最終の結果(脚本)
〇一人部屋
サトル「・・・よし」
サトル「いよいよ、勝負の日だ」
今日、サトルは、最終面接に向かう。
・・・といっても、就職面接ではない。
結婚するための、最終面接なのだ。
〇屋敷の門
サトル、彼女であるケイコの家に着く。
インターホンを押すと、出てきたのは・・・
ケイコ、ではなく・・・
ケイコの、両親だった。
〇島国の部屋
サトル「は、はじめまして・・・」
緊張した面持ちでサトルが挨拶したものの・・・
ケイコの母「お名前はフルネームでお願いします」
ケイコの父「まずは、うちのケイコと結婚したい動機をお話しください」
・・・いきなり、面接がはじまった!
自己紹介、志望動機、自分の生い立ち、学歴、今の仕事、年収、さはには貯金額まで・・・
容赦ない圧迫面接が続いた
〇書斎
さらに、個室に通され・・・作文を書くよう命じれられた
お題は「将来の夢」・・・
・・・まさに、選考試験そのものだ・・・
〇島国の部屋
筆記試験を終え、面接が行われたリビングへ戻ると・・・
ご両親が、今後のステップについて教えてくれた
ケイコの母「合否の結果は、一週間以内に郵送でお送りしますので」
ケイコの父「お疲れさまでした」
サトル「・・・・・・・・・お疲れさまでした」
〇屋敷の門
こうして最終面接は終了した
ケイコとは、一切会えることもなく・・・
〇島国の部屋
ケイコの父「ケイコも幸せ者だ あんな好青年に好きになってもらえて」
ケイコの母「本当ですねぇ」
〇一人部屋
それから5日後
ケイコの家から封筒が届いた
まさに、最終面接の結果通知だ
ゆっくり深呼吸し
封を切り、中の紙を広げると・・・
〇一人部屋
「この度は最終面接にご足労いただき
ありがとうございました
我が家で慎重に検討させていただいた結果、
娘であるケイコとの結婚は見送りにさせていただきたく、お願い申し上げます」
サトル「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
サトル「・・・・・・そ、そんな・・・・・・」
〇島国の部屋
ケイコの父「ケイコ、ほんと何を考えてるんだ・・・」
ケイコの母「ほんと、あんないい方が結婚を志願してくださったのに・・・」
ケイコ「もう!まだその話、してるの? しつこいなぁ!」
ケイコの父「だ、だってケイコ・・・」
ケイコ「お願いだから、ちゃんと分かって! あたしが好きなのは、この人!」
ケイコが差し出したスマホの画面には・・・
男の写真が映し出されていた
髪はピンク色で、耳にはいくつものピアスが光る
ケイコの父「・・・好きなのはわかったけど・・・ その男は、仕事・・・」
ケイコ「してないよ。でもこれから、絶対に仕事 見つけるって言ってる!だったらよくない?」
ケイコの母「・・・それはそうと、一度、お話してみないと・・・」
ケイコの父「そうだぞケイコ、いくら結婚したくても、 ちゃんと彼に面接をクリアしてもらわなと、 叶わんのだぞ」
ケイコの母「・・・その彼、うちに面接来るの、イヤだって言ってるんでしょ?」
ケイコ「・・・今はそうでも、絶対連れてくるから! だからお願い!」
ケイコ「あたしには、彼しかいないの!」
ケイコの父「・・・・・・」
ケイコの母「・・・・・・ケイコ・・・」
〇一人部屋
サトル「・・・・・・・・・」
サトル「泣いてばっかり、いられるか!」
〇地下鉄のホーム
「あれ?サトル? サトルだよね?」
「ほんとだ! どうしちゃったんだよ、サトル?」
「・・・ん?」
サトル「ちょっと、ね!」
親が結婚相手にノーと口出す事ってあまり良いイメージではないですが、親の目は節穴ではないということもありますね。私はこのシステム、以外と好きです!
「お受験」ならぬ「お面接」に備えたセミナーや塾が流行りそうですね。でも、せっかく最終面接をパスしても女性本人がピンク頭のほうを選んだら終わりなんて、受験よりも厳しい世界だなあ。