読切(脚本)
〇シックなリビング
明里「これは、私がまだ小学校に入る前の話」
明里「私自身は覚えていなくて、祖父母から聞いた話だ」
明里「そして、最近気づいたのは、その話と夢だと思っていたあの光景が、実は一つの話であった事・・・・・・」
明里「祖父母に引き取られる直前にあった出来事・・・・・・」
明里「ママ~!どこー?!」
明里「ママ~!?トイレー?」
明里「あれー?」
明里「いない。ママ~!?」
明里「ママ~!どこー!」
ママ「明里ー!ごめんごめんっママここだよ!」
明里「ママ~!!うわぁ~ん!!」
ママ「ごめんねっお洗濯干してただけよ。 怖かったね」
明里「マッ・・・ママが・・・・・・い゛ながったのー!!」
ママ「もう大丈夫よ。そばにいるから・・・ね? ほらもう泣き止んで?一緒におやつ食べよう?」
明里「おやつ?・・・・・・たべるー!!」
ママ「何食べたいー?」
明里「えっとねー!ママのクッキー!!」
ママ「ふふふっ。じゃぁ、寂しい思いさせちゃったからジュースもつけようね」
ママ「パパには内緒よー! ママと明里の秘密ね!」
明里「うん!内緒ね~!ふふっ!おいし~い!!」
明里「お母さんと私は、昼間、2人で家に居ることが多かったらしい」
明里「週3日のパート以外では私と一緒にお菓子を作ったり、公園に連れて行ってくれたりしたらしい」
明里「祖父母の携帯によく写真や動画が送られてきていたそうだ」
明里「小さい頃は、良くそれを見させてくれていた。『明里はママに愛されてたのよ』って」
〇シックなリビング
明里「ある日、私とお母さんは近所の山道を巡って疲れて寝入ってしまった日の事」
明里「いつもより早くお父さんが帰ってきたそうだった」
「ただいま~。ん?電気も付けないで何やってんだ?」
パパ「あ。寝てる。お~いママ?明里ー。起きろー」
ママ「ん~~」
明里「もう。歩け・・・なぃよぉー むにゃむにゃ」
パパ「お~い。夕飯食べたいぞー」
ママ「パパっ!ごめんなさいっ寝ちゃってたみたい。明里ーパパ帰ってきたよー」
明里「ん〜??パパァ?お帰りなさぁい」
パパ「ん。ただいま。山登りしたんだってなぁ?楽しかったかー?」
明里「うん!楽しかったよー!」
パパ「夕飯なんだ?」
ママ「ごめんなさい、帰ってきてちょっと休むつもりが寝ちゃって。すぐできるもの作るね」
明里「私パスタがいーなぁー! 赤いやつ!!」
ママ「ミートソースのね」
パパ「俺、腹減って死にそー!早くしてくれよなぁ。 風呂は?」
ママ「すぐ沸くよ」
明里「ママと明里はねー!お山登ったから帰ってきて入ったんだよー!汗いっぱいだったのー」
パパ「ふーんそうなんだなー」
パパ「明里楽しそうだなぁ。また連れてってもらえなぁ?」
明里「うん!」
パパ「今度はパパとも行くか?」
明里「うん!3人でいきたぁい!」
パパ「そうかぁ」
明里「私にとっては、パパもママも優しい人だったと、なんとなく覚えている」
明里「そう。私にとっては・・・・・・」
〇シックなリビング
明里「その日の夜は、早く寝てしまっていたが、夜中に目が覚めてトイレに行こうとしたら声が聞こえてきた」
明里「暗い中でもトイレに行けるように、うさぎのかわいいランプをつけてくれていた。 その先の階段下から、光が漏れ届いていた」
パパ「誰のお陰でせいかつできるとおもってるんだ!?ふざけるなよ!」
ママ「なんでそんな話になるの? 今日のお出掛けだって全部私のパート代から出したのよ!生活費から出してないわ!」
パパ「そんな話じゃないだろ! 俺が疲れてきて帰ってきてるのに、メシもフロも用意してないなんて」
パパ「専業主婦のくせにそれくらいもできないのか!」
ママ「話をすり替えないで!!私は、これはどういう事かきいてるの」
パパ「勝手にひとのスマホを見たのか!最低だな!!」
ママ「最低はどっちよ!テーブルの上に置き忘れて、画面を閉じてなかったのは貴方じゃない!」
明里「ママ?パパ?どうしたの?」
ママ「明里っ! ど・・・どうしたの?おトイレ?」
明里「うん。ケンカしてたの?」
パパ「なんでもないよ。トイレにいって早く寝な」
明里「・・・・・・うん ママ一緒に来てくれる?」
ママ「えぇ。いいわよ。怖い夢でも見た?」
明里「ママ一緒がいいの」
ママ「いいわよ。さぁ。行こうね」
明里「うん」
ママ「貴方には後で話があるからっ」
パパ「クソっ」
明里「この日以降。お母さんは、お話をしてくれなくなった」
〇シックなリビング
明里「おはよう!パパ!ママ!」
パパ「おはよう明里。今日はパパがご飯作ったからな。 保育園もパパと行こう」
明里「今日はママ具合悪いの?」
パパ「あぁ。そうなんだ、だからゆっくりさせといてあげような?」
明里「うん!わかったー!じゃぁ着替えてくるね!」
パパ「あぁ。行っておいで」
パパ「とりあえず、これでいいか」
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んー、事件の恐ろしさと母親の愛情が混ざり合って心に伝わってきますね。怖くもあり、温かでもあり。そして、パパサイテーという感情もw