やさしい嘘(脚本)
〇部屋のベッド
主人公「うんうん。 うまくやってるよ。 今日はデッサンだったよ・・・」
母親「そうなのね。 それならよかった。 お父さんもお母さんも心配で心配で。 (電話口なので何を言ってるかはわからない感じ)」
主人公「ほんとだよ!順風満帆だから! 課題やるから切るねっ!」
・・・ツーツー
──全然順風満帆なんかじゃありません・・・!!
〇美術館
人生になんの目的も見出せなかった私が唯一心の踊った美術館。
〇大きな木のある校舎
感動できるアート作品を作りたい。ただそれだけを理由に美術学校に入学する為、教室に通って入試対策を行った。
なんとかギリギリの合格ラインで滑り込んだ第三志望の美大は、東京にあって家族と離れ離れになってしまった。
先生「うーん・・・個性がないね」
先生2「全然よくないね」
先生3「何を表現したいの?」
これまでは入試対策という目標があったが、今の私には何も描きたい事がなく、どうすれば良いかわからなかった。
主人公「アアアアアアアアア!!!」
〇講義室
周りにも馴染めず、ずっとイヤフォンをつけてノイズを消しながら過ごしていた──
〇部屋のベッド
──そして半年後、私は学校に行かなくなり、生活費の為にイラストの在宅ワークをしつつ、もやもやした毎日を過ごしていた。
主人公「ほんとこれからどうしよう・・・ お母さんにもなかなか言い出せないし。 でも学校は居心地が悪いし・・・」
・・・ふと、側にあったくまのぬいぐるみを手に取る主人公。
主人公「──えー、テステス・・・お母さん。ごめん、実は今学校に行けてないの。え?なんでかって?うーん・・・」
主人公「自分はアートなんかできないんじゃないかって思うの。憧れていただけで肝心の中身がないというか・・・」
主人公「とにかくね、きっと向いてないの。だから学校も辞めようかな・・・って・・・」
──ほんとうに それで いいの?
主人公「・・・え?」
クマ(くまのぬいぐるみ)「さっきから聞かせてもらってんだけどさ・・・本当にそれで後悔しないの?」
主人公「!? え、、、でも、、、」
主人公「何を作ったらいいか全然わからなくって・・・」
クマ(くまのぬいぐるみ)「きっと見つかってると思うの。したい事。でも気づいていないだけだと思う」
主人公「そうなのかな・・・一体なんだろう。 ・・・ところであなたは・・・?」
クマ(くまのぬいぐるみ)「あっ、はじめまして、クマです」
主人公「・・・へー・・・ (もう少し何か私にできる事がないか考えみるか・・・)」
色々日常パートなどがありつつ・・・最終話へ・・・。
〇部屋のベッド
主人公「やっぱり私には何もできないんだよ」
──もう明日なんかこなきゃいいのに
その後、ドーンと大きな音が鳴って、窓の外を見てみると・・・
〇崩壊した道
主人公「えっ・・・? なにこれ」
──変わり果てた街の様子、破壊していたのは見覚えのあるくまのぬいぐるみだった
主人公「えっ!? クマ!?」
──本当に世界が終わってもいいの・・・?明日がこなくてもいいの?
──そして夕日となっていた太陽が爆発し、街は壊滅した。
主人公「クマッ!?」
──さっと覆いかぶさるように主人公を爆発から守るクマ
「もっと生きてたい。。。 ごめんなさい」
〇部屋のベッド
主人公「助かった・・・? クマッ!?」
──そこにはボロボロになったくまのぬいぐるみが転がっていた。
”やさしい嘘”とは、ぬいぐるみが主人公に向けて見せた世界が終わる光景であった。
──スマホが鳴る音
「あっ お母さん、実はね。 学校に行けていなかった、でも反省した」
「やりたい事が見つかったの 留年してやり直させてほしい」
「心配かけてごめんなさい」
──暖かく「大丈夫だよ」と答えるシーンで物語は終わる。
クマが彼女のモヤモヤの全てを引き受けて傷を負ってくれたんですね。その「やさしい嘘」に報いるために再び動き出そうとする主人公の最後の姿が心強いです。
自分の好きなことを極めて行くのは難しいんだなあと思いました。
自分より優れた人を見たら劣等感を感じてしまうし、先生に色々言われたら自信を無くしてしまうし。
私は極めたい事すら無いので、やりたい事がある時点で尊敬なのですが🥹
そして、くまちゃんのぬいぐるみが居てくれて良かったです。