記念日の前日(脚本)
〇男の子の一人部屋
アキラ「はぁ、ついに明日には・・・・・・」
自室のベットの上で膝を抱えながら座り、アキラは呟く
アキラ「準備はいいとして・・・・・・緊張するなぁ」
そう呟くアキラに一階から声がかけられる
「おーい、晩飯出来たぞー!」
アキラ「はーい! 今行くー!」
大きな声で返事をして、部屋から出て階段を下りる
〇おしゃれなリビングダイニング
父「今日はハンバーグだぞ~」
アキラ「やったー! ありがとうお父さん!」
ダイニングに行くと、ご飯を準備しているお父さんが笑みを浮かべて話す
アキラは、父の手伝いをする
父「明日はアキラの十五歳の誕生日だからな、これよりもっと豪華にするぞ!」
アキラ「本当?! 楽しみだな~」
父「運んでくれてありがとう、それじゃあいただきます」
アキラ「いただきまーす!」
席に着き手を合わせ、夕飯を食べ始める
父「最近学校はどうだ?」
アキラ「ん-普通かな? あでも、今日ユウがバカして怒られてた」
父「なにしたんだ?」
アキラ「えーとね、あれ。ドアの隙間に黒板消しはさむやつ」
父「今でもそれやるのか?!」
アキラ「え、なんかやってみたい! って急に叫んでそのままやってた」
アキラ「先生も素直に引っかかっててめっちゃ笑った!」
父「そりゃそうだろうなぁ」
学校のことなどを話して、笑いながら食べ進めていく
アキラ「ごちそうさまでしたー!」
父「はーい、お粗末様でした」
アキラ「父さん、僕が片付けるから座っててよ」
父「いいのか?」
アキラ「もちろん!!」
父さんと自分の食器をシンクに運び、洗い物をするアキラ
その様子をカウンターから身体を乗り出して見る父さん
父「でももう、15歳か~早いな」
アキラ「そうかなぁ? 僕は早く大人になりたいよ」
父「ハハッ、そう焦らなくても大丈夫だよ」
父「大人何てあっという間になるんだから」
アキラ「ふうーん」
水で濡れた手をふき、キッチンから出る
アキラ「まだ、19時だからテレビでも見よ!」
父「ああ、勿論」
リビングに移動して、ソファーに並んで座りバラエティー番組を見る
クイズ番組だったらしく、答えはこれかな? いやこれじゃないかと話しながら解いていく
アキラ「あー面白かった!」
父「流石に頭の回転が遅くなったな~」
アキラ「僕はまだまだ若いから早いんだよ~・・・・・・ってもう22時じゃん!」
アキラ「父さん、お風呂沸いてるから先に入ってきなよ」
父「いいのか?」
アキラ「勿論! ゆっくり温まって疲れを癒してきてよ」
父「ありがとうな、じゃあお先に~」
お風呂に向かったのを確認すると、アキラはスマホを取り出しメッセージアプリを開いて友達に返信したりゲームをしたりする
30分ぐらいだろうか、顔を赤くした父さんが首にタオルを巻いて戻ってきた
父「風呂、先にありがとうな~」
アキラ「ゆっくり出来た?」
父「あぁ、逆にゆっくりつかりすぎた。ほら次、行って来い」
「はーい」
ゆっくりとお風呂に入り、あがると時刻はもう23時30分
アキラ「ふいー、あがったよ~」
父「おー、もうすぐで24時だからそろそろ寝ろよ~」
アキラ「はーい、父さんは?」
父「俺は、もう少し起きてるよ」
アキラ「そっか、じゃあおやすみなさい」
父「あぁ、おやすみ」
〇男の子の一人部屋
父さんに挨拶して、自室に戻る
ベットにボフッと飛び込み大きく息を吸ってはく
アキラ「ああああああああ、疲れた、今何時?」
腕だけを動かし、スマホを探す
見つかり、スマホをつけると時刻は23時55分
アキラ「そろそろ準備しようか」
むくりと起き上がり、リュックの中からナイフを取り出す
〇おしゃれなリビングダイニング
そして、音を立てないように階段を下りていく
リビングの戸を開けると、ソファーに座りスマホを触っている父さんの後ろ姿が見えた
23時59分
父さんの後ろに立っても、父さんは気付かない
緊張して心臓がドクドクとうるさい
カチッと時計の針が動く音が響く
24時
アキラ「父さん」
父「ん?」
僕の声に振り向いた、父さんの肩にナイフを刺す
父「ぐわぁ!!」
父さんはソファーから転げ落ちる
そんな父さんにアキラは馬乗りになって今度は胸を刺す
父「あ、アキラ・・・な、にする」
アキラ「ん? 何って今日で五年目だからそろそろこの家を出ていこうかなって」
アキラ「今日は俺の誕生日じゃない。この家に連れてこられた記念日だよ」
アキラ「父さん、いやクソ野郎」
アキラ「俺を誘拐して息子扱いして家族ごっこして楽しかった?」
父「あ、あ・・・」
アキラ「ねぇ答えてよ」
父「お前だって・・・俺のことを、父さんって呼んで普通にしてたじゃないか」
アキラ「演技に決まっているでしょ? 日々嫌悪感しかなかったよ」
アキラ「まあそれも今日で終わりだけどね」
五年前。クソ野郎は、夜中に俺の家に侵入してきて父さんと母さんを殺した。そして、俺のことは誘拐
ずっと、どうしたら逃げられるか考えた。その結果がこれ、復讐もできるしいい案だと思った
息も絶え絶えてもうすぐで死ぬクソ野郎にとびっきりの笑顔でナイフを振り上げて言う
さようなら、クソ野郎
なんだかすごい展開でびっくりしました!
よくある家庭の日常から、明かされた真実へのギャップがすごくて。
彼はずっとこの機会を伺ってたんですね。
ええええ!まさかの展開にびっくりしました!ごくごく平凡な家庭の様子だと微笑ましく読んでいたのも束の間、どんでん返しの展開がすごく面白かったです。
平穏な日常風景から思いがけない展開に驚きです。タイトルを見て、「誕生日」でなく「記念日」なことにひっかかりを感じていたのですが、そういうことかと。