魔法使いの竜葉

さつまいか

第7話〈機械人間〉(脚本)

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〇アマゾン川のほとり
沙利「ヴァンパイアさん? ここで、何をしていたの?」
沙利「それに、さっきの地震みたいな揺れ・・・」
沙利「何か、関係があるのよね?」
ヴァンパイア「・・・っ、ああ」
ヴァンパイア「我は、そなたたちの元を離れてから この町を意味もなく歩いていた」
ヴァンパイア「そして、何日か経った時、 今までで一番大きな魔物と 鉢合わせてしまったのだ」
沙利「魔物・・・? この町は平和を貫くために 大きいものは入ってこれないように してるはずなんだけど・・・」
  ヴァンパイアの話を聞いて、動揺する沙利。
ヴァンパイア「その魔物の後ろには、同じ種類の 年とった魔物がいたのだ」
沙利「・・・っ、それって!」
ヴァンパイア「ああ、我はその2体を親子と見た」
沙利「・・・っ!」
沙利(魔物が子を産むなんて話、 聞いたことないわね・・・)
ヴァンパイア「我はそれを新種の魔物と思い、戦った」
ヴァンパイア「その途中で杏奈や子供が 近くにいることを知り、 巻き込まないように こちらに逃げていたのだが、」
ヴァンパイア「まさか魔物が固有魔術を魔物が 使ってくるとはな・・・」
ヴァンパイア「我は確実に防御できずに、 吹っ飛ばされてしまった」
沙利(いくらヴァンパイアさんでも 耐えきれないものはあるのね・・・)
ヴァンパイア「そして、さっきのような 揺れが起きてしまったのだ」
ヴァンパイア「その時気づいたのだが、 魔物の親の方が見当たらなかった」
沙利「それは、二手に分かれていたのね」
沙利「杏奈が、もう一体と会ったと 言っていたから・・・」
裕闇「ああ、杏奈姉ちゃんが相手してたのは 結構おっきかったぜ!」
  ひょこ、と沙利の後ろの茂みに隠れていた
  裕闇が出てきて、そう言う。
沙利「ちょっと、裕闇! 勝手に出てきてはだめでしょ?」
裕闇「ごめんなさい、沙利姉ちゃん・・・」
ヴァンパイア「子供よ、杏奈はその魔物を倒したのか?」
裕闇「え?いや、ボーン!、って 吹っ飛ばされちまったんだ」
沙利「あら?親子で固有魔術が違うなんて、 いくら魔物でもありえないわよね?」
ヴァンパイア「・・・そうだな」
ヴァンパイア「それに、沙利よ 杏奈はどうしたのだ?」
沙利「魔物が固有魔術を使った時にはぐれて、 〈迷い〉の呪詛をかけられてるらしくて まだ合流できていないの」
ヴァンパイア「む?呪詛は固有魔術に分類されるはずだぞ?」
ヴァンパイア「なぜ、一つの生命体が 二つの固有魔術を持っている?」
  __と、ヴァンパイアが疑問を言った、
  その時。
「ふふん、それはアタシが 固有魔術を付与してるからよー!」
  どこからか、声が聞こえてきた。
沙利「・・・っ、誰!」
ヴァンパイア(ここには〈人払い〉の 魔術を張っていたのだが、 それを解除したのか?)
ヴァンパイア「ただ者ではない、な」
???「ふふ、それは当然よ」
???「まずアタシ、人間じゃないし」
  そう言い、海の中からザバァ、と
  出てきた少女。
  彼女が言った通り、頭と背中に
  触覚のようなものが生えている。
沙利「じゃあ、あなたは何なの? それに固有魔術を付与したって・・・」
〈機械人間〉の少女「アタシは〈機械人間〉(アーティフィール)! 名前の通り、作られた人間だよ~」
  少女は胸を張り、そう言う。
沙利「〈機械人間〉って・・・ 製造禁止物の一つじゃなかったの?」
ヴァンパイア「ああ、”この国”は、な 他なら大丈夫だった気がするが__」
沙利「この国が外部からの侵入を 許したことはないわ」
ヴァンパイア「そう、だな」
〈機械人間〉の少女「アタシはこの国が故郷だよー?」
沙利「じゃあ、犯罪ね」
ヴァンパイア「〈機械人間〉は罪は問われないから 作った者が、だな」
〈機械人間〉の少女「・・・そうなの? ていくんはいい人だよー? アタシに料理を教えてくれたり、 手芸を教えてくれたり__」
沙利「え、料理? あなたは機械だから、食べることは できないと思うのだけれど・・・」
ヴァンパイア「いや、魔術の力を使えば可能だ 〈機械人間〉が魔術を 使うようにすることも、な」
沙利「でも、機械に魔術の力を入れるなんて、 人間には到底__」
ヴァンパイア「それが、エルフや精霊だとしたら?」
沙利「それくらいの魔力があればできる・・・!」
ヴァンパイア「我は、この〈機械人間〉を エルフや精霊などが作った ものと考えるのだが、異論はあるか?」
沙利「いいえ? あなたの話を聞いて、私もそうだと思うわ」
沙利「じゃあ、話を戻すけど」
沙利「〈機械人間〉さん、あなたはどうして、 固有魔術なんかを魔物に付与していたの?」
〈機械人間〉の少女「アタシは自分の力を試したかっただけ! ずっと小さな小屋にこもっていたから・・・」
沙利「小屋・・・?」
沙利「あっ、もしかして!」
ヴァンパイア「沙利よ、どうしたのだ?」
沙利(杏奈を探しに森の深いところにあった小屋! きっとあそこに住んでいたのね・・・)
  そう、機械人間の少女は1年ほど、
  あの小屋で巣籠もりしていたのだ。
沙利(だから、杏奈の部屋のように汚かったのね)
  小屋の汚さに納得する沙利。
沙利「この森に、小さな小屋があるのよ そこは、生活感があったから この少女が住んでいたのが そこの小屋だ、ってピンときたの」
ヴァンパイア「ふむ、そうだったのか」
ヴァンパイア「ところで、少女よ これからそなたはどうするのだ?」
〈機械人間〉の少女「うーん、ていくんもいないし・・・ あなたたちについていきたい、かな!」
  少女はそんなことを言い出すのだった。

次のエピソード:第8話 新しい仲間

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