黄金の蟻

ジョニー石倉

エピソード16(脚本)

黄金の蟻

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〇昔ながらの一軒家

〇実家の居間
  円城寺、リモコンのボリュームを上げる。
  君子、円城寺の前を掃除し始める。
円城寺敏郎「テレビ見えねー」
円城寺君子「じゃあ、敏ちゃんが掃除してくれる?」
円城寺敏郎「・・・・・・」
円城寺君子「一日中ゴロゴロしちゃって」
円城寺敏郎「仕方ねーじゃん。 俺の部屋、父ちゃんが使っちゃってるんだから」
円城寺君子「敏ちゃんもそろそろ仕事探さないとね」
円城寺敏郎「え?」
円城寺君子「もう一カ月経つでしょ? 敏ちゃんももう大人なんだから、働かなきゃ」
  円城寺、立ち上がる。
円城寺君子「そうだ、お父さんのコネで──」
  円城寺、去ろうとする。
円城寺君子「ちょっと、どこ行くの?」
円城寺敏郎「コンビニ」
円城寺君子「・・・・・・」

〇小さいコンビニ(軽トラあり)

〇コンビニの雑誌コーナー
  円城寺が漫画雑誌を立ち読みしている。
円城寺敏郎「!」
  作業着姿の児島と数人が入って来る。
  慌てて顔を隠す円城寺。

〇実家の居間
  テレビ画面にはドラマが流れている。
  円城寺、肉を摘まむ。
円城寺君子「敏ちゃん、お肉ばかり食べてないで、ちゃんと野菜も食べなきゃだめよ。 栄養が偏っちゃうんだから」
円城寺敏郎「わかってるよ」
円城寺敏夫「・・・・・・」
円城寺君子「お父さんからも言ってやってくださいよ。 敏ちゃん、一人の時はカップラーメンばっかりだったんですって」
円城寺敏夫「ん? ああ」
円城寺君子「それと、敏ちゃんのお仕事の件って口利いてくれました?」
円城寺敏郎「え!」
円城寺敏夫「?」
円城寺君子「お母さんからお父さんにお願いしておいたのよ」
円城寺敏郎「なんでそんな勝手なことするんだよ!」
  立ち上がる円城寺
円城寺君子「だっていつまでもおうちでぐうたらしてたってしょうがないでしょ」
円城寺敏郎「なんだよ! 俺が邪魔だってんなら、そう言えばいいだろ!」
円城寺敏郎「出てくからよ!」
円城寺君子「そうは言ってないわよ。 でも、このままいつまでも・・・ねえ」
円城寺敏夫「母さん。 敏郎だって子供じゃないんだ。 わかってるさ」
円城寺君子「でも・・・」
円城寺敏夫「東京に行く時だってそうだったろう。 好きにやらせてやろう」
円城寺敏郎「・・・・・・」
円城寺敏夫「働く気になったら働けばいいさ。な、敏郎。座って飯食え」
円城寺敏郎「・・・・・・」
  箸を置く円城寺。
円城寺君子「敏ちゃん・・・」
  その時、テレビから「君はまだ若いからわからないんだよ」と聞こえる。
円城寺敏郎「!?」
  テレビには上田が映っている。
  テレビを呆然と眺める円城寺。
円城寺君子「敏ちゃん? どうしたの?」
円城寺敏夫「・・・・・・」
円城寺君子「敏ちゃん。ご飯食べなさい。 すき焼き、冷めちゃ——」
円城寺敏夫「母さん。敏郎の好きにやらせてやろう」

〇実家の居間
  テレビにエンドロールが流れている。
  『説教おじさん 上田修一』と流れる。
円城寺敏郎「あのおじさん。上田って言うんだ」
  君子がガスコンロのスイッチを回す。
  鍋がぐつぐつと音を立てる。
  円城寺、テレビを抱えたまま震えている。
円城寺敏郎「う・・・う・・・」
  嗚咽交じりで泣き出す円城寺。
円城寺敏郎「父ちゃん・・・母ちゃん・・・俺・・・」
円城寺敏郎「・・・俺・・・やっぱり・・・」
「・・・・・・」
円城寺敏郎「やっぱり・・・俺、諦めらんねえよお」
円城寺君子「敏ちゃん・・・」
円城寺敏夫「たらふく肉食っとけ、明日には東京戻るんだろ?」
円城寺敏郎「うあああああああ」

〇実家の居間
  肉を頬張る円城寺。

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