〇ゲームセンター
先輩「アタシ、クレーンゲーム得意なんだよ」
後輩「マ、マジっすか先輩!?」
後輩「ウチ、１回も取れたことないっすよ!?」
先輩「今まで、２個、取ったことあるよ」
後輩「に、に、２個もォ!?」
後輩「先輩のクレーンゲーム捌き、見たいっす！」
先輩「まかせなよ」
先輩（あーはいはい、こういう感じね 脇に引っ掛けるタイプだわ）
先輩（後輩の前でカッコいいところ見せてやんよ）
先輩（いっけえええええ！ロベルト（仮）！）
　　・・・・・・
先輩（アーム弱ええええええ!?）
後輩「あ、あの・・・先輩、今のは・・・」
先輩「あー、これだから素人はー・・・」
先輩「クレーンゲームはね、引っ掛けて寄せるの 持ち上げるだけじゃ上手く行かないのよ」
後輩「さすが先輩！プロっぽいっす！」
先輩「フッ・・・まあね ２個、取ったからね」
後輩「カッコいいっす！憧れるっす！」
先輩「こっからが、本番・・・まぁ見てなさいよ」
先輩（とは言ったものの・・・ どうするこのアームの弱さ・・・）
先輩（ロベルト（仮）・・・!?）
先輩（聞こえたわ・・・！ ロベルト（仮）の声が・・・！）
先輩（“僕を信じて”・・・ そう囁いているわ・・・！）
先輩（分かった・・・アタシ、あんたを信じる！）
先輩「うおりゃあああああっ！」
先輩（落ちろ・・・落ちろ・・・）
後輩「や、やめてください先輩！」
後輩「無言でクレーンゲームの台、 蹴らないでください！」
後輩「店員さんがこっち見てるっすよ!?」
先輩「ア、アイムソーリー、ヒゲソーリー・・・」
後輩「・・・・・・」
先輩（ヤ・・・ヤバい・・・後輩の アタシを見る目がどんどん冷たく・・・）
先輩（ロベルト（仮）はもうダメだわ・・・！）
先輩（あんなクソ雑魚アームを信じた アタシが馬鹿だった・・・！）
先輩（ここは粘らず、台を変える・・・！）
先輩（無数の足！こ、これだ！ まさに引っ掛けてくださいと 言わんばかりのデザイン！）
先輩（正直、全然いらないけど！ そんなのもうどうでもいいのよ！）
先輩（アタシは、可愛い後輩の前で カッコ付けたいだけなんだからっ！）
先輩「頼むわ・・・ロビンソン（仮）・・・ あんたにアタシの全部託すから・・・！」
先輩「これが、アタシの、全力だぁッ！」
先輩「マジか・・・これでも取れないなんて・・・」
後輩「先輩・・・」
先輩（後輩が帰りたそうにこっちを見ている・・・）
先輩（終わった・・・）
　　諦めるな！
先輩（だ、誰・・・!?）
　　諦めたらそこでゲーム終了ですよ
先輩（ロビンソン（仮）!?）
先輩（本当にロビンソン（仮）の声が!?）
先輩（これが正真正銘最後のチャンス！）
先輩「絶対に、取る！」
先輩「と・・・」
後輩「取れたあああああっ!?」
後輩「凄いっす！やっぱ先輩は世界一凄いっす！」
先輩「ま、まあね・・・！」
先輩「こんなの・・・全然大したことないけどね！」
先輩（ありがとう・・・ロビンソン（仮）・・・）