スペースキカイファミリー

Diver

第一話 スペースキカイファミリー(脚本)

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〇モヤモヤ
  惑星航路の一つである
  アンダーファイブ宙域
  そこを一隻の宇宙艦が航行していた

〇殺風景な部屋
  マザースタブン格納庫
浮階 シュン「おーい、どうだー?」
妹(浮階 マイ)「うーん、今回は大丈夫だったけど、替えの部品も少なくなってきたし 簡易修理じゃそろそろ限界かもねー」
浮階 シュン「そうなるとやっぱり予定通り メンテを頼みに行った方が良さそうだな・・・」
妹(浮階 マイ)「だねー」
妹(浮階 マイ)「それで、お父さん調子はどう?  肩が痛いって言ってたから潤滑油増やしてみたんだけど?」
父親(浮階 カナメ)「おー、こいつは楽になったもんだ!  今ならバク宙だってできそうだぞ!」
父親(浮階 カナメ)「ほら、この通り滑らかに動く!!」
浮階 シュン「危な!? 父さん!  格納庫で思いっきり動かないでくれ!?」
妹(浮階 マイ)「そうだよ!! というか、潤滑油が勿体ないから 無駄に動かないで!!」
父親(浮階 カナメ)「スマン、スマン。 肩が軽くなったのが嬉しくてな・・・つい」
  その時、天井のスピーカーから母さんの声が聞こえてきた
母親(浮階 アスカ)「お父さんったらダメですよ。 子供達に迷惑かけちゃ~」
母親(浮階 アスカ)「私の身体にぶつからないよう気をつけてくれたみたいですけど」
母親(浮階 アスカ)「本当に注意して下さいね?」
父親(浮階 カナメ)「み、見られていたのか・・・ 恥ずかしいとこを見せてしまったな」
母親(浮階 アスカ)「ふふっ、艦内は私のテリトリーですからね 見守るのがクセになっているのかもしれません」
浮階 シュン(相変わらず仲のいい二人だ・・・ でも〝前〟と全く変わらないようで全部違う)
  父さん
  母さん
  妹
  そして、俺
  俺達家族は初めから
  皆こんな姿だったわけじゃない
  そう、あの家族旅行の帰り道。
  そこから全てが始まったんだ・・・

〇開けた高速道路
  父さんの運転する車に乗っていた俺達は
  事故にあった・・・んだと思う。
  背後からの衝撃を感じた瞬間には
  俺の記憶は途切れていたから確証はない

〇殺風景な部屋
浮階 シュン(そして、俺達は気がついたら家族揃って このSF世界に転生していた・・・)
浮階 シュン(俺はサイボーグ、父さんは機動兵器AL、 母さんは宇宙戦艦、マイは作業用アンドロイドとして・・・)
浮階 シュン(はぁ、この世界での生活に慣れてきたとはいえ なんでこんな転生するはめになったんだろうな・・・)
浮階 シュン(おまけに皆をまともな 人型アンドロイドに移行させるには かなりお金がかかるし・・・)
母親(浮階 アスカ)「あら、シュン君どうしたのそんな深刻そうな顔をして~」
浮階 シュン「母さん・・・いや、何でも無いよ」
  そう言うと
  母さんは二人に聞こえないよう
  音声通話を繋いで来た
母親(浮階 アスカ)「シュン君、またお金の事で悩んでたでしょ~ 私やお父さんの身体のことは考えなくてもいいのよ~?」
浮階 シュン「そういうわけにもいかないだろ 戦闘艦やALの電脳メモリに ずっといるなんて危険なんだからさ・・・」
浮階 シュン(そう、三人は電脳メモリに AIとして宿っている 出来るなら人型アンドロイドに 移行させたいんだが・・・)
浮階 シュン(三人の今の身体が高機能なせいなのか、 大容量の電脳メモリが装備されていないと 移行出来ないらしい)
浮階 シュン(前に街で見た 高性能人型アンドロイドみたいな 高級品じゃないと無理だろう)
母親(浮階 アスカ)「全く・・・シュン君は心配性なんだから~ なっちゃったものはしょうがないし、 案外、この身体も慣れてくると楽しいものよ?」
浮階 シュン「そういう母さんは結構したたかだよね・・・ この間も宇宙怪獣を怖がらずに撃ってたし・・・」
母親(浮階 アスカ)「んふふ~、それが傭兵のお仕事でしょ~? 郷に入っては郷に従えっていうし、生きるためにはやれることをやらなきゃね――あら?」
  艦内が大きく揺れた
浮階 シュン「これは!? 母さん!?」
母親(浮階 アスカ)「大丈夫よ~。 エネルギーシールドに阻まれてるから 装甲にさえ当たってないわ~」
母親(浮階 アスカ)「襲ってきているのは宙賊みたいね~」
浮階 シュン「すぐ行くよ、父さん! ハッチ開けて!」
父親(浮階 カナメ)「よし! 乗れ!」
妹(浮階 マイ)「お兄ちゃん! お父さん! 気をつけてね!」
  マイの声を尻目に俺と父さんは
  艦外の宇宙へと出撃していくのだった

〇モヤモヤ
宙賊AL1(リーダー機)「はっ、バカな奴らだ。 こんな外れの航路を戦闘艦とはいえ 一隻で航行しているなんてな!」
宙賊AL1(リーダー機)「襲ってくれって言っているような もんじゃねえか!!」
宙賊AL2「その通りでさあ!」
宙賊AL2「それにしても、もう結構撃っているのに 一向にエネルギーシールドが消えやせんね?」
宙賊AL1(リーダー機)「だったら、もっと撃ってやれば良いんだよ!」
宙賊AL1(リーダー機)「エネルギーシールドさえ消せばこっちのもんなんだからよ!」
宙賊AL1(リーダー機)「相手が何機出してくるかは知らんが ALが出てきたら注意しろよ!」
宙賊AL2「了解しやした!」
宙賊AL3「こっちも了解っすよー」
宙賊AL3(にしても、あの艦どっかで見たことあるような・・・。 気のせいっすかね?)
宙賊AL1(リーダー機)「撃って撃って撃ちまくれー!」
「おらおらおらぁー!!」
宙賊AL1(リーダー機)「っち! まだ、消えねえのか。 もう一回、一斉射を――あん?」
宙賊AL1(リーダー機)「ようやくALのお出ましか・・・。 ハイエンド品のようだが、たかが一機で何ができる!!」
宙賊AL1(リーダー機)「ん? オープンチャンネルでなにか叫んでやがるな?」
宙賊AL1(リーダー機)「こっちは降伏宣言なんか 聞く気はないってのに一体何を・・・」

〇モヤモヤ
浮階 シュン「よくも母さんに攻撃してくれたな!! 母さんのキレイな装甲に傷でも付いたらどうしてくれる!!」
宙賊AL1(リーダー機)「戦闘艦を母さんだと・・・!?」
宙賊AL2「こいつやばいですぜ。 完全に頭がイってんじゃ・・・」
宙賊AL3(戦闘艦を母さんと呼ぶハイエンドのAL乗り・・・まさか!?)
宙賊AL3「や、やばいっす!? こいつ、あの〝機械狂い(マシニフィリア)〟っすよ!?」
宙賊AL2「〝機械狂い〟!? ALを父親と呼び、作業用アンドロイドにお兄ちゃんって呼ばせているっていう、腕は良いが変態の!?」
浮階 シュン「全部、聞こえてるんだよぉぉぉぉ!!」
宙賊AL1(リーダー機)「やべぇ!? 変態が来るぞ!?  弾幕を張って奴を近づけさせるな!」
「りょ、了解しやした(っす)!」
浮階 シュン「父さん、行くよ!!」
父親(浮階 カナメ)「おう! と言いたいけどな?」
父親(浮階 カナメ)「父さん間接痛が直ったばかりだから、優しく操縦してもらいた―― その捻り方は腰に負荷がぁぁぁぁ!?」
宙賊AL1(リーダー機)「連続バレルロールで全部避けやがった!? 接近されるぞ!! 構えろ!!」
宙賊AL2「りょうか――ごぺ!?」
宙賊AL1(リーダー機)「一瞬でやられただと!?」
浮階 シュン「次!!」
父親(浮階 カナメ)「んほおぉぉぉ!? 急旋回はダメぇぇぇ!? Gで父さんの間接イカレちゃうぅぅぅ!?」
宙賊AL1(リーダー機)「このままだとやばい! チャフ撒いて撤退だ!」
宙賊AL3「了解っす!?」
浮階 シュン「っく!? 逃がさない!!」
宙賊AL3「す?」
浮階 シュン「くそっ! 一機逃げられたか・・・」
父親(浮階 カナメ)「か、関節がぁ・・・」
母親(浮階 アスカ)「大丈夫よ~」
浮階 シュン「母さん?」
母親(浮階 アスカ)「宙賊達の母艦の位置はわかっているわ~」
浮階 シュン「じゃあ、すぐそこに──」
母親(浮階 アスカ)「だから私に任せて~」
浮階 シュン「え、いや、ちょ、母さん何する気!?」
浮階 シュン「あれは砲身の消耗が激しいからダメだって──」
母親(浮階 アスカ)「よーく狙って~ そーれ!」

〇モヤモヤ
宙賊AL1(リーダー機)「クソが、鹵獲するどころか こっちがやられるとは大損だぜ・・・」
宙賊AL1(リーダー機)「だが、なんとか母艦まで撤退出来た―― あ? 何だあの光──」

〇殺風景な部屋
  宙賊を倒した俺達は
  格納庫へと戻ってきていた
浮階 シュン「なんとかなったな・・・」
妹(浮階 マイ)「お兄ちゃん、お父さん、無事!?」
浮階 シュン「ああ、うん 一応?」
妹(浮階 マイ)「一応って、どういうこと?」
浮階 シュン「いや、父さんが・・・」
父親(浮階 カナメ)「痛いよう、間接痛いよう・・・」
妹(浮階 マイ)「なんか幼児退行してる!?」
浮階 シュン「ちょっと、無茶させちゃったかな」
妹(浮階 マイ)「あーもう! しょうがないなぁ!」
妹(浮階 マイ)「ほら、潤滑油!  入れてくから大人しくして!」
父親(浮階 カナメ)「ああ~助かる~」
浮階 シュン「あっちは大丈夫そうかな・・・ 母さん砲身は大丈夫そう?」
母親(浮階 アスカ)「大丈夫よ~。 もう一回撃ったら壊れちゃいそうだけどね」
浮階 シュン「それメンテ確定ってことじゃん・・・」
浮階 シュン(さっきの宙賊達の討伐記録はあるけど 鹵獲は出来なかったから報奨金だけだろうし)
浮階 シュン(それもいくらになることやら・・・ 最悪、赤字か・・・?)
妹(浮階 マイ)「お父さん! 動かないで言ったのに!? これ最後の潤滑油だったんだよ!?」
妹(浮階 マイ)「というか、右膝のフレームの摩耗が 許容範囲超えちゃってるじゃん!? お父さん今すぐ座って!!」
浮階 シュン「父さんの方はメンテじゃなくて 修理確定かな・・・」
浮階 シュン「いつになったら高性能人型アンドロイドとか 買えるんだろうな・・・」
  浮階家の苦難な傭兵生活は
  これからも続いていく・・・

コメント

  • 転生するストーリーは数あるものの、家族皆がSFの世界でそこでもやっぱり家族っていう設定が斬新でとても興味深かったです。形は変われど、思いは同じっていいですね!

  • 脳だけ残っていれば外側はどんな形になっても互いを思いやる家族として機能する様子が丁寧に描かれていました。とはいえ、それぞれがどんなに高性能マシーンであっても、やはり家族には元の容姿の「人型」アンドロイドになってほしいと願うシュンが健気で切ないですね。

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