オヤジとオンナのスレチガイ

小松朋喜

読切(脚本)

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小松朋喜

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〇二階建てアパート

〇アパートのダイニング
良子「今日も遅い? 話があるんだけど・・・」
中田「仕事のあと稽古だ! いつも言ってるだろ!」
  乱暴にドアを閉め部屋を出ていく

〇空きフロア
中田「・・・え~っと・・・その~・・・」
江入「だっさ!」
なのみん「真剣にやってるんだから笑わないで!」
中田「・・・すんません」
演出家「勝手に芝居やめるな!」
中田「ひゃい!」
  ぎゃははは!

〇街の全景

〇空きフロア
演出家「おつかれ」
  おつかれさまです!
江入「なのみ~ん」
野笠「飲み行こうぜ!」
なのみん「え?いや・・・」
野笠「ええ!」
江入「いいじゃん!」
中田「それなら前行った所がいいな」
野笠「ああ!」
江入「ジジィ呼んでねぇだろ!」
  中田の頭を引っぱたく
  ぎゃはは!
なのみん「ちょっと!」
橋根「お前らいい加減にしろ!」
江入「ああ?」
野笠「俺らより後に劇団入ったんだから」
  こいつは後輩なんだよ
橋根「中田さん年上なんだぞ! 礼儀ってもんが・・・」
江入「ごちゃごちゃうるせぇんだよ!」
野笠「そうだそうだ!」
橋根「なんだと!」
中田「ぼ・・・」
中田「僕は大丈夫だから」
橋根「大丈夫じゃない!」
なのみん「はいはい!」
なのみん「飲み行こう!」
中田「うん行こう!」
中田「君は?」
橋根「行くわけないでしょ!」
中田「そう!じゃあまた行こうな!」
  肩を優しく小突く
  皆を引き連れ
  稽古場を出る
  中田のポケットから
  何かが落ち
  それを拾い見つめる橋根

〇飲み屋街

〇大衆居酒屋
なのみん「ん~♡」
江入「飲むね~」
野笠「はい! ゲームしよ!」
野笠「この中で」
野笠「付き合うなら!」
野笠「結婚するなら! 後は・・」
江入「Hするなら!」
  誰か選んで!
  絶対答えてよ!
なのみん「い・・・ いや~・・・」
中田「困ってるじゃない」
中田「やめてあげて」
野笠「うるせー!」
江入「黙ってろジジィ!」
野笠「大体なんでお前来たんだよ!」
江入「うぜぇんだよ!」
中田「そう言わずに 楽しく飲もうよ!」
野笠「帰れ!」
江入「帰れよジジィ!」
中田「そんな事言わないでよぉ・・・」
中田「僕は君達といて楽しいよ!」
江入「何言ってんの?」
野笠「なのみんどう思うこのジジィ?」
なのみん「付き合うなら」
  中田さん
野笠「え・・・ じゃあ」
江入「デートできるって言うのかよ」
  このオヤジと・・・
なのみん「うん」
野笠「またまたぁ」
なのみん「明日休みだよね?」
なのみん「中田さんとデートしたい」
  ダメ?
中田「うう・・・」
  うわぁ~!
  中田は店を飛び出ていった

〇飲み屋街
  店の前で入ろうかどうしようか
  もじもじしていると
  中田が飛び出してきて
  橋根に気づかず去って行った
  その時
  中田の目に
  涙が滲んでいるのを見た
橋根「あいつら」
橋根「また中田さんを・・・」
  中田の落とした何かを握り
  橋根は中田を追う

〇川沿いの公園
橋根「中田さん!」
中田「帰ったんじゃ・・・」
橋根「あのまま黙ってる気ですか?」
中田「はい?」
橋根「先程の事です」
中田「へ?」
  は!?
中田「さっきの!?」
橋根「はい・・・」
中田(見られてたのか・・・)
橋根「あんな事言われて平気なんですか?」
中田「平常心を保つのは大変だね・・・」
橋根「自分より年下にあんな事されて」
橋根「悔しくないんですか!?」
中田「・・・悔しい 何も言えないで逃げてきた自分が・・・」
橋根「なら殴ればいいじゃないですか!」
中田「殴る!?」
中田「頭おかしいのか君!?」
橋根「あの言い方は本気だ!」
中田「本気!?」
橋根「心からそう思ってるに違いない!」
中田「へへ そうなの?」
橋根「中田さんをもてあそぶなんて・・・」
中田「もてあそぶ!? 本気なんじゃないの!? どっち!?」
橋根「あいつにガツンと言ってやって下さい!」
中田「恥ずかしいよぉ・・・」
橋根「俺が言ってやりましょうか!?」
中田「なんで君が!?」
橋根「中田さんはこの歳で夢見てんだ!」
橋根「それの何がいけないんだって!」
中田「でもすごい歳の差あるし・・・」
橋根「歳なんて関係ない! 勇気出して下さい!」
中田「勇気とかじゃないだろ!」
中田「手を出したら 下手したら犯罪だよ!?」
中田「それに 僕には妻が・・・」
橋根「家族がいたら夢見ちゃいけないんですか!」
中田「ダメだろ常識的に!」
橋根「あきらめるんですか?」
中田「最高のチャンスではあるけど」
中田「そうせざるを得ないかも・・・」
橋根「バカ野郎!」
  中田を殴る橋根
中田「ええええ!?」
橋根「自分の気持ちはっきり奥さんに言った方がいい!」
中田「言えるか! その瞬間家庭崩壊だよ!」
橋根「本当はどう思ってるんですか!」
中田「ええ? そりゃチャンスがあれば」
中田「一回ぐらい・・・」
橋根「一回!? たった一回でいいんですか!?」
中田「何回もしたいに決まってるだろ!」
中田「言わせんなよ(´;ω;`)」
橋根「でしょ! そうすべきだ!」
中田「すべきなの!?」
中田「そうか・・・ そうだな!」
中田「いや待て! それでテレビにでたら大変な事に・・・」
橋根「テレビに出るためにやってるんでしょ!?」
中田「そんな訳ないだろ! それじゃ僕 性欲の化物じゃないか!」
中田「これ!? もしかして僕落とした!?」
橋根「中田さん オヤジでブサイクで不器用でセンスも才能もない・・・」
中田「急にどした!?」
橋根「俺だって才能ないし」
  親にも反対されてる
橋根「でもどうしても夢は叶えたい!」
中田「・・・君そんなになのみんを でも あの娘は僕のだから」
橋根「俺あなたを見てがんばろうと思ったんです」
  人にバカにされようとカッコイイ
  オヤジでいて欲しい!
橋根「あなたを応援している人がいる事 忘れないで下さい!」
  走り去る橋根
  橋根の言葉や目
  表情が
  あの時の自分を思い出した

〇アパートのダイニング
中田「引退したけど ずっと役者の夢忘れられない」
  だからもう一回やりたいんだ!
  深く頭を下げる
良子「勝手にしな」
中田「・・・ありがとう」

〇アパートのダイニング
中田「よし!」
  行ってくる
良子「あんたがいる劇団が可哀そうだ」
良子「あんたから厄とってやる」
中田「へへ」
中田「バカ野郎」

〇川沿いの公園
中田「僕を応援している人がいる ・・・か」
中田「あの娘にはっきり言おう ・・・僕には」

〇街の全景
  次の日

〇公園のベンチ
なのみん「ごめんなさい!」
なのみん「お酒飲んでたし」
なのみん「冷静に考えたらやっぱり・・・」
中田「やっぱり?」
なのみん「キモイ」
中田「キ!?」
なのみん「じゃあそういう事なんで」
  逃げるように去っていく

〇二階建てアパート
中田「よし!」

〇アパートのダイニング
中田「ただいま!」
中田「いない・・・」
  いつもより
  綺麗に掃除された
  部屋に驚き
  食卓を見ると
中田「今日何かの記念日だっけ?」
  並べられた料理の端に
  光る物が目に入る
  それは良子の婚約指輪だった
  
  そしてその横には

コメント

  • 他の女の子にデレデレしてたら、奥さんに出ていかれたと。
    夢を追うのはいいと思うんですが、奥さんを蔑ろにしてはいけませんよね。
    ところであの袋の中が気になってます。

  • いやぁ、アンジャッシュ的な話の食い違いで笑ってしまいました!
    にしても勇気を出して色々と変えようとしたけど…全て裏目に出てしまうのは少し可哀想な気もします。

  • 巾着袋には何が 入っていたんでしょうか、めちゃくちゃ気になりまました。途中のすれ違いがコントみたいで面白いなと思っていたらまさかのオチで心がキュッとなりました笑

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