黄金の蟻

ジョニー石倉

エピソード17(脚本)

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〇新幹線の座席
  画面には、CircleYからのコメント。
  演技に興味あるんでフォローさせていただきます。大変なお仕事だと思いますが、頑張ってくださいね。陰ながら応援させていただきます
  早口言葉ですか! 私は活舌悪いんで絶対無理ですー。早くテレビで円城寺さんの声も聞いてみたいです♪
  観ました! まさかのキスシーン。どんどん駆け上がっていってすごいですね。これからも応援しています
  スキンヘッドの髪型もお似合いですよ。放映されれば、きっと坊主のお仕事が殺到しますね
  周りの変な意見なんて気にしないでくださいね。私は、円城寺さんの努力をずっと見てました。私も円城寺さんと同じ気持ちです。負けないでください
円城寺敏郎「・・・・・・」

〇オフィスビル前の道

〇応接スペース
丸山祐子「ちょっと、どうしたの?」
円城寺敏郎「俺・・・ほんっとバカですんません」
丸山祐子「例の件はもう少し待ってって言ってるでしょ?」
丸山祐子「ここの所、佐伯の件で社長機嫌悪くって。 タイミングが悪いのよ」
円城寺敏郎「そんなことじゃなくて。 サークルワイの件です」
丸山祐子「え! ああ、あれね・・・」
円城寺敏郎「いつもコメントくれてたの丸マネだったんすね」
円城寺敏郎「それなのに、俺、全然気付かずで。 返事すらせず」
丸山祐子「そんなの気にしなくていいのよ。 私だって気付かれないようにやってたんだから」
丸山祐子「それより座って」
円城寺敏郎「いえ、このままで大丈夫です。 今日は感謝を伝えに来ました。 それと——」
円城寺敏郎「俺、事務所辞めることにしました」
丸山祐子「え!? どうして?」
円城寺敏郎「実家帰って、色々考えたんです」
丸山祐子「早まらないで。 例の件は、私が絶対に社長に話を付けるから」
円城寺敏郎「いいんです。もう、決めたことなんです」
丸山祐子「待って。もう少しだけでいいから。 私が何とかするから」
円城寺敏郎「無理です」
丸山祐子「待ってよ。勝手に決めないでよ」
円城寺敏郎「いや、決めたんで」
  祐子、プルプルと震えだす。
丸山祐子「う・・・う・・・」
円城寺敏郎「え、丸マネ?」

〇応接スペース
丸山祐子「向いてないわね。私」
円城寺敏郎「そんなことないっすよ。 俺、丸マネがいたからここまで続けられたんで」
丸山祐子「でも、辞めるなら意味ないわよ」
円城寺敏郎「・・・・・・」
丸山祐子「私ね、面接したタレントが辞める度に後悔するの」
丸山祐子「私の所為で、その人の人生を狂わせてしまったんじゃないかって」
円城寺敏郎「そんなことないっすよ。 俺は自分で選んでここまで来たんで」
丸山祐子「でも、辞めるってことは、私の判断が間違ってたってことでしょ?」
円城寺敏郎「・・・こんなこと聞くのあれですけど、俺のどこに魅力を感じてくれたんですか?」
円城寺敏郎「俺、演技も下手だし、歌だって正直・・・」
丸山祐子「わからない」
円城寺敏郎「え?」
丸山祐子「あなたは、私が面接したタレントで一番長く続けてくれてたの。 それだけ」
円城寺敏郎「そんな理由だったんですか」

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