どれが本当の話?(脚本)
〇教室
ルリネ「ねえねえ、噂聞いた?」
モカ「・・・興味ない」
ルリネ「うっそだ!本当は興味あるくせに!」
モカ「少しなら・・・興味あるかな」
ルリネ「そう来なくっちゃ!」
ルリネ「実は最近友達の裕翔(ゆうと)くんが行方不明になっちゃって」
ルリネ「家にも帰ってないし、警察も探しているんだけど見つからないのよ」
モカ「ふーん、そう」
ルリネ「こら!興味を持てよ!」
ルリネ「私が困ってるんだから言うこと聞きなさい、影女!」
モカ(めんどくさいな。ここは肯定しておこう)
モカ「そんなに言うなら一緒に探してあげるわ。ただし──」
モカ「見つけても驚かないでね」
ルリネ「どういうこと?」
マナト「あれ?なんの話してるの?」
ルリネ「あっ!マナトきゅん!ちょうどいいところに!」
マナト「おい、近づくなよ!晴れ女」
ルリネ「誰が晴れ女だって」
モカ「喧嘩はやめましょうよ」
モカ「それよりマナトは知ってる?裕翔の居場所」
マナト「さあ、知らない」
マナト「自分的には近所のスーパーとか友達の家とかにいると思ったよ」
マナト「どうやらそこにもいないらしいね」
モカ「死んでるって言ったら信じる?」
ルリネ「そんなわけない!」
ルリネ「私、裕翔に告白したのにフラれたのよ」
ルリネ「もう一回告白して好きっていうまで諦めないんだから」
モカ「やっぱりね。ストーカーしてたんでしょ?」
ルリネ「そんなわけないだろ!陰女!」
モカ「私の推理が正しければ、ストーカーをしたあなたが裕翔を殺した」
モカ「違う?」
ルリネ「ええそうよ、私が殺したわ」
ミキ「いや、それは違うだろ?」
ミキ「裕翔は生きてるぜ!目の前にいるし」
ルリネ「そんなわけない!私が殺したんだから」
ミキ「本当のことを言うと、モカがそうだぜ」
モカ「そんなわけないでしょ。私、普通の女の子よ」
ミキ「辛かったんだな、裕翔。お前はよく頑張ったよ」
モカ「だから違う!裕翔は生きてるよ!死んでるのは嘘!」
ミキ「えー、マジで!」
ミキ「俺、幽霊が見えるんだ!」
ミキ「君の体、裕翔に乗っ取られているぜ!」
さあ、どれが本当の話?
モカ「実は私──」
「裕翔なんだ」
彼の居場所が分かったような、そうでないような霧に包まれたようなフィナーレでしたけど、そんな曖昧さが読者に余韻を持たせる要素なんでしょうね。
結末までスピード感があって面白かったです。実はモカが裕翔を殺したのかな、と予想していたらまさかの殺された方。分かってから振り返るとモカの「ただし見つけても驚かないでね」のセリフがゾワッとします。でももしモカが自分を裕翔だと思い込んでるだけだとしたら・・・真実は迷宮入りですね。