エピソード15(脚本)
〇奇妙な屋台
♪〜♬〜♪〜
ジャン。
パチパチパチパチパチパチ
謎占い師「素敵な演奏でした。 皆さんお上手ですよね」
謎マッチョ「彼女らは 全国大会で優勝するくらいの、 実力者なのですよ」
謎占い師「どうりで。大したものですね〜」
ナナミ「ありがとうございます。 でもワタシ達だけの力では 優勝できませんでしたよ」
マチ「そう、みんなの心が一つになって初めていい演奏ができるのです」
店主「そう〜 素敵よねぇ〜」
ユウヤ「やあ、ここにいたのかい? マイハニー達♡」
ナナミ「ユウヤくん!!!」
マチ(ユウヤくん、お金持ちで嫌なやつだったけど、海で溺れてナナミに助けられてから、改心したんだっけ)
ユウヤ「ずっと練習してるから、 僕のことは忘れちゃったのかと思ったよ。 さ、行こうか。 今日は僕の家で誕生日パーティだからね」
ユウヤ「マチちゃんもどう? ヒロも来るよ」
マチ「うん、わかったわ、行く!!」
ナナミ「でもまだ服も着替えてないよ?」
ユウヤ「いいよ、ウチにある服を 貸してあげるから。。 屋敷に美容室と貸衣装屋が入ってるから 気にしないで」
マチ(どんだけお金持ちなの。 高級ホテルかしら?)
ナナミ「じゃあ、 ちょっとまって、片付けるから 先に行ってて」
ユウヤ「わかった。 あっちの車で待ってるよ。 すぐ来てね!」
スタスタスタ・・・
ナナミ「行ったわね。」
ナナミ「店主さん。ごめん。 お願いがあるの」
店主「なにかしら?」
ナナミ「実は・・・ 彼への誕生日プレゼント、 買い忘れてた・・・。 来週と勘違いしてた・・・」
ナナミ「酷いよねワタシ・・・」
マチ「あちゃー やっちゃったねー」
店主「ヒトだもの。 忘れることだってあるわよ。 忙しかったんでしょ?」
店主「彼を想う気持ちはあるわけでしょ?」
ナナミ「うん・・・」
店主「じゃあ、これを持っていきなさい。 相手が「絶対に」喜ぶものよ。 お代は後でいいわ。 さ、行ってらっしゃい」
ナナミ「ごめんね、 ありがとう・・・」
マチ「ワタシも買っていい? 一緒に行くし・・・」
店主「はい」
店主「これで、いいかしら?」
マチ「店主さんありがとうー」
店主「行ってらっしゃーい」
タッタッタッタッタッタッ
〇大広間
ユウヤ「やぁ、おまたせ」
マチ「ヒロくん、こんにちは」
ヒロ「待ってたよ、マチちゃん」
ナナミ「あれ?マチとヒロくん? いつの間に仲良くなったの?」
マチ「同じ塾のクラスで、 帰りが遅くなった時に、家まで送ってもらってから・・・ ウチに上がってもらって。」
ナナミ「あら、赤くなっちゃって なにかあったな〜」
マチ「え、えへへー」
ユウヤ「僕たちも負けてないもんねぇ〜 ねぇナナミ。」
ナナミ「も〜ユウヤくんたら。 ほらダンスの音楽が始まるよ。 踊ろうよ。」
ユウヤ「じゃ、僕たち踊ってくるから。 二人でごゆっくり〜」
ヒロ「やれやれ。」
ヒロ「僕たちも踊る? 一応、たしなみはあるんだ。 音楽もダンスも一通り身につけるんだよね」
マチ(さすが、 南城グループの御曹司だもんねぇ・・・)
マチ「うん。下手だけど よろしくお願いします・・・」
ヒロ「リードするよ。 さぁおいで。」
♪〜♬〜
〇城の客室
マチ「ふう。踊ったら疲れたわ。 慣れないわねぇ」
ヒロ「はい、どうぞお嬢様。」
マチ「あ、ありがとう。」
ヒロ「なんか、食べるものも探してくるね。 待っててね」
パタパタパタパタパタ
マチ「行っちゃった・・・ 優しいなぁヒロくん。」
マチ「そういえばワタシは、 あの屋台の店主に頂いたジャムの効果で、 ヒロくんに一時的に好かれた、だけだったからなぁ・・・」
マチ「だからヒロくんの本心、 ワタシのこと 本当に好きかどうかは 分からないの。」
マチ「ジャムが切れてからも、 仲良くしてもらってるけど、 本当に好きかどうかは わからないからなぁ」
マチ「ワタシは・・・ヒロくん好きだけどね。 でも身分が違いすぎる。 ワタシは所詮、悲しいかな庶民よ」
ユウヤ「やぁ、マチちゃん」
マチ「ユウヤくん。 そうだ、これ・・・誕生日プレゼント」
ユウヤ「ありがとう。開けていい?」
マチ「どうぞ。 (といっても、何が入ってるか分からないケド)」
ゴソゴソ
マチ(嫌な予感しかしない)
マチ「きゃっ」
マチ「これ・・・ (どう見ても気味悪いケド) ごめん・・・」
ユウヤ「これは!!! 幻の生物、マーレラじゃないか!!! 生きてたのか!!! すごいよ!!!ありがとう!!!!!」
マチ「えっ」
ユウヤ「古生代カンブリア紀中期に生息していた節足動物で、バージェス動物群に属するのは マーレラの一種のみで、大変貴重な・・・」
ユウヤ「僕、お金で手に入るモノは、 なんでも持ってるけど これ世界レベルで どうしても手に入らないやつだよ! 本当にありがとう!」
マチ「ま、まぁ・・・喜んでもらえるなら 良かったわ。」
ユウヤ「早速、僕のコレクションルームに預けてくるね〜」
タッタッタッタッタッタッ
マチ(ナナミのプレゼントボックスに、 何が入ってるか。 不安しかないわ)
〇貴族の部屋
ナナミ「みんなどこかしら・・・ 迷ってしまったわ」
ユウヤ「やぁ見つけた」
ナナミ「よかったぁ。 もう会えないかと思うくらい 広いんですもん、このお屋敷!」
ユウヤ「ここは僕の寝室だよ。 一緒に寝る?」
ナナミ「なにいってんの。 はい、お誕生日プレゼント」
ユウヤ「わーい、開けていい?」
ナナミ「いいわよ」
バサバサッ
ナナミ「キャー」
ユウヤ「古代最強生物!!! アノマロカリスだ!!! すげーーー」
ユウヤ「本当にありがとう!!! コレクションルームに預けてくるね!!!」
ユウヤ「今日は最高の日だ!!!!」
バタバタバタバタ
ナナミ「ええ・・・」
マチ「ああ・・・ナナミいた。 なんか彼、古代生物マニアらしいよ」
ナナミ「ふーん・・・そうなんだ。 古代生物マニアだったとは、 知らなかったわ」
「・・・」
〇奇妙な屋台
ナナミ「ってさー。 せっかくの、年に一度の彼の誕生日で もっとラブロマンス的なのを期待してたのに、アノマロカリスのせいで台無しよ」
マチ「元はといえば、プレゼント忘れたナナミが悪いんじゃない。 ワタシもだけど」
店主「まぁでも、御本人は凄く喜んでくれたんでしょ?よかったじゃない!」
「よくないよ!!!」
店主「しょうがないわねぇ〜 お代はワタシの奢りにしてあげるから、 もう怒らないの!」
ナナミ「ごまかしたー」
マチ「それよりナナミは相思相愛だけど、 ワタシは、まだ片思いだからさ。 愛されジャムも切れちゃったし」
マチ「なんとかヒロくんと仲良くなりたいな〜 なんて」
店主「あらまた 譲ってあげましょうか?」
マチ「いいの。 いつまでも、 それに頼るわけにもいかないもん」
ヒロ「あ、やっぱりいた。 この間はどうも。 君たちに頼みがあってきたんだ」
マチ「あっ、ヒロくん。 頼みって何?」
ユウヤ「僕ん家で演奏会をライブ中継することになったんだ。そこで君たちに演奏をしてほしくて・・・」
「僕らでユニットを組んで演奏してくれって・・・」
マチ「え?あなた達が?なんで!?」
ユウヤ「そう。 僕のパーティに来てた知り合いの偉い人が 僕らを売り出したいんだって〜」
ユウヤ「その人、僕が所属する 古代生物マニア研究会の会長さんでさ〜」
マチ「ええ!」
ユウヤ「アノマロカリス達と一緒に 撮影したいんだってさ・・・」
ユウヤ「僕たちだけじゃ演奏できないし できれば君たちとユニットを組みたいんだけど」
ヒロ「チーム名は 「アノマロカリス!!!」」
「ええー」
マチ(どんなブームなの 古代生物・・・)
〇大水槽の前
ユウヤ「特設水槽も用意したし」
ナナミ「ここで演奏するの・・・?」
ユウヤ「演奏も君たちなら大丈夫だよ!」
マチ「緊張する〜お腹痛い〜」
ナナミ「マチ緊張しいだからなぁ」
ヒロ「僕はジャズピアノとコーラスで・・・」
ナナミ「マチはクラリネット、 ワタシはトロンボーンで」
ユウヤ「僕はボーカルとパーカッション。 みんなでひとつに!!!」
ヒロ「そう、みんなでひとつに!」
マチ「そうだよね! みんなの心が一つになれたら、 いい演奏ができる! そうだよ!」
ナナミ「うん! 頑張ろう!!!」
ユウヤ「じゃ行くよ! アノマロカリス!」
「アノマロカリス!!!」
♪〜♬〜♬〜
〇テレビスタジオ
司会「はぁ〜素敵な演奏でしたねぇ」
司会「大変貴重な映像でございましたよぉ〜 ねぇ、ミーナさんからも一言」
ミーナちゃん「すっごいよかったです〜 ワタシもご一緒したいですぅ〜」
〇おしゃれな居間
マチ「ふぅ」
ヒロ「おつかれさまでした。 ハイお茶」
マチ「ありがとう。 ヒロくんは?」
ヒロ「僕はいいよ、マチちゃん疲れたろ? 誘ってごめんな」
マチ「ううん、楽しかったし。 優しいね、ヒロくん」
ヒロ「なんだよ急に。 いつもマチちゃんには、 優しくしようと努力してるのに」
マチ「ん?怪しい・・・ また店主さんのジャムとか食べた? 食べると好きになっちゃうジャム」
ヒロ「食べてないよ。 ホントだよ」
キラリラリーン
マチ「ん!?」
ヒロ「僕は食べてはいないけど、 アナタの紅茶に ひとさじ入れました・・・ ごめんなさい・・・」
マチ「なんで・・・ 黙ってそんなことするの、 ダメじゃない。 ワタシ、ジャムがなくても ヒロくん好きだったのに・・・」
ヒロ「え!?」
マチ「なんでそんなことするの・・・ えーん」
マチ「好きで好きでたまらない 苦しいよう・・・ ひどいよう・・・」
ヒロ「ごめん!ごめんマチちゃん!! もうそんなことしないから! マチちゃんには、必ず言うから!」
ヒロ「もう、ジャムの力は借りないから!」
ヒロ「僕はマチちゃんが、す、す、」
バターン
ドォーン
マチ「キャー」
「古代ワニ、
デイノスクスが脱走したぞー」
マチ「怖い・・・ヒロくん」
ぎゅっ
ヒロ「僕が一緒にいる、大丈夫だ」
ヒロ「とにかくあっちに逃げよう」
バタバタバタバタバタバタ
〇大水槽の前
ハァハァハァハァハァハァ
ヒロ「とりあえずここまでくれば・・・ 僕に考えがある。」
「がぁー」
マチ「キャー」
ヒロ「最強生物、アノマロカリス!!!」
シャー
ヒロ「アノマロカリスは腹をすかしているだろうと、思ったのさ」
バリッバリバリッバリッ
マチ「あ、アノマロカリス強い・・・ ワニ食べられてる・・・」
マチ「あっ・・・マーレラが残りの おこぼれをもらいに来たわ・・・」
ヒロ「跡形もなくなったな・・・ さすが古代最強生物・・・」
シーン
マチ「わーん、怖かったようー ひどいようー」
ヒロ「ごめんね、マチちゃん。 本当にごめんね。」
ヒロ「そして改めて言うよ。 僕はマチちゃんが大好きだ!」
マチ「くすん。 ありがとう、ヒロくん。 助けてくれてありがとう」
マチ「でも、もう騙したりしたらダメだよ。 ワタシ、ヒロくん大好きなんだから」
ヒロ「ありがとう、僕も大好きだよ! 君の嫌がることはしないから! 約束するよ!」
シャー
マチ「キャーーーーー」
〇大水槽の前
シャー
パタン。
ユウヤ「もうー ちゃんとしまっておかないと アブナイだろう。 もう少しで食べられるところだったぞ!」
「ごめんなさい」
ナナミ「でも無事で、よかったー。 大事件になるところだった」
ユウヤ「でも君たちのお陰で、 世界視聴率98%で 前代未聞だったらしいぞ!!!」
ユウヤ「知り合いもありがとう!!! って!!! オレたちはもう世界的スターだ!!!」
「へええー」
ヒロ「それは 明日から大変だぞ・・・ もう、婚約発表しちまうか・・・」
「え?」
〇奇妙な屋台
謎占い師「という訳らしいですよ。 ワタシの占いでも、わかりませんねぇ」
謎マッチョ「マッスル、マッスル」
店主「まぁ〜良かったんじゃないの?」
店主「とにかく、人へのプレゼントは ちゃんとジブンで確認したほうが、 いいわよねぇ〜」
店主「素材をもっと集めないと・・・」
謎マッチョ「それ聞きたかったんですけど、 素材は、なんなんですか?」
店主「ヒ・ミ・ツ〜」
〇テレビスタジオ
おわり?かも。
ミーナちゃん「スタジオのミーナちゃんからでしたー」
筋肉成分が少なめの今話、その一方でマーレラにアノマロカリス、挙句はデイノスクスまで登場して古生物バトルww 凄まじい内容と可愛らしい恋愛の対比がイイですね!
すっごいしあわせなお話でした〜胸がきゅんでした〜ありがとうございました〜
珍しく店主の施すジャムの効能なしに素敵なカップル誕生でこちらまで嬉しいです! ヒロ君初めはあまり好印象ではなかったんですが、女の子への優しさがじわじわ伝わっていい子だなあって思いました。