黄金の蟻

ジョニー石倉

エピソード18(脚本)

黄金の蟻

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〇応接スペース
丸山祐子「私はこれからもあなたを応援するわ。 困ったことがあったら遠慮なく連絡してね」
円城寺敏郎「はい。今まで、本当にお世話になりました!」
  深く頭を下げる円城寺。

〇オフィスの廊下
円城寺敏郎「——とは言ったものの、事務所クビになっちまったし。 これからどうすっかなー」
  SNSのアプリを立ち上げると、フォロワーは22,456人と表示。
円城寺敏郎「まずは、2万人のファンに報告しないとな」
円城寺敏郎「これで良しっと」
円城寺敏郎「あいつは!」

〇施設の男子トイレ
円城寺敏郎「佐伯さん」
佐伯謙介「ああ、お前は・・・なんつったっけ」
円城寺敏郎「俺の名前覚えてないんですか? 君のせいでハゲ損になった男なんですけど」
佐伯謙介「なんだ。恨みを言いに来たのか?」
円城寺敏郎「いえ。そうではないです。 ただ、挨拶にと思って」
佐伯謙介「で? 何の用?」
円城寺敏郎「あ、俺、今日で事務所辞めました。 佐伯さんに言われた通り、役者には向いてなかったみたいっす」
佐伯謙介「あっそ」
円城寺敏郎「でも、これからは主役を支える側になって頑張ります」
佐伯謙介「は?」
円城寺敏郎「また、どこかの現場で会った際はよろしくお願いいたします。 俺の名前は円城寺——」
佐伯謙介「いいよ。名前とか。どうせ覚えないから」
円城寺敏郎「え?」
佐伯謙介「覚える気ないっつってんの」
円城寺敏郎「・・・そうですか」
佐伯謙介「ふん。蟻め」
円城寺敏郎「その、蟻ってどういう意味ですか?」
佐伯謙介「お前ってさ、歩くときに下を向いて歩くのか?」
円城寺敏郎「いえ。前を向いて歩きますけど」
佐伯謙介「だろ? 人はわざわざ下を見て歩かないよな? 蟻を踏まないようにって」
円城寺敏郎「・・・・・・」
佐伯謙介「俺にとっては、お前は蟻だ。 この世界、似たような小物はいくらでもいる」
佐伯謙介「いちいち名前まで覚えてられるか」
円城寺敏郎「・・・そうですね」

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