義妹二人は変人である。

yoyoyo

エピソード1(脚本)

義妹二人は変人である。

yoyoyo

今すぐ読む

義妹二人は変人である。
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇高級マンションの一室
  俺には義妹がいる
  家族である義妹が二人いる
  そして――二人は変人である
天童 春乃「やあやあ兄ちゃん! 今日も元気そうで一安心だよ!」
天童 冬彦「春乃・・・何が一安心だ。使い方間違えるだろ」
天童 春乃「間違えててもいい! 気持ちだけ伝わればそれでいいのだ!」
天童 冬彦「いいのか!? それに気持ちはなに一つも伝わってこないぞ?」
天童 春乃「何!? では仕方ない・・・これでどうだ」
天童 冬彦「・・・・・・」
天童 冬彦「何してるんだ?」
天童 春乃「念を送っているのだよ! どうだい? 私の気持ちが理解できたかね!?」
天童 冬彦「できるか! 目隠しで隠れている物を当てるぐらい不可能だわ! お前の念は一切理解できない!」
天童 春乃「そんな・・・私の気持ちが伝わらないなんて・・・これは三年ほど、言って聞かせなければいけないようだな」
天童 冬彦「もっと簡略にできないか!? せいぜい十分ぐらいにまとめてほしい」
天童 春乃「十分・・・? 十分でこの想いを全てお兄ちゃんに伝えろと?」
天童 冬彦「な、なんだよ・・・十分もあれば十分だろ?」
天童 春乃「十分だと! 貴様、フルマラソンを走るのに、十分で足りるとでも言うのか!?」
天童 冬彦「足りない! 足りなさすぎる! でもフルマラソンじゃないから。ただ説明をするだけだから。その比喩は間違いだと俺は主張する」
天童 夏帆「ふぅ・・・」
天童 冬彦「おわぁああああ!! 夏帆! 朝から耳に息を吹きかけるんじゃない!」
天童 夏帆「ならどうしろと言うのかしら? 漫画のように首筋に手刀を入れて気絶をさせろと?」
天童 冬彦「そんな物騒なことをするんじゃない! 朝はおはよう。それでいいんだよ!」
天童 夏帆「おはよう、春乃」
天童 春乃「おっはよー、夏帆ちん!」
天童 冬彦「何故春乃には挨拶して、俺には普通に挨拶ができない?」
天童 夏帆「できないんじゃないの。していないだけ。兄さん、そんなことも分からないの?」
天童 冬彦「分かるわ! だから普通にしろと俺は主張してるんだよ!」
天童 夏帆「断固拒否します」
天童 冬彦「拒否するな! 普通に挨拶しろよな、まったく・・・」
天童 冬彦「ほら、さっさと朝飯を食べるぞ。早く食わないと遅刻するから、急ぎ目にな」
天童 春乃「ほーい」
天童 冬彦「・・・・・・」
天童 冬彦「おい、夏帆」
天童 夏帆「何かしら、兄さん?」
天童 冬彦「何かしらじゃない。何故俺の膝を枕代わりにしてるんだ?」
天童 夏帆「あら、おかしいことを言うのね。そこに椅子があれば座るし、テレビがあれば見る。なら、枕があれば使うのも当然じゃないかしら?」
天童 冬彦「枕じゃない! これは俺の膝だ! そもそも、寝る時間じゃない! 起きたばかりだろ!」
天童 夏帆「長年眠っていたような人に、同じセリフが言えるのかしら?」
天童 夏帆「もう何年も眠って、体もまともに動かない。きっと誰もが、横になってていいと言うはずよ」
天童 夏帆「なのに兄さんは・・・酷い人」
天童 冬彦「お前は毎日定時に目を覚ましている、健康的な少女だろ?」
天童 夏帆「健康だからなに? 人によって態度を変えないでちょうだいって言っているの」
天童 冬彦「そっくりそのままお前にその言葉を送ろう。そしてさっさと起きろ! いつまでも俺の膝の上で横になってるんじゃない!」
天童 夏帆「・・・・・・」
天童 冬彦「おい、何とか言えよ」
天童 夏帆「黙秘権を行使します」
天童 冬彦「黙秘権なんてねえ! ほら、さっさと起きる!」
天童 夏帆「可愛い義妹が膝で眠ろうとしているのに・・・ああ、もう少し優しい義兄がほしかったわ」
天童 冬彦「優しくなくて悪かったな。いいから飯食え、飯。何も食べないで学校に行くのか?」
天童 春乃「ねえねえ兄ちゃん!」
天童 冬彦「なんだ?」
天童 春乃「宇宙ってどうやったら行けるのかな?」
天童 冬彦「いきなりなんだ、その質問は?」
天童 春乃「ほら、夜に空を眺めるじゃない?」
天童 冬彦「まぁ、眺めることもあるかな・・・」
天童 春乃「そしたらさ、行きたくなるじゃん、宇宙!」
天童 冬彦「・・・いきたくなる気持ちは分からんでもないが、だが何故そんな質問を俺にした?」
天童 春乃「だって兄ちゃん、いつだって難しい問題解いてくれるじゃない」
天童 冬彦「俺が解けるのは精々学校の問題だけだ! お前の奇想天外な問題は解決できない!」
天童 春乃「私を・・・」
天童 春乃「私を見捨てる気か! 今更私を見捨てようなんて、それはないよ!」
天童 春乃「兄ちゃんには、私を生涯養う義務があるんだからね!」
天童 冬彦「養うか! それに見捨てるってなんだ。お前は話を飛躍し過ぎなんだよ」
天童 春乃「なるほど、じゃあ見捨てないんだね。良かった。安心した」
天童 春乃「なら、老後までよろしく頼むよ」
天童 冬彦「頼まれてたまるか! 学校を卒業したら、そこまでだ。後は自分の力で生きていきなさい」
天童 春乃「・・・・・・」
天童 春乃「どうやって?」
天童 冬彦「それは自分で考えなさい」
天童 夏帆「あーん」
天童 冬彦「いつまで膝枕してる! それになんだ、その「あーん」ってのは?」
天童 夏帆「食事をしろと言ったのは兄さんのはずよ? だから私に食べさせて」
天童 冬彦「自分で食え。そしてすぐさま起きろ!」
天童 夏帆「起きないわ。そして自分で食べるつもりはないの。さあ、早く私に食事を食べさせなさいな」
天童 夏帆「あーん」
天童 冬彦「あーんじゃない! お前、鼻からコーヒーを注ぐぞ」
天童 夏帆「なんて残酷な人・・・これは学校はおろか、ご近所さん」
天童 夏帆「しいてはインターネットの力を使って、世界中に兄さんの酷さを伝えなければ」
天童 冬彦「止めろ! 俺を晒し者にするな! 世界中に知られたら、俺はどこで生きていけばいいんだ?」
天童 冬彦「いや、そもそも事実無根だし。嘘を言いふらすんじゃない」
天童 夏帆「真実ならいいのね。義理の妹に食事を与えず、眠ることさえ許さない」
天童 夏帆「そのことだけは何としてでも伝えてみせるわ」
天童 冬彦「印象悪い部分だけ切り取ってんじゃない! ネット記事か!」
天童 夏帆「ネット記事なんて嫌だわ・・・事実です」
天童 冬彦「事実じゃない! 言いがかりもいいところだ!」
天童 春乃「ねえねえ兄ちゃん! 私にも構ってよ~」
  俺の背中に抱きついてくる春乃
  少し・・・ほんの少しだけだが、その豊満な胸にときめいたのは秘密にしておこう
天童 夏帆「・・・私のことを貧乳だと思っているのでしょ? そんなやらしい視線を感じたわ」
  ギクリ
  こいつ・・・俺の考えを読めるんじゃないだろうな
  胸のことを考えていたのは真実だ。でも──
天童 冬彦「どんな視線だよ! 貧乳だったら興奮しないんじゃないのか? しらないけど」
天童 夏帆「興奮するってことは、ロリコンの変態さんなのね。やだわ」
天童 冬彦「俺は至って普通だ! ロリコンでもないし、妹に欲情することもない、普通も普通の男子高校生だ!」
天童 夏帆「それはそれで・・・」
天童 夏帆「困ったものだわ」
天童 冬彦「何に困ってるんだ!?」
天童 春乃「よし、兄ちゃん。今日は学校を休んで私と結婚式をしよう!」
天童 冬彦「突拍子すぎるにもほどがある! いきなりなんだ!? なんで妹と結婚式するんだよ!」
天童 春乃「妹じゃなかったらいいんだね・・・」
天童 春乃「じゃあ今日から私たちは他人同士! ということで、よろしくお願いします!」
天童 夏帆「・・・よろしくお願いします」
天童 冬彦「よろしくお願いしますじゃなーい!!」
天童 冬彦「後、夏帆! さっさと俺の膝から離れろ!」
  俺の父親と二人の母親が再婚し
  兄妹となった俺たち
  変人である二人の義妹との
  ふざけた日々
  それは
  拒もうとも、拒絶しようとも、拒否しようとも
  続いていくのである
天童 夏帆「あーん」
天童 春乃「あーん」
天童 冬彦「あーんなんてするか! 自分たちで食えぇえええええええ!!」

コメント

  • いいですね、義妹(いもうと)2人とのラブコメ。
    主人公が普通の人枠で、ヒロイン2人ががかなり個性的という設定も楽しいです。やはりラノベ書いてる方の作品は楽しいです。タップノベルではあまり見かけないので。
    これからの展開が楽しみです。

  • 男子の夢と希望と妄想がいっぱいに詰まった兄妹関係に胸焼けしつつも笑えました。夏帆も春乃もどんだけ冬彦のことが好きなんですか。毎朝こんな感じじゃ毎日遅刻しちゃいますね。

成分キーワード

ページTOPへ