佼しい女(脚本)
〇オフィスのフロア
彼女は美しい人だ。
完璧に整った目鼻立ちも、
風になびく長い髪も、
柔らかに微笑む表情も。
全てが、完璧なまでに美しい。
彼女「遅くまでお疲れ様。 せっかくだから、駅まで一緒に帰らない?」
仕事が早くて丁寧で、
しがない部下の僕にまで気にかけてくれる
上司としても完璧な人なのに・・・
なぜ、彼女には恋人の影一つ
見当たらないのだろうか
彼女は美しい人だ。
でも、時折、不思議なことを口にする。
彼女「ねぇ、このまま、 この「セカイ」から逃げちゃおうか 息ができないほどに苦しいのなら」
そう彼女は
──佼しい女(うつくしいひと)だ。