キラキラ星とコロッケ

mirei

キラキラ星とコロッケ(脚本)

キラキラ星とコロッケ

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〇商店街
彩佳(――あ、今日もきた)
「こんちわー。肉コロッケ、2つください!」
  じわじわっと暑い、夏休み7日目。
「いらっしゃい、亮くん。いつもありがとう」
  幼馴染の亮は、『ほしぞら商店街』一の美人、『総菜のサトウ』の看板娘に夢中――らしい。
彩佳(いくらサトウのコロッケが美味しいからって・・・)
彩佳(毎日毎日、よく飽きないよね・・・)
  うちは、商店街のフラワーショップ『花のよしだ』。母の店だ。
  『総菜のサトウ』のちょうど向かいにある。
亮「もぐもぐ・・・」
亮「よぉ、彩佳。お前も食う? うまいよ、コロッケ」
彩佳「いらない。 そこ、水撒くから。よけた方がいいよ」
亮「へいへい。わかりましたよ」
彩佳(亮と夏休みに、毎日顔あわせるなんて・・・)
彩佳(それも、ユカさんに会いに来る亮と・・・)
兄「ただいまー。店番代わるぞー」
彩佳「おかえり、お兄ちゃん」
兄「塾、気をつけて行ってこいよ!」
彩佳「うん。じゃあ、行ってくるね!」
兄「・・・・・・」
ユカ「・・・・・・」
彩佳(亮が、いくらユカさんに片思いしたってムダなんだから)
彩佳(ユカさんは、お兄ちゃんの恋人なんだし)
彩佳(・・・バカみたい)
  でも、きっと一番バカなのは・・・
  そんな亮にずっと片思いしている私だ・・・

〇教室
担任「では、文化祭の実行委員を決めたいと思います」
  そして、2学期がはじまった。
彩佳(早く終わらないかな・・・)
担任「じゃあ、立候補者は、明日の昼までに、僕のところに来てください」
  その日の放課後──

〇学校の校舎
亮「彩佳!」
彩佳「・・・なに?」
亮「文化祭の実行委員、やらない? 俺と、お前で」
彩佳「やらない。 塾、忙しいし」
亮「文化祭の飲食、毎年、うちの商店街でやるだろ?」
亮「俺たちで、どっと盛り上げようぜ! アイディアは・・・」
亮「まだないけど」
彩佳「ないの!?」
亮「うん。ない。 でも、商店街が元気になったら嬉しいだろ?」
彩佳(・・・あやしい)
彩佳「文化祭の飲食、商店街側は青年会が担当だよね?」
亮「そ。今年はユカさんが会長」
彩佳(そんなことだろうと思った! いいとこ見せたいだけじゃない!)
彩佳「絶対やらない!」
亮「俺たちなら、できるって。 昔みたいに、楽しく」
彩佳(いつも、亮はそうなんだから!)
彩佳(そういうところが・・・ 好きなんだけど・・・)
彩佳「とにかく、絶対に実行委員なんてやらないから! じゃあね!」
亮「彩佳・・・」

〇商店街
彩佳「ただいまー」
母「お帰り、彩佳」
  店の前に、お客さんは誰もいない。
  私が子供の頃は、もっとお客さんもたくさんいたのに・・・
母「ふぅ・・・」
彩佳「じゃあ、塾に行ってくるね」
母「いってらっしゃい」
彩佳(そりゃ、私だって・・・ 商店街が元気になったら嬉しいけど・・・)
亮「彩佳!」
彩佳「え? 亮?」
亮「俺と、一緒に実行委員やろう!」
彩佳「しつこいよ!もう!」
「俺たちの商店街のために、 高校生でも、できることはある」
亮「文化祭をきっかけに、皆が商店街に来たくなるような・・・ そういう楽しいイベントにしよう!」
彩佳「亮・・・」
  結局、私は実行委員に立候補した。
  亮は、ユカさんにいいところを見せたい。
  私は、亮の勢いを利用して商店街を元気にしたい。
  これで・・・ウィンウィンだ。

〇教室
亮「よし、青年会のSNSも反応いいな!」
彩佳「メニューのアイディア、出してみたよ 高校の食券の分と、商店街の特別メニュー」
彩佳「星型のコロッケと・・・」
亮「それいいな! 映える!」
彩佳「星型のナタデココ入りのドリンクと・・・」
亮「お前、天才!」
彩佳「調子いいなぁ、本当に」
  そんな調子で、計画は着々と進み・・・
  文化祭が、明日に迫っていた・・・

〇商店街
ユカ「すごいね、大盛況!」
ユカ「商店街で、吹奏楽部のライブって すっごくいいアイディアね!」
彩佳「盛り上がってくれたらいいですね!」
ユカ「きっと盛り上がるよ! 星型コロッケ、大好評だったのよ!」
彩佳「あ、星のタピオカドリンク飲んでるお客さんも、たくさんいますね!」
ユカ「大成功間違いなしよ! ありがとう、彩佳ちゃん」
彩佳「いえ、こちらこそ。 青年会にはお世話になりました」
ユカ「亮くんが言ってたよ。 彩佳ちゃんが天才だって!」
彩佳(アイツ、そんなこと言ってたの?)
ユカ「恋の力って偉大ね」
彩佳「え?」
ユカ「亮くん、彩佳ちゃんにいいとこ見せたくて、張り切ったのよ」
彩佳「え? え? ち、違いますよ! 亮は・・・ユカさんにいいとこ見せようと・・・」
ユカ「えぇッ!?」
ユカ「彩佳ちゃん、まさか・・・ 気づいてなかったの?」
彩佳「な、なにがですか?」
ユカ「亮くんが、夏休みの間、毎日彩佳ちゃんに会う口実ほしさに・・・ うちにコロッケ買いにきてたのに!?」
彩佳「えぇ!?」
ユカ「わざわざ塾の時間の前に・・・」
ユカ「あ、そろそろライブはじまっちゃう! 私、司会だから、もう行くね!」
彩佳(嘘・・・でしょう?)
亮「よかった! 間にあった!」
彩佳(・・・亮が? 私のこと・・・?)
亮「いろいろ、ありがとうな。彩佳」
彩佳「ま、まだ、はじまってないよ。 文化祭、明日だし・・・」
亮「成功するよ。絶対」
「♪~」
  吹奏楽部の演奏がはじまる。
  曲はもちろん・・・
  キラキラ星。
亮「あのさ、明日・・・」
亮「文化祭が終わったら、話があるんだけど・・・」
彩佳「う、うん・・・」
「♪~」
  今日は、きっと告白の前日。
  私の心は、輝いていた。
  夜空に光るキラキラ星みたいに。

コメント

  • とっても可愛らしい恋愛ストーリーですね!商店街も舞台にされていることで、生活感もある自然な雰囲気もあり、とても親近感がわきました!

  • ドキドキするかわいい恋の物語でした。
    なんとなくそんな予感はしてたんですが、やっぱりコロッケを買いに来てたのは彼女が目当てでしたか。
    初々しいカップルが誕生するのもあと少しですね。

  • タップしていた数分間、こちらまでキラキラした気分にさせてもらいました。商店街をサブテーマにされたことでより親近感があるストーリーになったと思います。

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