〇高い屋上
天塚 心「ネクラちゃん！」
米倉 杏「何？テンシンちゃん？」
米倉 杏「こんなところに呼び出して」
天塚 心「あなた、恋愛する気・・・あるの？」
米倉 杏「・・・あるけど」
天塚 心「・・・だったら！」
天塚 心「・・・何で！」
天塚 心「恋愛フラグを、折るのよー!!」
米倉 杏「・・・」
米倉 杏「・・・」
米倉 杏「・・・恋愛フラグ？」
天塚 心「漫画やドラマでよくある、恋愛に発展するフラグよ！」
天塚 心「もしかして、気づいてないの!?」
米倉 杏「何のこと？」
天塚 心「もう、何で気づかないのよ！ 今朝だって──」
天塚 心「食パンくわえて登校中に、男子にぶつかりそうになったでしょ？」
米倉 杏「ええ、そうね。遅刻しそうだったから」
天塚 心「私、一部始終を見ていたわ！」
米倉 杏「テンシンちゃんも、遅刻しそうだったんだ」
天塚 心「それは、おいといて！」
米倉 杏「おいとくんだ」
天塚 心「曲がり角から来た男子と、ぶつかりそうになって！」
天塚 心「私、ときめいちゃったわ！」
天塚 心「そのとき、ネクラちゃんはどうした!?」
米倉 杏「華麗なステップで、避けたわ」
天塚 心「何で避けるのよー!!」
天塚 心「その男子は、転校生で！」
天塚 心「同じクラスで！」
天塚 心「隣の席だったでしょ！」
米倉 杏「そうだったかしら？ 男子の顔なんて、覚えてないわ」
天塚 心「嘘でしょ!?あんなにイケメンだったのに!!」
天塚 心「しかも、お金持ちで！」
天塚 心「頭がよくて！」
天塚 心「帰国子女！」
天塚 心「条件揃い過ぎ!!」
米倉 杏「・・・でも、あの男子、何か怒ってたよ？」
天塚 心「そりゃ、そうよ！」
天塚 心「運命的な出会いをしたあなたに！」
天塚 心「満面の笑顔で話しかけたのに！」
天塚 心「顔を覚えられていなかったんだから!!」
米倉 杏「ああ、それでか」
天塚 心「そんな嫌悪な関係からスタートして!!」
天塚 心「雨に濡れて、びしょ濡れになっているところを助けられて！」
天塚 心「体育祭や！」
天塚 心「文化祭や！」
天塚 心「修学旅行で！」
天塚 心「あんなことや、こんなことがあって！」
天塚 心「二人は、結ばれる展開でしょうがー!!」
米倉 杏「テンシンちゃん・・・」
天塚 心「何？」
米倉 杏「少女漫画の読みすぎよ」
天塚 心「そんなことない！ あれは、私のバイブルだから！」
天塚 心「いくら読んでもいいの！」
天塚 心「ハッ！」
米倉 杏「どうしたの？」
天塚 心「ネクラちゃん、もしかして・・・」
天塚 心「他に好きな子、いるの？」
米倉 杏「・・・」
米倉 杏「・・・いる」
天塚 心「えー!!いるの!?」
天塚 心「誰!?誰!?」
米倉 杏「・・・」
天塚 心「もしかして、田中くん？」
米倉 杏「・・・違う」
天塚 心「分かった、山下くんだ！」
米倉 杏「・・・違う」
天塚 心「えー、分かんない！ 教えてよー!!」
米倉 杏「・・・テンシンちゃん」
天塚 心「何？」
米倉 杏「私が好きなのは、テンシンちゃんだよ」
天塚 心「え？」
天塚 心「えええええ!?」
米倉 杏「・・・」
天塚 心「・・・」
米倉 杏「・・・」
天塚 心「・・・」
天塚 心「まさかのフラグが立った・・・」