聖夜の魔法使い

蒼井円

聖夜の魔法使い(脚本)

聖夜の魔法使い

蒼井円

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聖夜の魔法使い
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〇男の子の一人部屋
上島彩人(かみしま あやと)(今年も寂しいクリスマスになりそうだな・・・・・・)
上島彩人(かみしま あやと)(そういや、30歳まで童貞だと”魔法使い”になれる、なんて噂があったけ?)
上島彩人(かみしま あやと)「本当に魔法使いになれたらいいのに・・・・・・なんて──」
パレット「魔法使いに興味があるのかい?」
上島彩人(かみしま あやと)「だれだっ!?」
パレット「初めまして、上島彩人クン」
上島彩人(かみしま あやと)「なぜ俺の名前を?」
パレット「あはっ、いいね。すごい現代的な名前だ。 残念ながらキミの人生は30年、”彩り”がなかったようだけど・・・・・・」
上島彩人(かみしま あやと)「余計なお世話だ!! それにまだイブ・・・・・・29歳だ!」
パレット「失敬。 けどそれも数時間後の事だけどね」
上島彩人(かみしま あやと)「うっさい。 そういうお前は一体何者なんだ?」
パレット「ボクはそうだね・・・・・・。 ――キミの人生に”彩り”を与えるケモノさ」
パレット「さしずめ、パレットってとこかな!」
上島彩人(かみしま あやと)「上手いこと言ったつもりかよ」
パレット「でも、興味あるんでしょ――魔法使いに」
上島彩人(かみしま あやと)「それは・・・・・・ なれるなら、なってみたいが」
パレット「なら話は早い。 ボクと契約して魔法使いになろうよ!」
上島彩人(かみしま あやと)「・・・・・・色々と危なくないか、それ。 なんで俺なんかを?」
パレット「簡単だよ。キミには魔法の素養がある。 ”30年間”も精力をためてきたんだから」
上島彩人(かみしま あやと)「全然うれしくねえ・・・・・・」
パレット「ボクは使い魔。 精力を魔力に変えるなんて造作もない」
パレット「キミの溢れんばかりのエネルギーを見せておくれよ!」
上島彩人(かみしま あやと)「・・・・・・魔法使いつっても、具体的には何をやるんだ。悪者退治か?」
パレット「そうだね、簡単に言えばそんな感じ」
パレット「知ってるかい? 世の中には2種類の男がいるんだよ」
上島彩人(かみしま あやと)「ああ。 俺か、俺以外──」
パレット「人口を増やせる奴と、そうでない奴」
パレット「もちろんキミは後者ね!」
上島彩人(かみしま あやと)(なんで嬉しそうなんだよ)
パレット「だから人材を有効に使いたいわけ。 使えない人間をそのままにしておくわけにはいかないでしょ?」
上島彩人(かみしま あやと)「でも世間では男が340万人も余って──」
パレット「だから?」
上島彩人(かみしま あやと)「俺が余っているのも仕方ないっていうか、 わざわざ頑張らなくてもいいだろ?」
パレット「それは何かソースでもあるわけ?」
上島彩人(かみしま あやと)「国勢調査だよ!」
パレット「・・・・・・。 まあ、怠慢に変わりはないけどね」
パレット「ちなみにウチは人は財産だ! とか温い事言って人財、なんて言葉は使わないから。 文字通りの人材、道具だよ」
上島彩人(かみしま あやと)(こいつ方々に喧嘩売りやがった・・・・・・)
パレット「だってそうでしょ。 キミは人類の繁栄に関与しなかった。 30年の歳月があったにも関わらず、ね?」
上島彩人(かみしま あやと)「悔しいが反論できん」
パレット「だから人の役に立つ人材になるのさ! 増やせないならせめて、減るのを防ぐために尽力してもらう」
パレット「魔法使いっていうのはそういうお仕事。 おまけにすっごく気持ちいい」
上島彩人(かみしま あやと)「き、気持ちいい!?」
パレット「そう! 聖夜だなんだとイチャコラしてる連中なんかと比べものにならない快楽があるよ」
上島彩人(かみしま あやと)「さっきから私怨がすぎないかっ!?」
パレット「・・・・・・ 右手の恋人ともおさらばさ」
上島彩人(かみしま あやと)「なるほど、魔法使いになれば無職でも童貞でもなくなるわけだ」
パレット「んー童貞が絶対条件だから童貞で居てもらわないと困るけど」
パレット「そんなこと、どうでもよくなるくらいの快楽と力を手に入れられるのは確かだね!」
上島彩人(かみしま あやと)(聞けば聞くほど魅力的な話だ。 右手の研究に余念のない俺には特に)
上島彩人(かみしま あやと)(長ったらしいことはよく分からんけど、 とりあえず同意っと──)
パレット「おめでとう。キミは童貞から晴れて魔法使いにクラスチェンジだ!」
パレット「キミにももう、見えているだろう? フサフサの小汚いのから、 ヘドロの塊が意思を持ったものまで」
パレット「──見魔(けんま)。 文字通り、魔物を見るための力さ」
パレット「今見えてるのは低級の魔物だけど、 ひとたび街に繰り出せば凶悪なやつらが ごまんと居る」
上島彩人(かみしま あやと)「これよりも強い奴が・・・・・・」
パレット「一撃でも受ければ致命傷だからそこは注意して」
上島彩人(かみしま あやと)「――っ!!」
パレット「人間は脆いから、ノーダメ攻略は基本だね」
パレット「さあ、シンデレラの時間は終わり☆ ここからは大人の――魔法使いの時間だ!」

〇見晴らしのいい公園
パレット「彩人は運がいい。 なにせ初めの敵がサンタだからね」
上島彩人(かみしま あやと)「サンタを倒してプレゼントを奪うか」
パレット「そうやって魔法使いは自分を強化していくんだ。サンタの情報はたたき込んだかい?」
上島彩人(かみしま あやと)「ああ、赤鼻のトナカイから倒すんだろ? じゃないと鳴かれてサンタが無限にポップする・・・・・・」
パレット「飲み込みが早くて助かるよ」
上島彩人(かみしま あやと)「初見殺しにもほどがあるな・・・・・・」
パレット「それじゃあこれに着替えて!!」
上島彩人(かみしま あやと)「ってこれセーラー服じゃないか!?」
パレット「魔法使いの初期装備だよ☆ 見た目だけでも魔法少女になりきらないと」
上島彩人(かみしま あやと)「そこまで言うなら──」
パレット「意外と気に入ってない?」
上島彩人(かみしま あやと)「そんなわけ・・・・・・っ!」
パレット「ふふ、かわいいよ。彩人」
上島彩人(かみしま あやと)「やめてくれ」
パレット「これでもあらゆる耐性の付与された優れものさ。さあ、行っておいで!」

〇雲の上
トナカイ「Brrr・・・」
SANTA「using System.Console;」
SANTA「Generate.Weapon();」
上島彩人(かみしま あやと)「――そんなのありかよ!?」
上島彩人(かみしま あやと)「えーとっ、俺も何か武器! で、出ろ――!!」
上島彩人(かみしま あやと)「こんなので戦えるか!? ふ、ファイアー!!」

〇花火

〇見晴らしのいい公園
パレット「おかえり彩人!」
上島彩人(かみしま あやと)「お前の体──」
パレット「彩人の使った魔法で色が変わるんだ!」
上島彩人(かみしま あやと)「”パレット”ってそういう・・・・・・」
パレット「ボクらは一蓮托生さ。 これからもよろしく彩人!」
上島彩人(かみしま あやと)「どうせならお前を七色にしてやるよ! よろしくなパレット」
パレット「ふふ頼もしいね。 それでこそ"彩人"だ!!」

コメント

  • おもしろかったです!
    パレットちゃんかわいいですね!
    会話が読んでてすごく楽しかったです。でも、本当に魔法使いになれちゃうんですね。笑

  • コンプレックスを逆手に有効利用が出来そうですね。パレットの存在がとても可愛くて、本当は少しシリアスなお話がキュートに変化しててよかったです。

  • サンタさん倒しちゃうんですね!?びっくりしました。笑えるポイントがたくさんあって楽しかったです。国勢調査のツッコミが一番好きです。

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