エピソード1(脚本)
〇大樹の下
ユナ「ねえ・・・シャル」
ユナ「魔界に行くって本当?」
シャル「・・・」
ユナ「シャルが凄い魔法を使えるのは知ってる。でも、あんな危険な場所に一人で行くなんて危険すぎるよ!」
シャル「ゆるせないんだ。魔族が・・・」
シャル「大丈夫だよ、ユナ。すぐに帰ってくるさ!」
この世界は、二つに分かれている。
僕たちが住む「人間界」と、
魔族の住む「魔界」。
魔族はとても狂暴で、人間を襲ってばかりいた。人間は常に魔族に怯えながら暮らしていた。
僕は憎かった。人間にひどいことをする、魔界のやつらが。
人々を守るために、僕は厳しい修行を耐え、1人前の戦士となった。
なったのだが・・・
〇謎の扉
シャル(着いた。ここが魔界の門・・・!)
シャル「はあ・・・」
〇魔物の巣窟
ネモ「ねえパパ!シャルゲオスよ! シャルゲオスが帰ってきたわよ!!」
魔王「ゲハハハハハハ!! おおそうか!待ちわびたぞ!」
シャル「・・・」
魔王「15年間の遠征はどうだった? ──わが息子よ」
僕は魔族。
そして・・・魔王の子どもだった。
〇西洋の円卓会議
ネモ「今日は・・・じゃーん! 若い人間の雌のスープよ」
魔王「ママのスープは最高だぞ! くってみろ!骨身にしみるわ!!」
魔王「ゲハハハッーハ・・・ハ・・・ ゲホッ!ゲホッ!!」
ネモ「あーもう!パパ一度に食べすぎ!!」
魔王「・・・こほん」
魔王「ゲハハハハハ!! ところでシャルゲオスよ!全く連絡をよこさなかったから、どうしたのかと思ったぞ!」
魔王「どうだ?憎き人間どもを一匹でも多く殺せたか? 吾輩の立派な跡継ぎになるには、数多の人間の魂を吸収せねばならんからな」
魔王「吾輩も3000歳。そろそろ身を引く時期だからな。かなり期待しているぞ。息子よ!」
シャル「父さん。母さん。 今日は話があって来たんだ」
シャル「僕は・・・」
シャル「僕は魔族と縁を切る!! そしてこれからは人間として生きるんだ!!」
魔王「そうかそうか! ゲハハハハハハハハハハ!!」
魔王「・・・」
魔王「・・・・・・・・・は?」
〇西洋の円卓会議
魔王「何を馬鹿なことを・・・!! お前、自分が何を言っているのか分かっているのか!!」
シャル「分かってるさ!! 人間に対して悪いことをしている父さんたちのことがゆるせないんだ!!」
魔王「悪いことだと・・・?」
シャル「そうさ!魔族は人間を襲って殺したり、食べたりしている!人間たちは何も悪いことをしていないのに!」
魔王「元々世界は我々の地だった。それを人間どもが途中からやってきて、好き放題荒らしているのだ」
魔王「我が大地を取り戻すことこそが、我々の悲願なのだ!」
ネモ「それに、人間を食べることは、私たちの魔力を増幅させるためにも欠かせないことなのよ」
ネモ「人間から魔力を摂取できなくなったら、どんどん魔力が低下していってしまうわよ?」
シャル「・・・とにかく! もう父さんたちの言う通りにはならない!」
シャル「僕は人間に生まれたかった! 魔族になんか生まれたくなかったよ!!」
魔王「・・・」
シャル「・・・」
魔王「そうか。ならもうお前は吾輩の息子ではない」
魔王「出ていくがいい」
魔王「次またここへ来た時は、人間として・・・殺す」
ネモ「パパ・・・!それはちょっと言い過ぎじゃない!?」
魔王「出ていくんだ」
魔王「さっさと出ていけ!!」
シャル(これでいいんだ。これで・・・)
ネモ「ちょっとちょっと・・・ 二人とも少し落ち着きなさいって」
ネモ「そもそもさ、あんたがそこまでして魔族から人間を守ろうとするのって、なぜなの?」
シャル「・・・!」
シャル「・・・守るべきヒトが出来たんだ」
ネモ「守るべきヒト・・・?」
ネモ「ふうーん・・・」
ネモ「それって彼女のこと?」
シャル「彼女って?」
ユナ「・・・」
シャル「!!? ・・・ユナ? どうしてここに??」
ユナ「ごめん・・・。やっぱりシャルが心配で、こっそりついてきちゃったんだ」
ネモ(はーん。なるほど・・・)
〇西洋の円卓会議
魔王「聞いたかママ!! 我が息子が・・・ふぃ・・・ ❝ふぃあんせ❞をつくっただと!」
シャル「ち・・・ちがう!!そんなんじゃないよ!!」
魔王「いやあ~実は心配だったのだ! 我が息子に誰も寄り付かんことが」
ネモ「シャルゲオスったら、ずう~っと真面目に修行ばかりしていたからね」
シャル「あんなに人間を毛嫌いしていたくせに?」
魔王「人間?そんなことはどうでもいい!! 魔界の土地、魔族の繁栄なんかより、息子の春がイチバンだ!」
シャル「だから・・・そんなんじゃないってば!」
シャル「もういいよ!出ていくから!」
魔王「・・・息子よ」
シャル「・・・何だよ?」
魔王「また連れてきなさい!!」
シャル「あーーもう!! なんだってんだよ!!」
シャルは正義感あふれて素晴らしい青年だなあと思ったけど、親のああいう姿を見て育ったから反面教師的な感じなのかなあ?とも思ったりしました。
でも息子の腹を喜んだり、案外いい両親なのかなあ😌
魔界と人間界はなんだか敵対する国家間のお話みたいですね。意外と話のわかりそうなお茶目な魔王のお父さん、ゲハハハといい味出してました。魔族シャルと人間ユナが結婚したらその子供はどんな種族になるのかな。