コミュ強家族の裏のお仕事

相須もぐま

コミュ強家族の裏のお仕事(脚本)

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相須もぐま

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〇教室
僕「はじめまして、今日、転校してきました。よろしくお願いします」
  今日僕はこの街に引っ越してきた。
  転校したのは小学校・中学校合わせてこれで88回目だと思う、正直数えてられないが。
先生「では、あそこの席に座ってください」
僕「はい」

〇教室の教壇
  僕は言われた通り席に座った。
クラスメイト1「ねえ、教科書見せようか?」
僕「あ、いや、持ってるから大丈夫」
  この学校で見せる教科書を見せながら答える。
  僕は、公立の中学校で使用する教科書やドリル一式全部コンプリートしている。だから授業は問題ない。
  問題は、友達が永遠にできない。短いと1週間、長くて3ヶ月しか同じ学校にいたことがない。
  授業が終わり、放課後。
クラスメイト1「ねえ、放課後遊ばない?」
クラスメイト2「部活何入るか決めた??」
  話しかけてくれるクラスメイトもいるが、今日は家で荷解きしないといけない。
  さらに、僕は人見知りコミュ障だ。
僕「僕、帰るから」
  僕はそういってダッシュで家に帰った。

〇明るいリビング
  家に帰ると引っ越しの手際がプロレベルである僕の母が荷解きをほぼ終わらせていた。
お母さん「あら、お帰りなさい?またお友達できなかったの?」
僕「ただいま、別にいいだろ」
お母さん「まあ・・・。あ、あんたの部屋の荷解きはもう終わったからねー」
僕「はや・・・」
お母さん「さて、私は、これから隣の家の佐藤さんと向かいの家の伊藤さんとアフタヌーンティーだからー!」
  そういって、母はドタバタと出かける。
お父さん「おかえり!今度の学校はどうだい?」
お姉ちゃん「また早く帰ってきて、、学生なんだからもう少し遊べばいいのにw」
僕「別に、どうでもいいだろ...」
お父さん「そういえば、向かいの家の伊藤さんちの娘さんはお前と同じクラスらしいぞ」
お姉ちゃん「あー、しかも、伊藤さんちのお兄ちゃんの方はめっちゃイケメンだった!」
僕「なんで、そんな情報早いの・・・」
お姉ちゃん「えー、挨拶いったからに決まってるじゃん! 家族アルバム見せてもらったり、手作りマカロンご馳走になったよー」
僕「全員で押しかけたの?」
お父さん「そんなわけないだろう」
お姉ちゃん「ノルマ一人3軒で1人ずつだよー、うちの写真館の宣伝もしないとだしね!」
お父さん「そうそう、ご近所付き合いは、地域密着型写真館にとって重要なんだよ、はっはっはっ!」
僕「頭おかしいだろ、コミュ強め...」
お姉ちゃん「なんか言った?(圧」
お父さん「はいはい、姉弟喧嘩はここまで。お姉ちゃんは取材に行くんじゃなかったのかな?」
お姉ちゃん「あ、そうだった!じゃあ、写真撮ってくるー!」
お父さん「さて、私もスタジオを整えてくるかな」
  うちは一家で営む昔ながらの写真館である。
  ただ、少し特殊なのが、地域密着型写真館のくせによく移動するというところだ。
  そして、長くても3ヶ月で僕はまた転校することになる。
  家族と違ってコミュ力高くないしな、、僕にはカメラがあればそれでいい。
  カメラ片手に今日引っ越してきたこの町を散歩することにした。

〇撮影スタジオ
  父さんがいるスタジオの方に顔を出す。
僕「父さん、出かけてくる」
お父さん「あ、散歩か?また夜に家族で出かけるからそのつもりで日暮れまでに帰ってこいよー」
僕「はーい」

〇街中の公園
  下校中も思ったけど、子育て世代が多いのか小学生やら小さい子供連れのママ友グループみたいなのがやたら多い。
僕「あっ」
  周りを見てたら足元をよく見てなくて影を踏んでしまった。
  え、人の影を踏むのは当たり前だって?
  いや違う、これは人ならざるモノの影。
  昼間は実態を表さないけどこうして影になって同じ空間に存在するモノ。
  そして僕はこいつらに狙われやすい体質である。
僕「やば、カメラ!」
  足が捕まえれそうになって咄嗟に、カメラのフラッシュを焚く。
  影は怯んで消えていった。
僕「今回はなんかヤバそうだな」
  こんな僕の予想は的中してしまうのだった。

〇明るいリビング
  僕の家の本当の仕事は夜からだったりする。
お父さん「さて、家族会議を始める。では、まず母さんから報告を」
お母さん「うん、ターゲットはある程度は絞れたかなって、これ見て」
  母が現像した写真を何枚か出してくる。
  母は隠し撮りのプロで装飾品のあちこちにカメラがついている。
お姉ちゃん「うーん、わかるようなわからないような...?」
僕「・・・」
  姉と僕はまだ見習い。だから父と母の話題についていけない時も多い。
お父さん「これを地図上にマッピングしようか、そしたら二人もわかりやすいかな?」
  父はデータ処理はプロ級である。ささっと写真データをPCに取り込み地図上に映し出した。
お母さん「たぶんね、この影の形と家の配置的には中学校かなって、実は数十年前にここは開拓された地でもあるからね」
お父さん「おそらくは、ここの主であった人ならざるモノが包囲するように陣形を組んでいるんだろうね」
お姉ちゃん「各個撃破?」
お父さん「いや、ここは中学校の授業参観を狙って一網打尽にしようか」
僕「え!授業参観明日なんだけど、なんで知ってるの?」
お母さん「まあ、それに合わせて転校したのもあるから、知ってるのは当たり前よ」
  どうやら、僕はまた囮に使われるらしい。

〇学校の廊下
  次の日、授業参観は5限だからそれまでは囮としてたくさん引きつけるように指示されていた僕は...
  仕方なく校舎内の至る所を歩いていた。
僕「この学校、地味に広い。しかもこの辺って西校舎?全然使われていないみたいだな...?」
  そして、すごくモヤのかかった部屋を見つけてしまった。

〇荒廃した教室
僕「これ、どうしよう。というかここにいる時点で相手には気づかれているかな?」
  学校内ということもあったし、武器のカメラは持ってきていない。
僕「覚悟を決めるか...」
  僕は扉を開いた。
  そして、目の前が真っ暗になった。

〇教室
僕(これは幻覚?)
  周りを見るとクラスメイトに擬態した人ならざるモノのようだった。
  カシャ、カシャ、カシャ
僕(かすかにシャッター音が聞こえる)
  父か姉か、、たぶん少しずつこの空間を消そうとしている。
  でも、僕がこの空間からカメラを使った方がきっと効果があるはず。
僕(父さんが黒いモヤを使ってカメラを生み出すことはよくやってるけど僕にできるだろうか)
僕「えいっ!」
  見よう見まねでモヤを集めて体にまとわりつかせる。
  クラスメイトや先生、保護者に擬態していた人ならざるモノが威嚇をしてきたり、こちらに手を伸ばしてきたり...
  僕は逃げるのに必死だ。人ならざるモノに僕が取り憑かれてしまったらそれでこの空間は終わってしまう。
僕「はあっ!」
  結局、避けきれないものはモヤがまとわりついた自分の拳で殴った。
僕「え、殴るだけでも効果あるのか...?」
  なぜか、殴ったモノは浄化できてしまった。
お父さん「聞こえるか?今お前にカメラを届けるから360度撮影で一気に蹴りをつけてくれ!」
  父からの天からの声と共に、僕に降ってきたのは球体のカメラ。
僕「くらええええ」
  僕はカメラを起動し一気にシャッターを降ろした。

〇明るいリビング
  気がつくと家にいた。
お父さん「あ、気がついたか。だいぶ消耗してたからなあ」
  そういって、父から苦笑された。
お母さん「囮以上の大活躍!将来有望ねえ」
  母はなぜか喜んでいた。
お姉ちゃん「あ、そうそう。学校では、あんたが授業サボって大暴れして、校舎ボロボロにしたってことで転校になったからよろしく!」
僕「え!まだ2日目だったんだけど、転校早いってば!!」
  こうして僕はまた転校することになった。

コメント

  • 家族のコミュ力強すぎて笑いました!息子くんが毎回そんな役回りをさせられてそうで可哀想ですが!なんだかんだで幸せそうな家族ですね!笑

  • 家族のキャラが明るくてコミュ強なので裏のお仕事とは何なのかが気になっていたら・・・カメラのフラッシュで穢れたモノや場所を浄化することなのかな?。穢れたものを引き寄せる能力がある主人公の僕が毎回囮になるのだとしたらヘビーな日常ですね。

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