エピソード10(脚本)
〇ビルの地下通路
ナナシ「なっ───なんでコイツが!」
獣の本能「────Aaaaa」
ハコ「これがツクモ神とツクモ獣の最大の違い ツクモ獣はほぼ同一の個体が 複数存在するの」
ナナシ(なら、あの炎のツクモ獣も・・・・・・)
ネコマ「──異常であるな」
ネコマ「この短い間に二度も、」
ネコマ「それも同じ場所に 同じツクモ獣がいるなど」
ハコ「裏に誰かの作為があるっていうの?」
ネコマ「そこまでは言わぬが・・・・・・」
ネコマ「少し急いだ方がいいかもしれん」
ハコ「ならお兄ちゃんを呼ぶ?」
フラマ「いえ、私がやる」
フラマ「あれ、痛いんでしょ、 ならやらなくていいわ」
フラマ「私も、早く終わらせるのは得意だから」
獣の本能「!! GYaaaaa!!」
フラマ「気づかれたわね」
突進してくるツクモ獣をフラマさんは軽く
受け止める
ナナシ「フラマさん!」
ハコ「大丈夫、フラマさんはマフラーのツクモ神」
ハコ「だからね、とっても軽いの」
その言葉通り、
突き飛ばされたフラマさんは
ふわりと衝撃を受け流し──
獣の本能「GYaaa!?!?」
右足をツクモ獣のくびに”巻きつけた”
フラマ「ネコマさんに習って私も解説するとね」
フラマ「私は自分の体の一部、もしくは全体に ”マフラーの性質を付与する”」
逆立ちのような姿勢で、
相手の首を絞めるフラマさんの腕は、
しっかりと地面を掴み────
足は、
”ロープのように柔らかく巻き付いている”
フラマ「マフラーみたいに柔軟性があり、 それでいて強い長布はね」
獣の本能「Ga────」
フラマ「首を絞めるのにひどく向いてるの」
獣の本能「Guu──」
フラマ「打撃が有効打にならないと見ての噛みつきは正しい判断だけれど」
怪物の首を絞める足の片方が、
バラリと”ほどけた”
フラマ「マフラーは毛糸の集まり」
フラマ「私は自分の体を毛糸状にほどき、 そして」
目、鼻、口
怪物の顔面に、毛糸の束が押し込まれる
フラマ「その全てを私の意志で動かせる」
獣の本能「──────」
フラマ「悲しいわ」
20秒にも満たない
自己申告通り素早い決着であった
フラマ「さぁ、早く帰りましょう」
〇体育館の中
帰ってきたボクらを最初に迎えたのは──
?「よぉ、遅かったじゃねぇか」
”招かれざる客であった”
ネコマ「────赤、縄」