サンタ見習い、クリスマスウイルスを世界中にばらまく

猫目 ひとつも

サンタ見習い、クリスマスウイルスを世界中にばらまく(脚本)

サンタ見習い、クリスマスウイルスを世界中にばらまく

猫目 ひとつも

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サンタ見習い、クリスマスウイルスを世界中にばらまく
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〇幻想
見習いサンタ「メリーメリークリスマス!」

〇幻想
見習いサンタ「みんなみーんな」
見習いサンタ「ハッピーになあれっ!」

〇黒
  ☆☆☆☆
  サンタ見習い、クリスマスウイルスを世界中にばらまく
  ☆☆☆☆

〇クリスマスツリーのある広場
悪夢のボス「んっ?」
悪夢のボス「様子がおかしいな」
悪夢の手下「人間どもが 浮かれポンチになってやがりますね」
悪夢のボス「例年以上だぞ」
悪夢の手下「サンタのジジイのしわざかと」
悪夢のボス「ううむ・・・ 状況を把握して報告せよ」
悪夢の手下「承知です」
サンタクロース「悪夢のボスよ」
悪夢のボス「っ!」
サンタクロース「そなた いったい何をした?」
悪夢のボス「それはこっちのセリフだ」
悪夢のボス「ジジイ 何をしてくれた?」
サンタクロース「この状況 そなたのしわざではないのか?」
悪夢のボス「俺ではない」
悪夢のボス「ジジイ お前がやったんだろう」
通行人A「メリークリスマス! ちゅっ♡」
悪夢のボス「邪魔をするな!」

〇雷

〇クリスマスツリーのある広場
通行人A「ぎゃっ!」
通行人B「はあーい! メリー・・・」
サンタクロース「汚らわしいっ!」

〇雷

〇クリスマスツリーのある広場
通行人B「ぐはっ!」
サンタクロース「こんな下品なハッピー 私が理想とするクリスマスではない!」
悪夢のボス「ならば誰が?」

〇幻想
見習いサンタ「ハッピーメリークリスマス!」

〇クリスマスツリーのある広場
見習いサンタ「あ、お師匠様っ!」
見習いサンタ「そしてお前! 悪名高き、悪夢のボスだな!」
見習いサンタ「お前 お師匠様に何を」
悪夢のボス「あん? 誰だ、こいつは?」
見習いサンタ「我こそは こちらにおられるサンタクロース様の 一番弟子」

〇ハート
見習いサンタ「じゃじゃーん!」
見習いサンタ「見習いサンタだ!」

〇クリスマスツリーのある広場
サンタクロース「で その手に持っているビンは?」
見習いサンタ「これですか?」
見習いサンタ「これは クリスマスウイルスです」
悪夢のボス「ウイルス?」
見習いサンタ「人々が 理由もなく楽しくなっちゃう」
見習いサンタ「ハッピーカムカムな ウイルスなのです」
見習いサンタ「いま、順調に 世界中にばら撒いているところです」
サンタクロース「なぜそんなものを」
見習いサンタ「下準備ですよ お師匠様」
見習いサンタ「クリスマス気分を盛り上げて 当日には最絶頂に!」
見習いサンタ「ね? よくないですか?」
見習いサンタ「じゃ ウイルスの残り」
見習いサンタ「ばら撒いてきまーっす!」
サンタクロース「待ちなさいっ! あっ・・・」
  バビューン!
悪夢のボス「ジジイ お前んとこの弟子のしわざだったとはな」
サンタクロース「私は指示などしておらん」
サンタクロース「この状況も望んでおらん」
サンタクロース「あぁ・・・ 元に戻さねば」
悪夢の手下「状況を分析して 対応策を練って参りました」
悪夢のボス「これは?」
悪夢の手下「クリスマスウイルスを無効化する ワクチンです」
悪夢のボス「うむ 仕事が早いな」
悪夢の手下「ボスの唯一無二の 一番弟子ですから」
サンタクロース「じーっ・・・」
悪夢のボス(なるほど これは手札に使えるな)
悪夢のボス「ジジイ? ほしいのか、ワクチン」
サンタクロース「いや、全然」
悪夢のボス「ならば捨てよう」
サンタクロース「待て!」
サンタクロース「貰ってやろう 世界を元どおりにするために」
悪夢のボス「ください、だろう? お願いする時は」
サンタクロース「く、ください」
悪夢のボス「断る!」
悪夢のボス「メリークリスマス! ほっほっほー☆」
サンタクロース「ぐぬぬ・・・」

〇川に架かる橋
  トボトボトボ
見習いサンタ「ぐすん・・・」

〇街中の公園
悪夢のボス「これはこれは お嬢ちゃん」
見習いサンタ「っ! 悪夢のボス!」
悪夢のボス「どうしたのかな?」
見習いサンタ「・・・」
悪夢のボス「破門にされたのだろう? サンタのジジイから」
見習いサンタ「なんでそれを?」
悪夢のボス「やっぱりか」
悪夢のボス「お前は悪くない」
見習いサンタ「お前のなぐさめなんて 要らない!」
悪夢のボス「聞け 見習いサンタ」
悪夢のボス「お前は、ただただ 人々の笑顔のために奉仕しただけだ」
悪夢のボス「違うか?」
悪夢のボス「邪悪な気持ちから ウイルスをばら撒いたわけではなかろう」
見習いサンタ「うん」
悪夢のボス「なのにあのジジイは お前の優しさを踏みにじった」
悪夢のボス「お前を頭ごなしに否定した」
見習いサンタ「うん、うん」
悪夢のボス「つらかったな 見習いサンタよ」
悪夢のボス「あのジジイはそういうヤツだ」
見習いサンタ「なんで知ってるの?」

〇廃倉庫

〇暖炉のある小屋
  コンコン
サンタクロース「んっ! そなたは悪夢の手下・・・」
悪夢の手下「ほらよ クリスマスプレゼントだ」
サンタクロース「クリスマスウイルスの ワクチンか」
サンタクロース「どういうつもりだ?」
悪夢の手下「あのボスを裏切ってやったら 面白いと思ってな」
悪夢の手下「ちょうど愛想が尽きたところだし」

〇街中の公園
悪夢のボス「なあ、見習いよ」
見習いサンタ「なに?」
悪夢のボス「先代のサンタを知っているか?」
見習いサンタ「ええっと?」
悪夢のボス「私だ」
見習いサンタ「えっ?!」
見習いサンタ「なんでそんな方が」
悪夢のボス「闇に寄り添ったのだ」
見習いサンタ「闇に?」
悪夢のボス「皆が皆 クリスマスに笑えるわけではない」
悪夢のボス「泣きたい時に 無理して笑うとどうなる?」
見習いサンタ「元気になる?」
悪夢のボス「心が壊れるのだ」
悪夢のボス「笑いたい時には 笑えばいいが」
悪夢のボス「泣きたい時には 泣くのがいいのだ」
悪夢のボス「そして」
悪夢のボス「絶望した時には とことん落ち込めばいい」
悪夢のボス「それが人間というものだ」
悪夢のボス「そのためには 悪夢もまた必要なのだ」
見習いサンタ「それで悪夢のボスさんは?」
悪夢のボス「そうだ 私はサンタを辞めて」
悪夢のボス「クリスマスに笑えない側に 立つことにした」
見習いサンタ「そうだったんだ」
悪夢のボス「そういう存在も 必要なのだ」
見習いサンタ「そっか ボク、誤解してたかも」
見習いサンタ「んっ?」
見習いサンタ「あっ!  あれ見て!」

〇空
  ぱらぱらぱら

〇街中の公園
悪夢のボス「俺の部下と」
見習いサンタ「お師匠様!」
悪夢のボス「仲良くワクチン撒いてやがる」
見習いサンタ「・・・」

〇幻想
見習いサンタ「みんなみーんな ハッピーになあれっ!」

〇黒

〇街中の公園
見習いサンタ「今回はやり過ぎちゃったけど」
見習いサンタ「やっぱりボク みんなを笑顔にしたい」
見習いサンタ「泣いてる時も」
見習いサンタ「怒ってる時も」
見習いサンタ「たまに 落ち込む時があっても」
見習いサンタ「でも みんなが笑ってる顔が好き!」
見習いサンタ「ボクは そのためにサンタになったんだ!」
見習いサンタ「まだ見習いだけど」
悪夢のボス「私と敵対することになるぞ」
見習いサンタ「それでもいい」
悪夢のボス「私は強いぞ」
見習いサンタ「ボクだって負けないから」
見習いサンタ「うん、決めた! ボク、お師匠様の元に帰る」
悪夢のボス「好きにしろ 止めたりはしない」
見習いサンタ「でも、ありがとう それから」
見習いサンタ「メリークリスマス!」
悪夢のボス「・・・」
  テトテトテト
通行人I「悲しいの?」
悪夢のボス「あっちへ行け」
通行人I「悲しいと 幸せが逃げちゃうんだよ」
悪夢のボス(何をあたりまえのことを)
通行人I「これ食べて元気出して」
悪夢のボス「なんだこれは?」
通行人I「クッキー クリスマス会で作ったんだ」
通行人I「食べていいよ」
悪夢のボス「じゃあもらってやる」
通行人I「ありがとう!」
悪夢のボス「ありがとう、だと?」
通行人I「うん、ありがとう!」
通行人J「ほら 知らない人と喋っちゃダメでしょ!」
通行人J「行くよ!」
通行人I「はーい!」
通行人I「じゃあね バイバイ!」
通行人I「メリークリスマス!」
悪夢のボス「・・・メリークリスマス」
悪夢のボス「・・・」
  ボリボリボリ
悪夢のボス「・・・クッキーか」
悪夢のボス「くそっ いろいろ泣けてきやがる」
悪夢のボス「俺はあの見習いに洗脳されたのか」
悪夢のボス「いや、そんなはずはない」
悪夢のボス「だとしたら・・・」
悪夢のボス「これがクリスマスの魔法か」
  ボリボリボリ
悪夢のボス「くそっ だからクリスマスなど嫌いなのだ」
悪夢のボス「そして、悪夢は必要なのだ」
悪夢のボス「絶対に」

コメント

  • それぞれの個性が立っていて、楽しく読ませていただきました。
    悪のボスの過去に驚きました!
    幸せな時もあれば、悲しいときも苦しいときもある。見習いくんの思いも、悪のボスの気持ちも分かるなぁと、色々考えさせられてしまいました。

  • 善と悪が逆転していくというか、境界が曖昧になっていく感じが面白かったです
    考えさせる内容だと思いますが、悪夢のボスの考え方に従えば失意も悪いことではないので、読後感はよかったです
    2000字とは思えない充実した内容でした

  • 素直にクリスマスを喜べない人もいるだろうなと考えさせられる作品でした。辛い時悲しい時はもちろん泣いたらいいけど、クリスマスくらい世の中みんなが笑顔になるといいなと思います。
    素敵な作品でした。

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