ、音は出ませんけど」
坂本 敏明「ピンを引き抜くと警察に通報が行き、GPSを辿ってすぐに助けに来ます」
坂本 敏明「もちろん、使わないに越したことはありませんが」
坂本 敏明「理沙さんには、安心して日常生活を送っていただきたいんです」

〇明るいリビング
福地 理沙「早く、出て行って・・・」
西川 満「・・・・・・」
福地 理沙「もう、あたしに関わらないで!」
西川 満「警察? 逮捕される?」
西川 満「もう理沙と一緒にいられない・・・?」
福地 理沙「お願いだから、諦めて・・・」
西川 満「なんで分かってくれない・・・」
西川 満「なんで俺の愛を受け入れてくれない・・・」
西川 満「なんで俺たちだけの世界に、余計なものを持ち込むんだ!」
福地 理沙「きゃあああっ!」
西川 満「一緒に生きられないなら、一緒に死のう!」
福地 理沙「やめて、助けて!」
  理沙は床を這って、寝室へ逃げ込もうとした。
  しかし、満が理沙に馬乗りになり、動きを封じた。
福地 理沙「いやぁ、いやっ!!」
西川 満「理沙、最後にもう一度聞くよ」
西川 満「俺と一緒に生きていかないか?」
西川 満「俺は、本当にお前を愛しているんだ」
福地 理沙「はぁ、はぁ・・・」
福地 理沙「無理よ・・・」
福地 理沙「あたしの気持ちは冷めてしまったの・・・」
福地 理沙「もう満を愛することは無い!」
西川 満「・・・残念だ」
西川 満「大丈夫、理沙、俺もすぐに行くからね!」
福地 理沙「いやぁぁぁ!」
坂本 敏明「うおおっ!」
西川 満「!」
福地 理沙「坂本さん!」
坂本 敏明「逃げ、て、理沙、さん・・・」
西川 満「さっさとくたばれ、死にぞこないがぁ!」
坂本 敏明「がっ、ああっ、ぐあっ!」
西川 満「おら、死ね!」
福地 理沙「やめて・・・」
西川 満「理沙は、俺のものだ!」
福地 理沙「やめて!!」
西川 満「ぐあああああっ!」
西川 満「理沙・・・」
西川 満「理、沙・・・」
西川 満「あ、あ、あ・・・」
西川 満「愛、して、る・・・」
福地 理沙「はぁ、はぁ・・・」
  遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきた。
福地 理沙「うう、ううう・・・」
  理沙はゆっくりと立ち上がり、足をもつれさせながら外へと出て行った。

〇黒
福地 理沙(・・・警察に保護されたあたしは、すぐに病院へ搬送され)
福地 理沙(そのまま入院することになった)
福地 理沙(坂本さんを失ったあたしには、もはや体温を下げる術がなかった)
福地 理沙(・・・きっとこれは罰なのだ)
福地 理沙(坂本さん、満・・・)
福地 理沙(あたしに関わった人は、みんな不幸になる)
福地 理沙(だからあたしも、苦しみの中で死ぬべきなのだ・・・)

〇集中治療室
  集中治療室
  いくつもの真白い医療機器に囲まれて、理沙はベッドに横たわっていた。
福地 理沙「うっ、ううう、あああ・・・」
  理沙の体温を示すモニターには【41.3℃】と表示されていた。
福地 理沙「もう、ダメ・・・。苦しい、あああ・・・」
満の声「理沙、理沙ぁ・・・」
福地 理沙「え?」
満の声「俺の理沙。はぁはぁ、愛してるよ・・・」
福地 理沙「嘘・・・。嫌、やめて」
満の声「さあ、早くこっちへおいで!」
満の声「もう一度抱きしめさせておくれ・・・!」
福地 理沙「もう私に、付きまとわないで!」
満の声「理沙、もう二度と離れたりしないよ!」
福地 理沙「いやあああっ!」
医者「福地さん、福地理沙さん!」
福地 理沙「先生・・・?」

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コメント

  • なるほど、そうなるとは😣😣😣
    ゾクリともしますが、納得のエンディングでした
    少しずつ熱を帯びていく狂気。まさにタイトルを体現した物語、面白かったです✨😆😆😆😆😆✨

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