サブスクな女

石塚環

幸せになっていいの?(脚本)

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石塚環

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〇テラス席
志田 あかり「おためし期間、どうでした?」
南 和希「楽しかったよ、すごく。こんなにはしゃいだのは久しぶりだ」
志田 あかり「プレミアムプランに入会しますか?」
志田 あかり(私はサブスクな女)
志田 あかり(サブスクサービス『ラブシチュエーション』のスタッフだ)
南 和希「やめておく」
南 和希「ニセモノの恋人はさびしいとわかったから・・・ごめんね」
志田 あかり「いえいえ。南さんは常識あるお客さんだから、安心して仕事ができました」
志田 あかり「規約ギリギリのヤバいことをする、お客さんが多いんですよね・・・」
南 和希「そっか・・・ひどいな・・・」
志田 あかり「南さんはマジメそうだから、大丈夫だと最初からわかってましたよ」
南 和希「・・・僕はマジメなんかじゃないよ」
志田 あかり「南さん?」
南 和希「僕はね、彼女と別れたんだ。音信不通で距離を置いて」
志田 あかり「理由を聞いてもいいですか?」
南 和希「彼女と付き合うことに疲れたんだ」
志田 あかり「彼女さん、重かったんですか?」
南 和希「うん・・・早く結婚したかったみたいだ」
志田 あかり「それだけ好きだったんですよ。南さんのことが」
南 和希「え?」
志田 あかり「いっしょにいられる確実な方法は、結婚しかないですよ」
志田 あかり「同棲とか事実婚とか、あたらしい形はあるけど、彼女さんは確実な関係をつくりたかったんですよ」
南 和希「確実な関係・・・」
志田 あかり「こんなサブスクサービスやってる私がいうのは、おかしいですけどね」
南 和希「・・・きみもそう思ってるの?」
志田 あかり「え?」
南 和希「僕と絆を深めてみませんか? 確かな絆を」
志田 あかり「どういうことですか?」
南 和希「きみとは現実的に結ばれたい」
南 和希「何回もデートして思った。きみと本当に恋人になりたい。きみとなら・・・結婚したい」
???「なにいってんの、和希!」
志田 あかり「あ・・・」
南 和希「・・・里奈?」
三条 里奈「あんた、志田さんだっけ? ちゃんと仕事してよ!」
三条 里奈「月額一万円なんて絶対払わないわよ。おためし期間で、和希との復縁を成功させるんだから!」
南 和希「復縁?どういうことだ?」
志田 あかり「ごめんなさい、南さん。私・・・私・・・」
三条 里奈「和希、わかったでしょ?私はサブスクに頼るくらい、あなたを愛してるのよ。ねえ、お願い。やり直しましょう?」
南 和希「はっきりいうよ。僕は里奈と別れたい」
三条 里奈「な・・・!?」
南 和希「いままでありがとう」
三条 里奈「チッ・・・!復縁は無理だって、おためし期間でわかってよかったわ。さよなら!」
志田 あかり「南さん・・・騙してごめんなさい」
南 和希「泣かないで」
志田 あかり「・・・ありがとうございます」
南 和希「これからはきみが泣いたら、僕が涙を拭くよ」
南 和希「あったかい関係を、ふたりでつくっていこう。ね?」
志田 あかり「サブスクやめていいの、私?」
南 和希「ああ」
志田 あかり「幸せになっていいの?」
志田 あかり「こんな・・・私でも・・・」
南 和希「ほら、泣かないで」
南 和希「幸せになっていいに決まってるじゃないか!」
志田 あかり「ありがとう、南さん!」

コメント

  • 人間の気持ちは契約通りにはいかないので、恋愛のサブスク化は現実的にはなかなか難しいですよね。結果的に南とあかりがそうなったみたいに、お試し期間付きのお見合いシステムならありかも。

  • 結婚はずっと一緒にいる方法っていう考え、わかる気がします☺️
    私もそんなふうに考えていました!
    元カノさん、どうしても一緒に居たいからサブスクまで使ったのに報われず残念です。
    仕方ないことだとは思うけれど、自分たちだけ幸せになって元カノがちょっと可哀想でした🥲💓

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