MMAファイター芽衣ちゃんのパウンド

ガンダーラ磯崎

読切(脚本)

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ガンダーラ磯崎

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〇ボクシングジム
赤原隼斗「はい!ワンツー!」
赤原隼斗「ジャブジャブ、ストレート!」
赤原隼斗「ヘッドスリップから返しのフック!」
赤原隼斗「最後にラッシュ100回!」
赤原隼斗「よし!ここまで!」
赤原隼斗「3分休憩後、タックルの打ち込みやるぞ」
芽衣「はい!」
  私は、女子MMAファイター、
  赤原芽衣18歳。
  元格闘家の父親、赤原隼斗に、
  男手1つで育てられた。
  3歳からMMA(総合格闘技)の練習を始め、15歳でMMAデビュー。
  戦績は20戦20勝無敗。
  全てKOかギブアップの1本勝ちをおさめている。
中山トレーナー「芽衣ちゃん、また強くなってるねえ! これじゃ次の相手が気の毒だわ」
芽衣「私もそう思います」
赤原隼斗「ふざけんな!」
中山トレーナー「え?」
赤原隼斗「格闘技の世界はナメたら終わりなんだよ!」
赤原隼斗「試合が終わるまで、一瞬の油断もするな! 常在戦場だ!!」
芽衣「はい!すいませんでした!」
中山トレーナー「隼斗さん、芽衣ちゃんに ちょっと厳しすぎじゃ・・・」
赤原隼斗「何言ってんだ!プロの世界だぞ? 遊びじゃないんだよ!!」
中山トレーナー「それは分かりますけど、 今度の相手は、ほぼアマチュアの 格下ですし、ノンタイトル戦ですし・・・」
赤原隼斗「それが一番危険なんだよ!!」
赤原隼斗「確かに相手は格下かもしれん。 実績では芽衣に及ばない」
赤原隼斗「だからこそトリッキーな戦法で 芽衣のスタイルを崩すために 作戦を練っているはずだ」
中山トレーナー「まあ、確かにそうですね・・・」
  私も父親と同じ事を思っていた・・・
  格下の相手からすれば私との対戦は、
  負けて当たり前。
  勝てばジャイアントキリング。
  だからこそ相手の方が気負いなく
  パフォーマンスが出せるはず・・・
赤原隼斗「よし!芽衣!タックルの打ち込み100回!」
芽衣「はい!!」
赤原隼斗「おい、中山。 芽衣の対戦相手の映像は観たか?」
中山トレーナー「ええ。これがアメリカで行われた試合の 映像なんですが・・・」
中山トレーナー「パンチが荒くてスピードもありませんね」
赤原隼斗「寝技は?」
中山トレーナー「手足が長いので下からの三角絞めは 気をつけたいですが・・・」
中山トレーナー「極めのパワーもテクニックも かなり弱いですね」
赤原隼斗「どれどれ?」
赤原隼斗「・・・・・・なるほど」
赤原隼斗「・・・ま、まあ、スタンドの距離感に 気をつければ勝てる相手だな・・・」

〇格闘技リング
  ───────試合当日───────
実況アナ「さあ、女子MMA界のホープ! 赤原芽衣選手と、」
実況アナ「アメリカからの刺客、 ソフィア・ジャクソン選手 の試合が始まりました!」
レフェリー山田「ファイト!」
  実況アナ「いきなり芽衣選手の左ジャブがヒット!」
  実況アナ「ワンツー!これもヒット!」
  実況アナ「ソフィア選手、少し離れて立て直します!」
  実況アナ「しかし芽衣選手がタックルでテイクダウン!」
  実況アナ「ソフィア選手、下からガードポジション!」
  実況アナ「しかし芽衣選手かまわず上から
  パウンドの嵐だ!」
  実況アナ「ソフィア選手、頭を振ってパンチをよけるが防戦一方!!」
  実況アナ「ここで1ラウンド終了!」
中山トレーナー「芽衣ちゃん、相手かなり効いてるよ! 慌てずパンチで決めちゃおう!」
中山トレーナー「隼斗さん、何かアドバイスありますか?」
赤原隼斗「・・・・・・いや、大丈夫だ」
レフェリー山田「インターバル終了!」
レフェリー山田「ファイト!!」
  実況アナ「さあ、第2ラウンドが始まりました!」
  実況アナ「距離を取ってリングを回るソフィア選手」
  実況アナ「芽衣選手、ジリジリと距離を縮めます」
  実況アナ「あーっと!芽衣選手のカーフキックが入った!」
  実況アナ「ソフィア選手、足を引きずっている!」
  実況アナ「芽衣選手がパンチラッシュだ!」
  実況アナ「あーっとここでセコンドからタオルが投入されたー!!」
  実況アナ「芽衣選手のTKO勝ちー!!」
  実況アナ「・・・ん?ではなく?」
レフェリー山田「勝者、ソフィア・ジャクソン!!」
  実況アナ「何とソフィア選手のTKO勝ち!!」
  実況アナ「どうやら芽衣選手のお父さんである赤原トレーナーがタオルを投げたようです!」
  実況アナ「これはいったいどういう事でしょうか!?」

〇ボクシングジム
  後日、運営サイドが審議した結果
  ノーコンテストになったが・・・
  父親の謎のタオル投入が、輝かしい
  芽衣の快進撃に・・・
  泥を塗る結果となってしまった・・・。
赤原隼斗「父さんな、格闘家時代、 海外で1年間、 格闘技留学をしていたんだ」
芽衣「知ってる」
赤原隼斗「その時、ジムで知り合った女性と 仲良くなって付き合い始めた」
芽衣「聞いた事ある」
赤原隼斗「そして3ヶ月後、結婚したんだ」
芽衣「それも知ってる」
赤原隼斗「でも・・・妻とのスレ違いで  1年で離婚してしまってな」
芽衣「それ何回も聞いた。 結局、何が言いたいの?」
赤原隼斗「とにかく芽衣!本当に申し訳なかった!」
芽衣「もう良いよ別に。 気持ちは次の試合に向かってるから」
赤原隼斗「情けない。 常日頃、お前に油断するな と言っておきながら・・・」
赤原隼斗「相手の映像も観ずに中山に対策を 丸投げしたばっかりに・・・」
赤原隼斗「俺が1番油断していたとは・・・」
赤原隼斗「まさか芽衣の対戦相手が・・・」
芽衣「異母姉妹だったなんてね」
赤原隼斗「え?いや違う違う」
芽衣「え?違う?どういう事?」
赤原隼斗「うん、あのー、」
赤原隼斗「ソフィアは元嫁だ」
芽衣「・・・・・・え!?」
赤原隼斗「・・・・・・ん!?」
芽衣「いや「ん!?」じゃなくて!!」
芽衣「え?ちょっと待って! ソフィアって奥さんだったの!?」
赤原隼斗「何だと思ってたんだ?」
芽衣「だから異母姉妹っつったでしょ!!」
赤原隼斗「あ、違う違う。元嫁元嫁」
芽衣「何その軽い感じ!!」
赤原隼斗「本名ブリジット・スミスって言うのよ。 リングネームだから気づかなかった」
芽衣「ちゃんと映像観てなかったからでしょ! このインチキ親父!!」
ソフィア・ジャクソン「ハーイ!芽衣ちゃん!!」
芽衣「あ!?ソフィアさん!!」
ソフィア・ジャクソン「本当に強かったわ! 芽衣ちゃんは、これからもっと強くなるわ!」
芽衣「ありがとうございます!」
ソフィア・ジャクソン「隼斗さんは、強くて優しい人だったわ」
ソフィア・ジャクソン「私の両親が認めてくれなくて、 別れてしまったのよ」
芽衣「そうだったんだ・・・ お父さんが悪いんだと思ってた」
赤原隼斗「確かにそれは否めない」
赤原隼斗「どこの馬の骨か分からん ハンパな格闘家だったからな」
ソフィア・ジャクソン「その事が今でもずっと心のしこり として残っています」
ソフィア・ジャクソン「芽衣ちゃん。本当に立派に育ったわね」
ソフィア・ジャクソン「向かい合った時、 若い頃の私にソックリで驚いたわ!」
芽衣「え!?もしや・・・ ソフィアさんて・・・!?」
赤原隼斗「あ!!それ言うの忘れてた!!」
赤原隼斗「ソフィアは、いやブリジットは、 芽衣の実のお母さんだぞ!!」
芽衣「それ早く言えよ!!」
芽衣「親父いい加減にしろよ!!」
芽衣「お母さん!!」
ソフィア・ジャクソン「芽衣ちゃん!!」
芽衣「ボコボコにしてごめんね!!」
ソフィア・ジャクソン「それは違うわ。 私が芽衣に会いたくて 試合のオファーしたんだから」
ソフィア・ジャクソン「芽衣ちゃんのパウンド受けるたびに」
ソフィア・ジャクソン「娘の手の温もりを感じて」
ソフィア・ジャクソン「めちゃくちゃ痛いけど、 めちゃくちゃ嬉しかったわ!」
芽衣「お母さーん!!」
ソフィア・ジャクソン「隼斗さん。 芽衣を立派に育ててくれてありがとう!」
  次の日、ソフィアは、アメリカの家族
  のもとへ帰って行った・・・

〇ボクシングジム
芽衣(生き別れた母親と)
芽衣(格闘技で闘って元気な姿を見せるのって)
芽衣(親孝行なのかどうなのか分からないけど・・・)
芽衣(今まで本能的に塞いでた心の扉が 開いた気がした・・・)
芽衣(次、ママに会う時は、)
芽衣(世界一の団体があるアメリカに行って)
芽衣(もっと強い姿を観てもらいたい!!)
赤原隼斗「ラッシュ100回!!」
芽衣「はい!!」
中山トレーナー「良いぞ芽衣ちゃん!! 天下取れるぞ!!」
  「MMAファイター芽衣ちゃんのパウンド」
  おわり

コメント

  • 面白かったです。あまりのことにタオルを投げ込んだしまったんですね!娘に会いたい一心でボコボコにされても嬉しいという母の気持ちにうるっときました。

  • お父さんの反応から対戦相手が訳ありな予感はありましたが、まさかまさかで、格闘技だけに一本取られました。画面上の格闘シーンの描き方は難しかったと思いますが、音の効果などをうまく使っていて見やすかったです。

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