魔法少女の娘

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魔法少女の娘(脚本)

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魔法少女の娘
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〇オフィスのフロア
  日本は災害大国である
  火山噴火、台風、洪水、土砂災害、そして──
課長「平子さん、パソコンが変なんだけどちょっと見てくれないかな?」
平子 夏美「・・・わかりました! こっちが片付いたら──」
課長「Kアラート!どどどどうしたら・・・」
平子 夏美「落ち着いてください、課長! みんな、できるだけ窓から離れて!」
平子 夏美「Kアラートが発令されたということはもしかして・・・」
平子 夏美(お母さん!)

〇超高層ビル
  もうひとつの災害──それは怪獣
マジックマジョリン「待ちなさい!私が相手よ!」
マジックマジョリン「罪なき人を苦しめるのは許さない」
マジックマジョリン「この魔法の杖で・・・」
マジックマジョリン「あ、間違えたわ。これは特売のネギ」
マジックマジョリン「この杖であなたを成敗してあげる!」
マジックマジョリン「秘技・瞬間冷凍!」
マジックマジョリン「必殺・冷蔵庫ありあわせメニュー!」
マジックマジョリン「やったわ!」

〇オフィスのフロア
後輩「すごい!本物のマジョリン初めて見た!」
課長「マジョリンとは誰かね?」
後輩「最近有名な魔法少女ですよ、課長! マジョリンに倒せない怪獣はいないって!」
後輩「動画撮っちゃおう!」
平子 夏美「ダメ!」
後輩「えっ?」
平子 夏美「・・・うちの課長、私物の持ち込みにうるさいからスマホしまっといた方がいいよ」
後輩「そうなんですか! ありがとうございます!」
平子 夏美「わたしお昼ごはん買いそびれちゃったから、課長のパソコン見たら外に買ってくるわね」
後輩「Kアラート解除されたけど、気を付けてくださいね」
平子 夏美「大丈夫!大丈夫!」
平子 夏美(なにやってるのよ!お母さん!)

〇高層ビルのエントランス
同僚「マジョリン、俺ファンなんです! 握手してくれませんか?」
マジックマジョリン「もちろん! 夏美がいつもお世話になっています!」
同僚「え?」
平子 夏美「ちょっと!」
平子 夏美「おかあ・・・さんの妹の娘さんなんです、この子」
同僚「知らなかったよ! 教えてくれても良かったのに!」
平子 夏美「最近あんまり会えてなかったので・・・ せっかくなので、お昼ふたりで食べてきますね」
同僚「いってらっしゃい!」

〇ビルの裏
平子 夏美「とりあえず元の姿に戻って!」
マジックマジョリン「え~この姿気に入ってるのに」
平子 夏美「えーじゃない!! 誰か来たらややこしくなるでしょ!」
平子 花梨「怪獣がでたのが夏美の職場の近くだったから心配したわ・・・」
平子 夏美「怪獣なんて警察とか自衛隊に任せればいいじゃない。 わざわざお母さんがやならなくても」
ツベルク(害獣)「大丈夫!花梨さんは飛び抜けた魔力を持っていますから!怪獣なんて一撃ですよ!」
平子 夏美「あんたまだ居たの?お母さんに寄生しないでよ!他のカモ探しなっていったじゃん!」
ツベルク(害獣)「寄生なんて人聞きのわるい。 僕は魔力のある人が、魔法少女になる手助けをしてるだけだよ」
ツベルク(害獣)「地球征服を目論む怪獣から人間たちを守るために!」
平子 夏美「きっとそういう才能がある人が他にもいるし、お母さんは魔法少女って年でもないでしょ!」
平子 花梨「それは、言いすぎじゃない・・・?」
ツベルク(害獣)「最近は、未成年と契約すると、いろいろコンプラにひっかかるものですから」
平子 夏美「生々しすぎるわ・・・」
平子 夏美「お昼休憩終わっちゃうから仕事に戻らなきゃ」
平子 夏美「仕事帰りに実家よるからゆっくり話そう?」
平子 花梨「わかったわ」

〇綺麗なリビング
  その日の夜──
平子 夏美「ただいまー」
平子 花梨「夏美、おかえりなさい!」
平子 花梨「ごはん食べていきなさい。 二人分作るのひさしぶりだったから作りすぎちゃったわ」
平子 夏美「ありがとう」
平子 夏美「食べる前にお父さんにお線香あげてきていい?」
平子 花梨「・・・そうね」
  私は仏壇に線香をあげた
平子 夏美「単刀直入にいうけど」
平子 夏美「魔法少女をやめてほしい」
平子 花梨「どうして?」
平子 夏美「あんな怪獣と戦って怪我でもしたら、どうするの?」
平子 夏美「もういい年なんだよ・・・」
平子 花梨「絶対にいや!」
平子 夏美「えっ!」
平子 花梨「こんな普通のおばさんの私が、たくさんの人を守って、感謝される。 こんな幸せなことなんてないわ!」
平子 花梨「私は魔法少女をやめませんからね!」
平子 夏美「私はお母さんのこと心配してるんだよ! わからずや!」
平子 花梨「わからず屋で結構よ!」
平子 夏美「ちょっと、お母さん!」
ツベルク(害獣)「なんの騒ぎですか?」
平子 夏美「あんたのせいよ」
平子 夏美「旦那亡くした妻の寂しさにつけこむなんてあんた手練れだね」
ツベルク(害獣)「褒めていただいてありがとうございます!」
平子 夏美「褒めてないから!」
ツベルク(害獣)「お母さんを守りたいなら、夏美さんも魔法少女になったらどうですか?」
平子 夏美「はっ?」
ツベルク(害獣)「あなたの魔力も素晴らしいですよ!」
平子 夏美「魔法少女なんかになるわけないでしょ!」
ツベルク(害獣)「そうですか・・・残念です」

〇テラス席
  翌日──
柏木 真琴「なにかあった?」
平子 夏美「えっ?」
柏木 真琴「浮かない顔していたから」
平子 夏美「よくわかったね・・・」
柏木 真琴「何年の付き合いだと思ってんのよ」
  柏木真琴とは大学生からの友人だ
平子 夏美「ちょっとお母さんと喧嘩して」
柏木 真琴「お母さんと喧嘩って・・・ 思春期の女子みたいだね」
平子 夏美「うるさいなぁ」
柏木 真琴「それだけ、仲いいってことじゃん?」
柏木 真琴「うちの親なんて顔合わせれば、いい人はいないのか、結婚はまだかなんてうるさくて」
柏木 真琴「お見合いも進めてきてほんとウンザリ」
柏木 真琴「「いい年だから」なんて呪いの言葉だよ」
柏木 真琴「わたしの人生を自分の尺度で決めないでほしいよ」
平子 夏美「わたしも言っちゃったわ・・・」
柏木 真琴「えっ?」
平子 夏美「お母さんに、いい年なんだからやめてって言っちゃったんだ」
平子 夏美(お母さんのためとか言ってお母さんを縛っていたかもしれない)
平子 夏美(家事や育児を頑張ってくれた。 でも、私が自立し、お父さんが亡くなった今 お母さんは自由だ)
平子 夏美(もっと自由に生きていいはず)
柏木 真琴「うわ!」
柏木 真琴「Kアラート!早く中に入ろう!」
平子 夏美(もしかしたらお母さんが近くに)
平子 夏美「ごめん、いかなきゃ」
柏木 真琴「え!」
平子 夏美「お会計お願いね!」
柏木 真琴「夏美!」
  お財布から取り出したお札を机におき私は駆け出した

〇公園通り
マジックマジョリン「私が相手よ!」
平子 夏美「お母さん!」
マジックマジョリン「夏美なんでここに?」
マジックマジョリン「危ないから早く逃げなさい!」
マジックマジョリン「ああっ・・・!」
平子 夏美「お母さん!」
マジックマジョリン「うっ・・・」
平子 夏美(私が口を挟んだからだ!)
平子 夏美「お母さんが怪我をしている」
平子 夏美「害獣、わたしを魔法少女にして!」
平子 夏美「お母さんは私が守る!」
ツベルク(害獣)「その言葉待っていました!」
平子 夏美「服装が・・・!」
平子 夏美(もうちょっと、どうにかならなかったの・・・?)
平子 夏美「服装なんて気にしてる場合じゃない」
平子 夏美「あいつを倒さなきゃ」
平子 夏美「秘技・定時であがらせてもらいますパンチ」
平子 夏美「必殺・パソコンくらい自分で調べろキック!」
平子 夏美「わたし・・・やったの?」
マジックマジョリン「夏美、怪我はない?」
平子 夏美「怪我はしてないから大丈夫」
平子 夏美「お母さんが無事で良かった」
平子 夏美「お母さんまで失いたくない・・・」
マジックマジョリン「夏美、ごめんね。心配かけて・・・」
平子 夏美「お母さんのことは応援する。 でも怪我はしないでほしい」
マジックマジョリン「わかったわ。約束するわ」
平子 夏美「約束だからね」

〇渋谷のスクランブル交差点
  ──数日後
マジックマジョリン「私が相手に──」
マジックマジョリン「あら、やだ!」
マジックマジョリン「ぎっくり腰だわ!」
マジックマジョリン「夏美、助けて!」
平子 夏美(どうしてこんなことに・・・?)

コメント

  • お母さんは元の姿から完全に変化して魔法少女マジョリンになっているのに、夏美は服装がメイド服になっただけだから友達や職場の人にバレちゃうな、とか余計な心配でハラハラしちゃいました。ツベルクは害獣だけど可愛すぎるからウチにもほしい。

  • 必殺技が独特で笑いました

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