読切(脚本)
〇女性の部屋
私市ヶ谷香(いちがやかおる)はギターを弾くと頭の中でシュールな妄想が炸裂する人種。
市ヶ谷香「さて、今日もギター弾きますかぁ!」
ギュイーン。
今日はどんな妄想が膨らむだろう。
最果てのオサム「は〜っはっは。 とびだせワンダーランド。 ポンポンポロッソ!」
私の脳裏に変なセーラー服姿の男が浮かんでくるとは
最果てのオサム「筋肉は正義! プロテインはおやつ!! ウヒャアアア!!!」
ダメだ
私の脳内がおかしくなってる
なんで今日に限ってこんな
妄想を?
市ヶ谷香「最果てのオサムは好きな女性のタイプ何よ?」
最果てのオサム「俺の好きな女の子のタイプはマッチョでいわばボディビルダーな子だな、ガハハ!」
市ヶ谷香「そこは私みたいなタイプって答えろよ、このセーラー服変態筋肉野郎」
ふむむ。
妄想ばかりしていたら眠れないけどギターを弾き続けよう。
最果てのオサム「ムッキムキマッソー 俺の名はオサム 俺の飼ってる犬や猫も筋肉モーリモリ」
市ヶ谷香「筋肉モーリモリ モリモリパワーで 重さ10キロのキノコを投げる」
最果てのオサム「その細っちょろい腕は何だ? へし折るぞ? 猫をダンベル替わりにして 鍛えろかおるさん」
市ヶ谷香「あいにくじゃないけど 私普通の女の子でいたいから あなたの趣味押し付けないで もらえますか?」
最果てのオサム「俺の世界ではあらゆる物が重い だからシイタケや松茸も 約10kgはある その分デカさもすごい」
最果てのオサム「犬や猫は20kgある。 どうだ? 持てるか?」
市ヶ谷香「ムリです」
最果てのオサム「これだから筋肉のない弱っちょ女は・・・ シックスパック目指せ!」
市ヶ谷香「イヤです!」
最果てのオサム「ききき筋肉! 俺の筋肉! それを見てれば お主も鍛えたくなる〜♪♪」
私の弾くギターに合わせて、脳内でオサムも夢中で歌った。
ああ、早くいなくなれ。
私はギターを弾くのをやめた。
最果てのオサム「また明日、お前がギターを弾いたら出てくるからな! あばよ!!」
何度も何度も私はオサムに洗脳され、数年後にはボディビルダーとしてTVデビューしたのだった。
ギターを弾いたらまたアイツがやってくるのか~。脳内で起こっているシュールなお話でした。最後はミュージシャンではなく、そっちに行ってしまったのも面白いです。
最果てのオサムはもともと香の頭の中にいる人間だから、彼女は無意識下で筋肉ムキムキになりたいという願望をつのらせいたんでしょうね。ギターの音色とともにその欲望がオサムの形を借りてボロンボロンとこぼれ落ちてくる様がシュールで笑えました。
オチが面白かったです。そうか。そうなったか。流されたか…