ほんわか童話集第1弾。“お空の上の子どもたち”(脚本)
〇雲の上
深雪「私ねー!あのママがいーなぁ」
和樹「んー?どの人ー?」
深雪「ほら!あそこに居る優しそうな人」
瑞希「んー?どれどれ?あの人?」
深雪「そうそうあの人!優しそうだよね!」
瑞希「ホントだ!優しそうだなー」
和樹「うん!かわいー人だね、僕もあの人がいーなぁ」
深雪「3人で同じママにする?」
瑞希「それもいーかもなぁ! あの人一人っ子で兄弟欲しかったって言ってたもんな!」
和樹「じゃぁ。誰が最初に行く?」
深雪「早くママには会いたいけど、私もう少しここで遊んでたいなぁ」
瑞希「深雪は前回すぐ戻ってきたもんな。 今回は俺達が先に行って来るから様子見てろよ」
和樹「そうだね。でも。立ち直ってくれてよかったよね、前のママ。今は次の子を大事にしてるんでしょう?」
深雪「うん!私の次の子はね今は5歳で、まだ私の事も覚えててくれててね。たまに見つけてくれるのよ」
瑞希「その子の後もそろそろだっけ?」
深雪「うんっ だからその子が産まれるまでは、前のママの様子見ておきたいの」
和樹「じゃぁ、僕達のあとに深雪が来ればいーよ。ね?瑞希?」
瑞希「そうだなぁ。どっちがさきに行くかぁ。まだ時間あるからゆっくり決めようぜ」
和樹「うんっそうだね」
〇雲の上
深雪「あ!ママ違うよ!」
瑞希「あ~ぁ。その人パパじゃないよ」
和樹「ママ、別れるときまた泣いちゃうかなぁ?」
深雪「うん。泣いちゃうかもしれないね。 でも、パパと会ったらきっと笑ってくれるもん」
瑞希「大丈夫だよ。幼馴染のパパと絶対一緒になるんだから!」
深雪「あ~ぁ 早く、ママとパパ一緒にならないかなぁ」
和樹「でもそしたら、どっちが先に行くか決めないと」
瑞希「俺はすぐに会いたいなぁ!」
和樹「僕もだよ。今回はママとパパに笑顔になってもらいたいんだ」
深雪「前のママは、ずっと泣いてたって言ってたもんね」
瑞希「今度のママはきっと笑ってくれるさ! 子供が欲しいって言ってただろ?」
和樹「前のママも“ほしい”と言ってたんだけどね。パパを振り向かせるためだけだったみたい」
深雪「泣かないでっ今度は大丈夫だよ。きっと!あんなに優しい笑顔のママだもん」
瑞希「和樹泣くなよ。大丈夫だって。今度こそ大丈夫だよ」
和樹「瑞希は強いなぁ。瑞希の前のママはずっと怒ってたんでしょう?」
瑞希「まぁね。俺が産まれたら笑顔になってくれると思ったけど違ったみたいだ。 兄弟たちも、今は離れて暮らしてるみたいだし」
和樹「ごめん。瑞希。つらいの思い出させちゃって」
瑞希「大丈夫だよ。2人と会って落ち着いたからな」
深雪「私も2人に会えて良かったよーっ仲良し兄弟になろーね!」
瑞希「そうだなっ! 産まれたらどうなるかわかんないけど、仲良し兄弟になりたいな」
和樹「うん!僕もだよ! 楽しみだなぁ」
〇雲の上
瑞希「わぁ!ママはわかってくれたみたいだな!」
深雪「うん! 夢の中に会いに行ったの覚えててくれたんだね!私達の話ししてる!」
和樹「男の子2人に女の子1人ですごく可愛かったって!ママすごく笑顔だね!嬉しいなぁ」
深雪「パパと一緒になってから何回か会いにいってるもんねー!嬉しいなぁ」
瑞希「なぁ!和樹! 俺たち2人で一緒に行こうか!」
和樹「え!いーの?!瑞希。一番に行きたかったんじゃないの?」
瑞希「長男は俺がもらうけど、2人で一緒に行こう。2人なら怖くないだろ?和樹」
深雪「双子かぁ!いんじゃないかな! 一気に4人家族だぁってママは笑ってくれるんじゃないかな?」
和樹「パパは『うちの家系に双子多いからなぁ』って笑いそうだね」
瑞希「深雪さみしくないか?」
深雪「大丈夫だよ。前のママの末っ子が今3歳になって時々ここの事お話してるみたいだから、私の話してもらうつもりだもん」
和樹「それに夢中になって遅くなりすぎないようにね?遅すぎたら迎えに来るよ」
瑞希「さみしくてすぐに来るんじゃないか?深雪は」
和樹「そうかもしれないね」
深雪「そこまでさみしがりやじゃないよー?!」
〇雲の上
深雪「違うよママ!!2人は“瑞希”と“和樹”だよ!そっちじゃないよー!」
瑞希「違うって!祐也と祐希は違う!」
和樹「そっち選んじゃやだよ!」
深雪「そう!それそれ!」
瑞希「3択で目隠しで決めるって ママすごすぎ」
和樹「もしかして、ママに通じたかな? 一瞬祐希と祐也触ろうとしてたよ」
深雪「でも、名前決まって良かったね! 瑞希っ和樹」
和樹「だね!じゃぁそろそろお腹に行くね」
瑞希「寂しいだろうけど、会えたらいっぱい遊んでやるからな」
深雪「うん!気をつけていってらっしゃーい」
おじいちゃん「行き先は決まったみたいだね。 行こうか」
「はいっ!!」
深雪「行っちゃったぁ! お兄ちゃん達がんばってね!」
おじいちゃん「君は少し残るのかい?」
深雪「はい。お兄ちゃん達のあとにゆっくりついていきます」
おじいちゃん「前のママも落ち着いて良かったなぁ」
深雪「うん!もう大丈夫。妹達と乗り越えて行けそうだもん!」
〇雲の上
瑞希「深雪ーいつまで来ないんだー?」
和樹「ママが待ってるよ。僕達が産まれてもう4年だよ」
深雪「ごめんねっもうそろそろ行くよー。 ママに会えるよって伝えてね! 名前は“深雪”が良いって伝えてね!」
瑞希「ママ喜ぶぞー。パパも中々次できないなぁってしょんぼりしてたから」
和樹「それは瑞希もでしょ“いつ赤ちゃん来るの”っていつもママに聞いてたじゃない」
瑞希「それは和樹も一緒だろ、だから“お空にお迎えに行ってきて”って言ったんじゃん」
和樹「まぁね。みんな深雪が来るのを楽しみにしてるよ」
深雪「うんありがとう!」
おじいちゃん「こうして、みんな新しく生まれ変わる。 それぞれ、“よろこんでもらいたい”という想いを抱えながら」
おじいちゃん「子どもたちは“笑顔の親が見たい”と産まれてくる。産まれたあとのことはどうなるかわからない」
おじいちゃん「それでも、産まれようとするのだ。 そして、宿ってすぐ戻るものもいる」
おじいちゃん「なにかのメッセージを伝えるため それによって強く生きてほしい、何かをかえりみてほしい」
おじいちゃん「そうやって、親に何かを伝えようと産まれてくる」
おじいちゃん「それが伝わると、子どもたちはそれぞれの目標に向かってやっと動き出せる」
おじいちゃん「この世に生きている全ての人間が、それぞれの目的を持って生きている。 良く考え、見つめ直してほしい」
おじいちゃん「私達はいつまでも、ここで皆を見守っているのだから」
とても優しく可愛らしいお話ですね。親となるべき人達の恋愛模様をドギマギしながら眺めているところは特にww この3人がお空の上にいる理由を想像すると胸が苦しくなりますが、最終的にみな笑顔で歩んでくれていて、ジンときますね!
「この子は私たち夫婦を選んで生まれてきてくれた」と言う方がいますが、空の上での会話を想像すると本当に健気で微笑ましいですね。こういう物語を読むと、どの子も誕生してから幸せになってほしいと願わずにはいられません。
優しいお話でほんわかしました( ◜ᴗ◝)