小説の中へ(脚本)
〇公園のベンチ
小説が好きな私の目の前に、精霊が現れました
精霊「貴方は今からある小説の登場人物になります」
佐藤 巴「えっ?どういう事?」
精霊「その登場人物になりきって、最後のオチを変えて下さい!」
佐藤 巴「ねぇ?話し聞いてる?」
精霊「あっ!容姿は綺麗にしときます!」
佐藤 巴「コイツむかつくわ〜」
精霊「出来なかったら、貴方の服が他人から見えなくなります」
佐藤 巴「・・・生き地獄じゃない?それ?」
精霊「じゃ、魔法かけまぁ〜す!」
とある男性「ちょっと座ろう」
佐藤 巴「──!?ベンチに座る?この小説は確か・・」
とある男性「・・・」
佐藤 巴「確かこの後、ある男性達が来て・・・」
刺青の男性「俺、結構好みだぜ!」
輩な男「マジかよ?」
とある男性「あっ、刺青と筋肉、男・・・」
佐藤 巴「分かった!この小説!『仮面の告白』ね」
佐藤 巴「ねぇ?どこ見てるの?」
とある男性「いや、別に・・」
精霊(頑張って!)
佐藤 巴「ムカつくのよ!アンタ!」
とある男性「な、なんだよ急に」
佐藤 巴「ご、ごめんなさい、妖精に言ったのよ!」
とある男性「妖精?コイツきもっ!」
刺青の男性「俺の方が大きいぜ!」
輩な男「いや、俺だろ!」
とある男性「ああっ!たまらない・・・」
佐藤 巴「後5分よ・・・」
とある男性「・・・そうか」
刺青の男性「おいおい、よしてくれよ!」
輩な男「ハハハハッ」
とある男性「あのベンチの真ん中に座りたい!」
精霊(急がないと、服が消えちゃいますよ〜)
佐藤 巴「黙りなさいよ!」
とある男性「はっ?・・・」
佐藤 巴「ごめんなさい、本当ごめんなさい!」
とある男性「・・・」
佐藤 巴「ねぇ?女性と関係を持った事あるの?」
とある男性「あ、あるよ!何だよ!突然!」
佐藤 巴「いつ?誰と?」
とある男性「い、言える訳ないだろ!」
佐藤 巴「そう・・・」
精霊「終了2分前で〜す!」
佐藤 巴「仕方ない・・・こうなったら・・・」
とある男性「・・・」
佐藤 巴「おらぁぁぁ!」
とある男性「えっ?」
佐藤 巴「私を好きって言え!」
とある男性「ぐへっ!」
佐藤 巴「おらっ!おらっ!おらっ!」
とある男性「ぐぇっ!」
佐藤 巴「どう!もっと殴ってやろうか!」
とある男性「す、好きです!ゆ、ゆるして下さい!」
佐藤 巴「やったわ!成功よ!」
精霊「あっ!」
佐藤 巴「えっ?どうしたの?」
精霊「えっと、あの、魔法が・・・」
佐藤 巴「もしかして、失敗したの?」
精霊「はい」
佐藤 巴「って事は、小説の登場人物というのは?」
精霊「あ〜無しの方向ですね」
佐藤 巴「現実で見知らぬ男性を殴ってただけって事?」
精霊「ですね!不細工なままで!」
とある男性「お巡りさん!この女です!」
お巡りさん「お前か!署まで来なさい!」
佐藤 巴「だって、小説の中だと思って・・・」
お巡りさん「何を言っている?」
佐藤 巴「あの質問なんだけど、あなた誰を見てたの?」
とある男性「あそこの女の子達だよ!」
「ウフフ♡」
佐藤 巴「マジか・・・」
とある男性「ああ!最高だろ?」
佐藤 巴「・・・・・・」
お巡りさん「2人共、署までお願いします」
とある男性「えっ?」
精霊「ごめんね〜♪」
佐藤 巴「ねぇ?こっちに来て頂戴・・・」
精霊「なぁ〜に〜」
両手から赤い液体が流れ、ギラっとしていたのを私は見た・・・
三島の「仮面の告白」ですか〜。佐藤さんの顔が怖すぎるから服が消えてもいいから仮面をつけてくれ、と思っちゃいました。ラスト、小説では飲み物だったギラギラの液体が血液になっちゃったんですね。
三島由紀夫ですね!随分前に読んだけど、ラストあんまり覚えてないですw小説買って読み直してみよっと😊