読切(脚本)
〇一人部屋
木村 百合子「起きなさい・・・」
木村 百合子「拓也、起きなさい!!」
木村 百合子「起きなさい!!起きなさい!!起きなさい!!」
木村 拓也「しつこいわ!!」
木村 拓也「ってか、何だよその恰好!?」
木村 拓也「母さん!!」
木村 百合子「あぁ、コレ?」
木村 百合子「美人な母さんの制服姿見たら拓也も思わず起きるんじゃないかってネ!!」
木村 拓也「起きれねえよ!!」
木村 拓也「母親の制服姿なんて見たらトラウマで眠りこみたくなるわ!!」
木村 拓也「永遠のね!!」
木村 百合子「まぁまぁ、そんな事言わず!!」
木村 拓也「それに母さん、まだ8時だぜ・・・」
木村 拓也「休日くらいゆっくりさせてよ・・・」
木村 百合子「だらしないねぇ!!」
木村 百合子「あんたのために言ってるのよ!!」
木村 拓也「やかましいわ!!」
木村 百合子「それに、」
木村 百合子「今日は父さんが帰ってくる日だから」
木村 百合子「片付けとか色々手伝ってもらってほしいの!!」
木村 拓也「(絶対ェそれが目的だろ・・・)」
木村 拓也「はぁ・・・」
木村 拓也「しょうがねえなぁ・・・」
〇おしゃれなリビングダイニング
木村 百合子「ところでアンタ、今日暇よね」
木村 拓也「まぁ、用事とか無いけど」
木村 百合子「それなら今日は一日中留守にしてくれない?」
木村 百合子「ホラ、父さんが帰って来たときに一人じゃかわいそうでしょ」
木村 百合子「仕送りとか色々やってもらっているし」
木村 拓也「別にいいけど、」
木村 拓也「そういえば遥は?」
〇シックな玄関
木村 遥「”うんぬんかんぬん”あって出かけなきゃいけなくなった!!」
木村 百合子「”うんぬんかんぬん”あったのね!!」
木村 百合子「行ってらっしゃい!!」
〇おしゃれなリビングダイニング
木村 百合子「って事があって出かけたよ」
木村 拓也「(うんぬんかんぬんで伝わるんだ・・・)」
木村 拓也「ところで母さんは?」
木村 百合子「仕事に行ってくる」
木村 拓也「仕事って、何の?」
木村 百合子「炭酸水を売る仕事」
木村 百合子「略して水商売ね!!」
木村 拓也「そんな略し方するなッ、息子の前で!!」
木村 拓也「ってか略せてないし・・・」
木村 百合子「フフッ、じゃあ行ってくるわ」
木村 拓也「気を付けてよ!!色々・・・」
〇おしゃれなリビングダイニング
2時間後
木村 浩二「おぅ、ただいま!!」
木村 拓也「おぉ、親父ぃ!!」
木村 浩二「おぉ、拓也か」
木村 浩二「帰ってきてすぐに悪いが、話がある」
木村 拓也「話しって、何?」
木村 浩二「お前」
木村 浩二「”魔法少女”を引き継がないか?」
木村 拓也「・・・」
木村 拓也「はァ?」
木村 拓也「魔法少女ォ!?」
木村 拓也「引き継ぐゥ!?」
木村 拓也「頭打ったんじゃない!?」
木村 拓也「冗談なら母さんにいって!!」
木村 浩二「いや、ひどくね?」
木村 拓也「ゴメン・・・」
木村 浩二「それに父さんは冗談じゃなくて本気だぞ!!見とけよ!!」
木村 拓也「???」
木村 浩二「いくぞ!!マジカルチェンジ!!」
魔法少女「ほらね?マジでしょ!!」
木村 拓也「マジだ!!」
木村 拓也「でも引き継がねぇよ!!」
魔法少女「えぇ・・・」
木村 拓也「でも、どうして俺引き継げなんか言うんだ?」
木村 拓也「遥に言えばいいじゃん!!」
魔法少女「言ったら引き継いでくれる?」
木村 拓也「考えてやるよ(メンドクセェ・・・)」
魔法少女「あれは上司に呼ばれたとき・・・」
〇応接室
偉い人「ところで君、年頃の息子がいるんじゃない?」
魔法少女「まぁいますが・・・」
偉い人「そろそろその子と”引き継”井田法がいいと思うんだ」
偉い人「年齢的に厳しいでしょ、ほら色々」
魔法少女「いや全然」
偉い人「・・・」
偉い人「まぁともかく、そろそろ引き継ぎなよ」
偉い人「それに私も年頃の男の子と接したいしねぇ」
魔法少女「女の子じゃダメなんですか?」
偉い人「ダメだね!!男のが”来るモノ”があるからねぇ~」
魔法少女「は、キモ!!」
偉い人「クビにすっぞ!!」
魔法少女「サーセン・・・」
〇おしゃれなリビングダイニング
魔法少女「ってことがあって」
魔法少女「男じゃなきゃダメなんだ・・・」
魔法少女「ってことで、拓也チャン、魔法少女🧙🧙🧙にナッテくれたら嬉しいカナ💕(^з<)(笑)」
木村 拓也「断然やだよ」
木村 拓也「ってか、喋り方キモ!!」
魔法少女「仕送り0にすっぞ!!」
木村 拓也「サーセン・・・」
木村 拓也「ってか上司って・・・」
魔法少女「ウチは魔法少女で生計を立ててるんだぞ!!」
魔法少女「父さんがあまり帰ってこれないのも、魔法少女が忙しいからだ!!」
木村 拓也「えぇ・・・」
木村 拓也「ちょっと複雑・・・」
「ただいまぁ~」
木村 拓也「おぅおかえり!!」
木村 遥「ってか兄貴、この子誰?誘拐?」
木村 拓也「ごッ、誤解だよ!!」
木村 拓也「誘拐なんて断じてしてな・・・」
木村 遥「少女誘拐とかキモ!!」
木村 拓也「違っ・・・」
木村 遥「兄貴の学校に言いふらすぞ!!」
木村 拓也「サーセン・・・」
魔法少女「はっはっは」
魔法少女「遥、ワシじゃよ」
木村 浩二「父さんだ」
木村 遥「親父!!」
木村 遥「どうしたんだよ、魔法少女になったりして!?」
木村 浩二「まぁ、”うんぬんかんぬん”あってな」
木村 遥「”うんぬんかんぬん”ね、分かったわ」
木村 拓也「(分かったんかい!!)」
チャイム「ピンポーン」
木村 浩二「ん、母さんか?」
木村 浩二「遥、行ってこい!!」
木村 遥「分かった」
木村 浩二「って事でだ」
木村 拓也「断じて断る!!」
木村 遥「キャァァァ!!!!」
木村 遥「大変大変!!!!不審者よ!!」
木村 拓也「行くぞ、親父!!」
木村 浩二「あぁ!!」
〇シックな玄関
不審者「フッフッフ」
木村 浩二「誰だお前はッ!!」
「偉い人ォォ!!」
木村 浩二「どうして貴方が此処に!?」
偉い人「遅い」
木村 浩二「!?」
偉い人「私が”引き継ぎ”の提案をした時、お前は『10日待ってくれ』と言った」
偉い人「一か月も待ってるぞ」
偉い人「何をしていた?」
木村 浩二「そりゃあ、インスタで知り合った女の子とお茶したり・・・」
木村 拓也「親父ィ!!なんてダメな人なんだ・・・」
偉い人「処刑する」
木村 拓也「いいぞ、やっちまえ!!」
偉い人「息子、お前もな!!」
木村 拓也「えぇ!!」
木村 拓也「処刑するなら親父だけ・・・」
木村 浩二「クッ・・・」
木村 拓也「親父ぃ、俺をかばって・・・」
木村 浩二「拓也、よく聞け!!」
木村 浩二「父親ってのはとても大変なんだ・・・」
木村 浩二「どれだけ仕事を頑張っても、家族から文句を言われちまう」
木村 浩二「そりゃあ、若い女の子とも遊びたくなるさ・・・」
木村 浩二「でもな、父親は家族をぜってぇに見捨てねぇ!!」
木村 浩二「何故かって、お前ら家族をとても愛しているからだ!!」
木村 拓也「親父ィ・・・」
木村 浩二「だからなぁ、家族を傷つける奴は絶対に許せねぇ!!」
木村 浩二「たとえ会社の上司でもなッ!!」
木村 拓也「(カッコいいぞ、親父)」
木村 浩二「マジカルチェンジ!!」
魔法少女「拓也、ちょっと下がってろ!!」
木村 拓也「分かった!!」
魔法少女「必殺」
魔法少女「マジカルストリー・・・」
偉い人「ヒラヒラ~」
魔法少女「アーテガスベッタ─」
魔法少女「ク、クソォ・・・」
木村 拓也「親父ぃ・・・」
偉い人「これでもう終わりだな!!」
木村 拓也「(どうすればいいんだ・・・)」
???「欲しいか、”力”が──」
木村 拓也「なっ、何だこれ!?」
???「貴様の手を見てみろ──」
木村 拓也「なっ、何故これが・・・」
偉い人「もう遅い!!」
偉い人「くたばれぇ、この虫けらどもがぁ!!」
木村 拓也「仕方がない・・・」
木村 拓也「マッ、マジカルチェンジ!!」
木村 浩二「変身が、解けただと・・・」
魔法少女「マジカルストリーム!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
魔法少女「はぁはぁ・・・」
魔法少女「やった、勝ったぞ!!」
木村 浩二「じゃねえよ、このバカ!!」
木村 浩二「俺を吹っ飛ばす必要なかったろ!!」
魔法少女「バカはそっちだバカ!!」
魔法少女「金に釣られやがって!!」
木村 百合子「ただいまぁ~って、あれ!!」
木村 百合子「父さん帰っていたのね!!」
木村 百合子「それに拓也、どうして魔法少女になってるの?」
魔法少女「分かるんだ・・・」
魔法少女「まぁ、”うんぬんかんぬん”あってね」
木村 百合子「”うんぬんかんぬん”あったのね」
木村 百合子「分かったわ!!」
木村 浩二「それに拓也、魔法少女引き継いじゃったな!!」
魔法少女「いや、引き継いでないし!!返すよ!!」
木村 浩二「お前が一度変身しちゃうと、父さんもう変身できないんだよ・・・」
木村 浩二「つまり、お前が魔法少女をやらなきゃいけないんだ!!」
魔法少女「そんなぁ~」
朝っぱらからセーラー服着てくれるお母さんならノリノリで魔法少女になってくれそうだけど、うんぬんかんぬんあって男の子じゃなきゃだめっぽいですね。魔法少女界にもジェンダーレスな時代が到来したんだな〜。
魔法少女がテーマだけど、そんなことより家族のやりとりが真面目におかしすぎて笑わしてもらいました! うんぬんかんぬん・・これ頭にすごく残りますね。この家族好きだなあ・・。